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表の世界と裏の世界  作者: 熊パンダ
1章 太陽の王国
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1話 平和な夏休みを

おそらく完結まで書こうと思います。

気楽に読んでください!

・8月1日・ 昼  ……陽太の家……


 2021年8月1日。

 15時00分



 俺は高校2年生鈴木陽太(すずきようた)


 今は夏休みで普通の学生なら部活、もしくは友達と遊びに行ったりしているのだろうか。

 もしかしたら夏休みの宿題に追われている奴もいるかもしれない。


 だが俺は夏休みの宿題はもう初日に全部終わらせ、部活も入っていないので本当にやることがない。

 


 家族は皆んな出掛けてしまい、家には1人だ。

 普段は妹と遊ぶけど…今はいない

 なんでも、夏休みに1日だけ小学校に行かなければいけない日があるらしい。

 ……今の小学生も大変だな、おかげで俺はとてつもなく暇になったわけだが


「あぁ…暇だぁ…」


 俺はソファーでゴロゴロすることしかできない

 

 

 欠伸をし、テレビをつけるとまともに見れるのはニュースしかやっていない、まぁ夏休みだし仕方ないよな


『……次のニュースです。8月1日12時30分ごろ、東京都渋谷で、女性から110番通報がありました。警察が女性に駆け付けると、肉塊と血が部屋に散らばっており、警察はこれらが人の肉である可能性を……』


(最近も物騒になったなぁ)


 所詮他人事だ。外に行く用事もないし特に気にしなくていいだろう。


 この時の俺はそう思っていた。



          ***



20時30分


 (帰るの遅すぎないか……?)

 俺は少し焦っていた。

 さっきの不気味なニュースを聞いたからかもしれない、親ならともかく妹の雅がまだ帰って来ない。



 妹の鈴木雅(すずきみやび)はまだ12歳で小学生だ。

 基本学校からはすぐ帰ってくるとてもいい子だ。

 寄り道なんてするような子ではない


 俺はひとまず学校に電話したが、繋がらない。

 親に電話をしたが、それも繋がらない。

 流石に焦り、俺は急いで支度し探しに行こうとした。


 ガチャ


 と玄関から音が聞こえた。


 まさか、雅か?

 2階にいた俺は駆け足で1階へと降りて行く


(心配かけやがって)

 これは説教せねばならないな、基本妹のことはとてつもなく大好きだが、今回ばかりは俺も心を鬼にしなければいけない。

 12歳とはいえまだ小学生、こんな夜遅くまで……危険だ。




 でも内心はほっとしつつ玄関に向かった。




 急いで玄関へ向かうとそこには鈴木隼人(すずきはやと)……俺の親父が居た。









「陽太!」


 急に親父が叫んだ。

 親父は普段穏やかで叫んだところを見たところがない。


 そんな親父が額に汗を浮かべ息を切らし叫んでいる。

 

 俺は何かただならぬことがあったのではないか、嫌な想像ばかりが頭の中に湧き出てくる。


 親父は慌てた様子で、

「今、俺は魔族がこの街にいるのを俺は見た、急で悪いが俺はお前をこの世界から逃さなければならない」

「は……?魔族……?」


 正直妹に何かあったと身構えていたが、なんだ、親父の冗談か?


それにしても魔族か……


 魔族ってあれか?

 小さい頃テレビで見たツノが生えて、羽が生えて……ってそれは悪魔か……


 魔族ってなんだ……?

 いまいちイメージがしずらい、まぁそれはともかく


「おいおい、焦ったじゃん。ふざけるのはやめてくれよ、親父」


「いきなりで信じられないのはわかる。だが、俺を信じて欲しい」


 すると親父は靴を脱ぎ、家の奥へと入っていく。


「すまないが事は一刻を争う。詳しく説明してる暇はない、こっちに来てくれ」


 と真剣な表情のまま親父は家の”開かずの間”と呼ばれている部屋の前まで歩く……


 俺の家には”開かずの間”がある。鍵が何重にもかかって俺と妹は入ったことがない。

 俺と妹は小さい頃から開けようと何回か試したが、開くことはなかった。それに扉の前を通るたびそこだけ空気が変わり不気味なものを感じ取っていた俺たちはいつしか扉を開けることをやめていた。


 妹……そうだ! 雅!



「そ、そうだ親父雅がまだ帰ってないんだよ……雅は、どこにいるかわかるか?」

「あぁ、あいつはな……」


 親父は顔がひどく暗くなり、呟く


「落ち着いて聞いてくれ、さっき警察から連絡があってな、あいつの通っていた小学校、その生徒、先生、学校にいた奴らは全員、急に消えてしまったんだ……まるで嘘みたいな話だろ? でも本当のことなんだよ」


 親父の手に力が入る。

「俺が行った時には、警察以外本当に誰もいなかったんだ。まだ母さんが学校で探していると思うが……恐らく、見つかってないだろう……俺と母さんの考えではこのことも魔族の仕業だ」


「こんな時までふざけるなよ親父!!」


 親父の胸ぐらを掴むが親父は表情を変えない。


「お前の気持ちはわかる。とても非現実的なことだからな。でも現実なんだ。魔族に会ったことのないお前には正直想像のつかないことだと思うが、魔族はいる。そして今もこの街でたくさんの人を誘拐したり……殺したりしている」



「本当のこと、だと……じゃあ雅は……」


 信じたわけではない。

 だが、親父の変わらない表情を見て、ただごとではないのは明らかだった。

 目の前が真っ白になる。

 雅は俺にとってとてもかけがえのない存在だ。


 誘拐? 殺し……?


「……」


「おいしっかりしろよ、あいつは行方がわからないだけなんだ。まだ希望はある」


 親父は手に力を込め、


「初級封印魔法"デ・シール"」


 親父がそう発すると、何重にもなっていた鍵が砕け散り、扉が開いた。


「親父……今のは……?」

「魔法さ……まぁそれは後で説明する、いいか、今からお前は……」


 と、親父が言いかけたところで家の玄関から大きな音が響いた。


 グウオオオオン!


「くそ! もう気づかれたか!」

「えっ!?」

「魔力量は……ちゃんとあるな……よし!」


 と、ボソッと呟くと俺の方を見て


「いいか、よく聞け陽太! お前を今から、異世界へと飛ばす!! サンリスタ王国に行け! そこの国王に今回の事態を話せ! そしたらきっとあの世界の人たちはお前のことを助けてくれるはずだ! ……おそらくお前にとっては辛い現実を見せることになるだろうが、俺はお前を信じてる!! お前は俺たち……いいや、全人類の希望だ! 信じてるぞ!」


「親父! なにを!」


「説明不足で悪いな、お前のことが魔族にバレれば全てが終わるといっても過言ではない……こんなダメな父を許してくれ」

 親父は悲しげに言うと、叫んだ。


「最上級転移魔法"エスパラルダ"!! ……多分平気だと思うが、動いてくれよ……!!」




 瞬間、白い世界が広がる





 地面があるのか、壁があるのかすらわからない








 ただ、どこかに進んでいる、それはわかる










 そしてこの不思議な感覚を俺は知っている……

《出てきた魔法》

1.初級封印魔法"デ・シール"……初級封印魔法"シール"で封印してあったものを解除する魔法。ほとんどの人が魔法適性があり、覚えることができる。


2.最上級転移魔法"エスパラルダ"……エスパラルダという世界に飛ばす魔法。転移魔法は使えるものも少なく、最上級となるともはや幻の存在だ。


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