十四話
魔術に関する書籍は結構な量あり、黙々と読んでいくのだが手がかりに繋がりそうなものは見当たらずお互いに大きなため息が漏れた。
「ジル様。一度宮廷魔術師様にどうやって最初呪いを抑える方法を見つけたのか聞きに行きませんか?」
「そうだね。確かに僕も詳しくは聞いていないから、聞いてみる必要はあるね。」
二人は本を片付けると、宮廷魔術師の研究所のある東の宮へと移動した。入口で案内役である宮廷魔術師見習いの少年をつけられ、薄暗い研究所の中を歩いて行った。
少年は無駄口はたたかず、静かに宮廷魔術師長の元へと二人を案内すると、ぺこりと頭を下げて去って行った。
宮廷魔術師長のイゼルは二人を出迎えると、これまでの研究資料を見せてくれた。その上で、ジルへと頭を深々と下げた。
「我々の力不足により、第二王子殿下には本当に申し訳なく思っております。」
ローズは以前父にお願いをして宮廷魔術師がどのようにして呪いを解呪不可能であると判断して研究をやめたのかを尋ねた事があった。
その当時は詳しい事は国家機密とされて明かされなかったのだが、ローズは違和感を覚えていた。
そしてイゼルに見せてもらった資料を読み、さらに違和感が強くなる。
確かに呪いの解呪は難しいように思えるが、本当に不可能なのであろうかと、その根拠は何なのかをイゼルは口にしない。ただ、不可能だと言う。
それが何か裏があるのではないかと勘繰ってしまう。
結局読ませてもらった資料に解決策が乗っているわけもなく、呪いを抑えた方法については記載されてはいたがジルの魔力を用いた制御のような形であり、呪いを解く方法とは関係がなさそうであった。
イゼルは終始、何か手伝いが出来ればいつでも行うと言う姿勢ではあったがそれが見張られているような感覚で、ローズは不信感を強めた。
ジルとローズはその後研究所を後にする。
「ジル様。おかしくありませんか?」
研究所から離れ、しばらく経ったところでそう口にするとジルも頷いた。
「違和感があったな。」
まるで解呪など出来ないから諦めろとでもいうような、そんな雰囲気すら感じた。その時、後ろからタンと足音が聞こえ振り返ると、そこには先ほどの宮廷魔術師見習いの少年が立っていた。
「なんだ。何か用か?」
ジルが声をかけると、少年は辺りをきょろきょろと見回したのちに、歩み寄ってくると小さな声で言った。
「・・・突然申し訳ございません。・・・その、どうしても、内密にお伝えしたい事があるのです。」
少年の辺りを気にしながらも、どうしても話をしたいと言う様子に、ジルとローズは場所を移して話を聞くことにしたのであった。
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