第8話:人生で1番長い夏②
第8話です。物語は進みます…!
清華『でもアタシは文字の本が読めるんだよね』
世界は巡る、因果を。私はあの夜、月のその先を見てしまった。それが本当の、鯨に文字を奪われた『きっかけ』だったんだ。
凛 水面「「え……!?」」
私達は炎天下でのかき氷は早く食べないと溶けるという、当たり前のことを忘れて、その話を目が輝く様に聞いていた。
清華『うーん、本を読みながらじゃなくて、確か手紙を書きながら、月を見てたからかもしれないんだけど』
清華『お酒飲んでて、鯨?だっけ、それを見た記憶がハッキリなくてさ…だから読めなくならなかったのかも』
確かに本以外でも、文字に関する何かを読んでた人達が、月を見て、文字の本が読めなくなった、とは聞いたことがあった(症例が限定的過ぎて、ネットでも見つけるのに苦労した)
清華さんのスマホがりんりんと鳴る
清華『あ、ごめん!ちょっと実家に帰んないといけないから、連絡先だけ交換しよっか!』
案外水面も清華さんとの交換に乗り気だった。あの疑いの目を、向けてもなかった様に。私達は連絡先を交換して、溶けたかき氷をジュースの様に飲み干した。
そして私達は熱帯夜、この出来事を、グループ通話で、蓮とAにも話した。
楽しい夏の夜がまた一つ終わろうとしていた。
そして私は通話が終わり、部屋を見て、ふと思い出した。
本を燃やしてから、部屋の片付けをウンザリとして、放棄してしまっていたことに……
凛「そうだ、昔あの子に貰った手紙とか掘り返して、読んでみよっかな」
片付けなきゃいけないのに、余計な事を考える
━━"私は言葉を失った"
文字だらけの本は前から読めなかったが、少し前には、確実に、絶対的に手紙は読めていた。
それが読めなくなっていた。もはや文字が奪われていく感覚がした?
いや、私が"言葉"を見限っているような……
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