第24話 ヤッチマイナァアアア
第十三種目 フリースタイルバトル
・相手を殺す。
・武器と超能力の使用に制限はない。
「フリースタイルバトルだぁ? キエエ……」
フジの脳裏に2020年夏の忌まわしい記憶が蘇る。忌まわしさ、そして2020年へのホームシック。
「よう、頑張ってくれているじゃないか」
「てめぇがチバか」
高いところからようやく降りてきたのはチバ大統領。セリザワ、フジ、イツキの地球チームに労いを掛けた。ここまで百人以上のヤクザを死に至らしめたのに罪悪感のかけらもない。こいつはミリオンとは違う。
「よく頑張っているな、ミリオンの息子」
「おかげさんで」
「総合優勝はお前だろう」
「俺はいつまでもこの時代にはいねぇ。てめぇのケツを俺に拭かせるな。あのヤクザ共、いったい何をしたんだ? 何故こんな虐殺をする?」
「薬物売買、売春、買収、殺人、恐喝、詐欺もろもろ。この星のヤクザと変わりない」
「それがこんな死罪に値するか」
「今の我が国ではする」
「そうか。お前が間違っているかはわからねぇ。死ななきゃどうしようもないやつ、死んでもらわないとどうしようもないやつはいる。お前がそれを正しいと言うのならそうだろうし、お前の国の法をお前が決めるんならそれでいいんだろう。だがお前は気に入らねぇし、お前も死ななきゃどうしようもないやつだと俺は思う」
「好きにしろ。私はそうした。しかし好きにしたけりゃ好きにしたい相手より力を持て。金でも権力でもいい。私の力はまだ君より上だ。君は私を好きに出来ぬ」
フジはそれ以上何も言えなかった。
アブソリュートミリオンの“確殺”は正義への貢献とエゴの中間にあり、殺しを辞めないことが殺した者たちへの贖罪である。
チバは正義への貢献=エゴだ。支持率のキープか、独りよがり或いは盲目の正義か。
傍から見ればミリオンもチバも同じ大量殺戮者だろう。チバのことをよく知ればいつかチバの殺しの正当性もわかったのかもしれない。しかしまだ今は無理だ。そしてミリオンの殺しの正当性をチバやヤクザたちに理解させるのも無理だ。今はまだ身内だから、としか言えない。
「ではこの種目のルールを私が説明する。あそこにある選手村のヤクザ屋敷を襲撃し、皆殺しにしろ。手段は問わん。殺せ。ただしヤクザ共にも武器の携帯を許可している。抵抗はするだろう。しかしアブソリュート人は一騎当千。そう難しい競技ではあるまい。以上だ」
選手村に建てられているのは、ヤクザに最後の晩餐をふるまうべく開催国日本の和の意匠とケラ島のトロピカルなエッセンスが盛り込まれた豪勢な料亭だ。屋根は瓦、壁は土壁。外にいる地球チームにはまだわからないが、吹き抜けの一階の中心にはボクシング、レスリング、スモウが可能な土俵リング、それを囲う床はガラス張りになって金魚が泳ぎ、壁沿いにバーカウンター、升席、縁側。木製の階段を上ると手すりが沿い、障子張りのお座敷の個室が並んでいる。照明は提灯でこれから死ぬヤクザたちの葬式にも使える。
「フジ、作戦は?」
「特にないが、役割分担は決めておくか。俺と親父で突入して中のやつらを殺す。イツキは外まで逃げたやつを……」
「殺すの?」
「その必要はねぇだろうなぁ」
タバコをくゆらせて目を細める。おそらく戦意喪失して逃亡したヤクザは、警官が処刑するだろう。果たしてイツキにとって負担が少ないのは、ヤクザを見殺しにすることか、はたまた自ら手を下すことか。
「フジ」
この競技大会、メダル獲得数ではフジとイツキがほぼ同数ながらも、イツキが総合優勝しても大会MVPはフジになるだろう。フジは団体戦では徹底した役割分担とチームプレー重視の作戦を立てここまで地球を無敗に導いている。それはフジの強さ、力の一部だ。しかしイツキから見れば悲しい力だ。
イツキが2020年の夏まで仕えていたのは駿河燈ことアブソリュート・マイン。マインもまたチームプレーと役割重視の司令塔だった。ここではマインがどんな指導・指示をしていたかは伏せるが、マインのこの力は今のフジと似ている。
マインが汚いウソや手段を躊躇わず使い続けたのには理由がある。ジェイドとレイの存在だ。強大すぎるあの二人を持ち駒で相手取るには汚い手とチームプレーを徹底するしかない。それはジェイドとレイを味方に持ったフジにとっても影響を及ぼしている。
イツキの見立てでは、今のアブソリュート・アッシュに勝てるのは初代、ジェイド、レイ、バース、XYZくらいだ。今のレイには勝てずとも、イツキがトーチランドで研究していた四人の“虎の子の助っ人”を引き連れて最初に地球にやってきた、強化形態を一つしか使えなかった頃のレイと同じかそれ以上には強い。これは実際相当強い。全く恥じることない、誇れる強さだ。2020年の夏のアッシュが今と同じぐらい強ければトーチランドはジェイド・レイのダブルエースじゃなくジェイド・レイ・アッシュのトリプルエースを相手にしなければならなかった。それではヒトミが過労死してしまう。
ジェイド、レイ……。あの二人は味方なんて必要としないくらいの異次元の強さだ。つまりチームプレーは必要ない。ジェイドとレイなら味方にも策にも頼ることなくスタンドプレーと強行突破で大体全部カタがつく。だからジェイドは司令塔ぶっていても失策ばかりだったし、もしジェイドがシーカーやアッシュを育てながら戦うとか、相手を殺さないとか被害を抑える、なんて考えず初代、レイ、ミリオンを引き連れて強行突破してくればトーチランドは二日で終わっていた。マインの言う通り、ジェイドとジェイドを取り巻く者たちの力を足して頭数で割って、その数値がジェイド本来の力の数字を超えることはない。
最初から強かった兄姉と違うアッシュは小細工と邪道に頼らざるを得なかった。天才になれなかった戦士の戦いは臆病なほど繊細にデザインされた破天荒だ。アッシュのチームプレーとミリオンの確殺の誓いの源流は同じだ。アッシュにはジェイドとレイ、マインとミリオンには初代という超えられない壁と拭えない劣等感があった。
天才は名将になれず、だ。でもそれなら凡才の方が優しいじゃないか。少なくともイツキにとってマインとフジは優しい人物だ。
「さて……。どうする親父」
「ヤクザ共は全員ヒオウだ。超能力者がいる線は捨てていいだろう。だが武器を持っている」
「そういうこった。開幕から全ての競技でヤクザには武器と超能力の使用が許可されていて最初は三百人もいた。つまり武器を持った三百人のヤクザを制圧できるやつがチバ側にいる。そいつをどうする?」
「俺もチバは気に入らん。しかしチバの言うことも一理ある。一掃しなければ変わらんものもある。百点満点でそれを出来るものなど未来永劫現れない。答えを急ぐなアッシュ。ケラ島の答え合わせをする権利も義務も俺たちにはない」
「あ? じゃあなんでこの競技大会の参加した? 親父はヤクザを殺さないといけないっていう答えを出してるんだよ。俺だって……。まぁいい。俺の答え合わせも急ぐことはねぇ。ここまでヤクザどもを殺してきた罪悪感に呑まれないようにするために、まずは殺しを辞めないことこそが贖罪という親父の答えを大会中は借りることにする」
ギター、笛、太鼓、琴、歌。ケラ島で歌われてきた民族音楽がヤクザ屋敷から聞こえてくる。自分たちの最後を飾る曲を決めたようだ。酔っているのか呂律と音程がハチャメチャな合いの手も入っている。
シュラァ。アブソリュートミリオンが抜刀した。静かだ。ヤクザたちの音楽は確かにフジの鼓膜を震わせているのにやかましさを微塵も感じない。
「アッシュ、準備はいいか?」
「ああ」
アッシュの左手にアーク放電の弦が走る。三本の矢が嚆矢となって最後の種目、ヤクザの最期の……悪事? が始まった。北の扉を射抜いて南に向かって進撃していく二人のアブソリュート人。
イツキは障子に映るシルエットに目を走らせる。銃を向けるヤクザ。刀を持つヤクザ。何かを布で包んでぶん回すヤクザ。そして次々と影を散らして障子に血を塗っていく二つの影。武器が、腕が、足が、首が飛ぶ。ヤクザたちの挽歌を奏でる楽器の音色が一つ、また一つと消えていく。
影の動きだけ見てもセリザワとフジの強さはヤクザとはけた違い、そしてただ運動神経がいいだけの自分とも大違いだ。
室内の二人ではない場所を狙った銃声に、イツキは咄嗟にバリアーを張った。しかし狙っていたのはイツキでもない。フジとセリザワの周囲の照明器具だ。屋敷の中が真っ暗になる。
「殺せェー!」
散発的な銃声とマズルフラッシュ。障子の向こうで起きた出来事は発火炎で照らされ、静止画となってイツキの網膜に焼き付く。刀を持った南向きの人物に襲い掛かる複数の影。パチパチと場面転換する障子の影で、刀を持った人物は次の一枚までに襲撃者を効率的に殺害する方法を弾き出す。何も映らない間に発火するマッチの如く静と動が入れ替わり次の一枚ではY字に切り裂かれたヤクザのシルエット。
急にフレームレートが高くなる。階段を上る人物とそれが突き出す手、そこに集中放火される発火炎と銃弾を弾く超常の壁の火花。突如、発火炎とは質の違う稲妻が迸り、火傷を負ったヤクザが障子を突き破って飛び出した。もうイツキにも中の様子がうかがえる。この競技に参加していたヤクザは約百人、一階に散らばる人体のパーツはその数を優に超える。
「俺が出る」
「兄貴。ご武運を」
二階最深部の座敷の障子戸が開き、2メートル近い巨漢の着流しヤクザが二階に到達したフジ、まだ一階でヤクザを散らしているセリザワを睥睨し、側近から鍔なし白木拵えの刀を受け取って鞘を捨てた。下っ端ヤクザは卒業するイケメンの第二ボタンをねだる生娘のように恭しく鞘を受け取って退散していく。
「ヒガシ組若頭サンセンだ。子分たちの繋いだこの命、捨てずにお前らにぶつけさせてくれ」
「どっちと戦う?」
「メガネの小僧。確か名はアッシュだったな。まずはお前から倒す」
「ご指名があっちゃあ譲る訳にもいかねぇな」
一階で倒れていたヤクザたちの出血が激しくなる。ついにサンセンの兄貴が……。興奮による出血で弱まっていくバイタル、強まっていくメンタル! 死ぬのを待とうと思っていたヤクザたちもサンセンの戦いぶりを見るために、白くなった内瞼を強引に押し広げて刮目する!
「セアッ!」
「ツァ!」
突撃するアッシュを迎撃するサンセンの剛腕! その腕の筋肉が膨張し、膨張し、何倍にも膨れ上がって拳の軌道上にあった手すりを粉砕、燃焼させる。
「やっべ」
フジは咄嗟にバックステップし、階段にバリアーを敷いて滑り台にして階下へと降り、バリアーの円盤を二枚投げつけて牽制する。サンセンは食べ始めの回転寿司の皿でもあしらうように殴り壊して手すりに足を乗せ、再びアッシュを睨み下ろす。
「チッ、やっぱりいやがったか」
「そぉーうさ! サンセンの兄貴はヒガシ組で唯一のDXヒオウ! ただのヒオウとは訳が違うぜ!」
DXヒオウ。
火山地帯で突然変異したヒオウの上位種であり、高熱への耐性、通常種とは比べ物にならない筋肉量と筋力、基礎体力、さらに体温を高熱にして相手を焼き殺す。その過程で手に入れた岩石とマグマの皮膚の硬度により通常種とは一線を画す戦闘力を持つ。
「解説ご苦労。じゃあ用済みだ。死ね」
ショウリン(享年27歳)。彼の死因は素手じゃサンセンと打ち合えないと判断したアッシュの槍である。
「意外と怒らねぇんだな」
「ただでさえ俺は熱くなる性格だ。冷たくいようと心がける方が適温だ」
「そしてそうなれないんだな」
「安心しろ……。お前に恨みはない、しかしチバは許さないし殺す。……というにはこの大会、暴れ過ぎだぜミリオンの息子。お前にも恨みはたっぷりと溜まってんだよ」
「DXヒオウには随分と痛い目を見させられたからな」
ミシミシと手すりが軋み、サンセンの足元から焦げが伝播して炭になり、焼け落ちた手すりを踏んだサンセンの足が屋敷全体を振動させ、床下の金魚が背びれをせわしなく揺らす。
「サンセンの兄貴ィ」
「サンセンの兄貴が」
「兄貴ィ! 頼んます!」
涼し気な着流しと表情、真っ赤に燃える剛腕と心。ヤクザたちにとってはこいつが幹だった。こいつがいるから揺るがなかった。
「セッ!」
槍を一突き二突き。ミリオンほどではないがサンセンの剣技も鍛えられている。しかもサンセンのメインは左手での拳打であり、刀はサブに過ぎない。それでもまだアッシュの槍では拮抗するのが限界だ。
「ツアア!」
突きにあわせて拳で振り払う。バリアー製の槍は形を保っているものの熱と振動と痺れが伝ってアッシュの手から槍が落ち、階段を滑り落ちていく。今度はサンセンの番だ。190センチメートルを超えるサンセンはウィングスパンも半端ではない。その突きはアッシュの槍の間合いに匹敵する。アッシュは一段階段を下ってバリアーを張った。切っ先がバリアーを穿つ。少し粉が舞った程度でダメージが入らない。
「ツゥアーッ!」
突いた右腕を巻き尺の如く折り畳んで階段を一歩下る。降下の勢いも加算したDXヒオウの裏拳が突きから間髪入れずにバリアーに叩き込まれ、超常の障壁が焼け、ひび割れ、憎い憎い未来人の顔の間に隔てるものがなくなった。それはアッシュから見ても同じこと、静かに憤怒するDXヒオウの怒り、恨み、憎しみが十分すぎるほど伝わってくる。憤怒の炎はまだサンセンの自制心を焼いていない。これは……。これは敗北に直結する。
気持ちが後ろに向き始めた瞬間、サンセンの裏拳の衝撃に耐えられなかった階段がついに悲鳴を上げ崩落した。アッシュは持ち前の瞬発力で一階の中心の土俵へ避難できたが、パワーと重みが身上のサンセンは逃げが間に合わず床板を貫いて瓦礫の下敷きになってしまった。
ゆらぁ。瓦礫の周囲に陽炎が漂う。ひりつくような殺気の充満を肌で感じる。やがて崩れた階段が炎上し、マルチアース8ケラ島最大最悪の犯罪組織最強の侠が熱気と殺気の放出で火炎の中心に赤黒の土俵を作る。あれがサンセンの間合い。つまりうかつにあそこに入ると死ぬ。
フジの土俵とサンセンの土俵、その二つに足を踏み入れる者はもういない。両者の間、両者の土俵に立ち入ればヤクザだろうと地球人だろうと、生物はみんな消し炭になる。及ばぬ力で危険地帯に首を突っ込み、灼熱と電撃の嵐で焼かれて死ぬことにもう意味はない。既にサンセンへのタスキは十分すぎるほどに渡っている。
「殺してやる」
正義執行のために殺しをするとしても、アッシュはまだミリオンほど割り切れていない。
しかしサンセンは仲間を目の前で虐殺された、殺しへの正当なモチベーションがある。この最終競技までサンセンを温存しようと死んできた仲間たちの無念と希望を背負っている。
「好きにするなら、好きを押し付ける相手より強くなれ、か」
「何を迷う。さぁ、俺を殺しに来い。来いッ!」
サンセンの喝が放射状の不可視の衝撃波となって炎を消した。そして再びサンセンの周囲に強い陽炎。床の血が一瞬にして凝固する。突如としてヤクザ屋敷の屋根に巨大な穴が開いた。それはアッシュに呼び寄せられた超常の落雷であり、アッシュの力となって纏わりつく。サンセンを包む熱気の結界は自身に降り注ぐ全ての瓦礫を焼き払った。庭園の鹿威しに水が溜まる。それ以上にアッシュの目尻に汗が溜まる。
握ったバリアーの槍にも稲妻と汗、アッシュの体温が伝播した。
「シ……」
「凄まじい殺意と力だ。侮れん。いや、最初から俺はお前を侮ってはいない。初めから俺は全身全霊、お前を殺したかった。あぁ、ああ。ようやく悔いる時間が来た。無知なヤクザでなければこの気持ちをもっと文学的に綴ることも出来たかもな。音楽家になれば、絵描きになれば……。役人になってアブソリュート人の脅威を記録し、ヒオウを守ることも出来たかもな。俺はお前たちを許しはしない。子分たちを殺したお前たちを決して許さない。ヤクザにならなかった未来を思い描いても、俺はヤクザであることを後悔しない」
「それがお前にとって贖罪になるか?」
「なる」
「残念だ。俺にお前を裁く権利はねぇ。……情けをかける義務もねぇ。お前は所詮、犯罪者だ」
この状態、異様であることを理解できているのは、屋敷の外から眺めているイツキのみだ。
アッシュが呼び寄せたアッシュの力の象徴である超常の落雷、纏わりつく稲妻は強化形態オーバー・D特有の姿だ。しかしアッシュはバリアーで作り出した槍を握っている。それはオーバー・Dとバリアーの併用を意味する。
「じゃあな」
水の溜まりきった鹿威しが傾いてから石を打って鳴るまでの間に、アッシュは土俵の上で転倒し、そしてサンセンは……。体の中心に巨大な穴が開き、首、両肘から先、両膝より先のみを残してサンセンそのものがクレーターになっていた。当然即死である。アッシュのいた地点からは真っすぐに床が抉れてサンセンの背後の壁には真円の穴が開き、その向こうにいたスタジアムのチバの右腕から先を焼き切っていた。
「ハァ……」
疲労困憊のアッシュが電撃と破壊の轍を辿り、火炎の土俵の転がっているサンセンの頭を見下ろした。
「……ツァッ」
首だけになったサンセンは血涙を迸らせながらアッシュの足首に嚙みついて見せた。しかしもう力は感じない。血の涙を撒きながら五回の瞬き。「コ・ロ・シ・タ・ル」のサインか。天井に空いた穴からクルクルとリボンを緩やかな落下傘にして金メダルが降ってきた。
「持っていけ!」
「チバァ……」
「グゥウヌヌヌ……。我が国の事情に巻き込んだことは詫びよう。初めからそのつもりだった。だが私は揺るがない。これからも犯罪者は殺す」
「好きにしろ。お前の力が及ぶなら」
最後のヤクザがセリザワの刀で血錆びになった。競技大会が終わったのだ。
「アッシュ。俺はチバが間違っているとは思わん」
「それは親父の価値観と似ているからだ。……それも貫けば正義になる」
「そうであってほしいと切に願う。高くつくぞ、チバの腕を奪ったことは」
「そうかもな。だが俺はここで殺すことしかできなかった。親父には悪いが俺は……」
フジ・カケル
金:9個 銀:3個 銅:1個
犬養樹
金:6個 銀:4個 銅:2個
セリザワ・ヒデオ
金:6個 銀:2個 銅:1個
総合優勝:フジ・カケル
大会MVP:フジ・カケル




