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アブソリュート・トラッシュ  作者: 三篠森・N
第2章 拳を振る太陽
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第10話 メロンガガガ

 ビルの森の中からゆっくりと一人の巨人が立ち上がる。

 深海のような静けさの深い青のボディ、鈍色のプロテクターを胸と肩に装着し、鋭く光るバイザーに頭頂部から後頭部にかけて伸びる一枚の刃。彼が立ち上がるだけで建物の窓ガラスはビリビリと鳴き、天井からはほこりが降ってくる。一歩歩くだけで車が跳ねる。


「ディッ!」


 彼を見上げる人達の視線はどんどん地面と垂直に近くなっていく。電信柱よりもはるかに大きい残忍な刃が、凶悪な侵略者の喉笛につきつけられる。


「アブソリュートミリオンだァー!」


「ミリオンがやってきた!」


「ミリオン! ミリオン!」


 飛燕頑馬もグッと拳を握り、父の雄姿を讃える。


「ディエエエ! ボーナス確定!」


「ッシャア!」


 危なかった。もう少しで『CRアブソリュートミリオン』に宇宙最強の台パンをするところだった。たまには一人で過ごす日も悪くはねぇーぜ。自分も大人、バース、マートン、オー、メッセもそうだ。一人の時間を持つべきだ。隠し事だってしていい。隠し事を共有してこそ、人と人とは友になれる。『CRアブソリュートミリオン』の演出画面では、かつて地球の侵略に利用されたメッセの同族、電后怪獣エレジーナが八つ裂きにされているのであまりいい気はしないが……。


「頑馬ァアアア!」


 上半身に投石による打撲、足には落とし穴に仕掛けられた木片でダメージを負ったバースがやってきて頑馬の耳元で声を張り上げる。


「メェェェル見てねぇのかぁぁぁ!?」


「見てねぇな。今は手が離せねぇ。どうしたバース。ケガしてるのか? 誰にやられた? 訊くまでもねぇな。アッシュか」


「ああ。あとナントカっていう誰か変な鎧の地球人だ。よくわかったな」


「相手がジェイドならさすがのお前もこの程度じゃ済まねぇ。アッシュがお前を相手にそこまでやれるとは驚き、いや、アッシュがお前を相手にやる気になるとはな。お前、何かしたな?」


「ああ。アッシュの女を殺すことにしたんだ。それがアッシュにバレてマートンとオーがやられた。メッセも狙われている」


「……あぁ?」


 『CRアブソリュートミリオン』のレバーのプラスチックが沸騰し異臭と共に焼け焦げて、出てきた玉が高熱で赤く染まる。

 頑馬の怒りに全回転リーチがかかる。




 〇




 サンシャインシティ!

 超高層ビルサンシャイン60を抱える日本屈指の大型ショッピングモール! ポケモングッズの総本山ポケモンセンターメガトウキョーやイベントエリア、トイザらスやハローワークまで擁する!


「うわっ……。ママー、すごいきれいな人!」


「ケンちゃん、しぃーっ! あんまり見ちゃいけません!」


 哀れケンちゃん……。きれいなお姉さんがいるなんてママに言わなければ、きれいなお姉さんのパンツや健康的に肉のついた太ももを誰にも咎められず凝視できたのに! 「プラレールを見てたんだ!」とかウソを言って……。きっと一生の思い出になったぞ。

 一人の休日を過ごすメッセはトイザらスのプラレールのジオラマの前に座り込んで大好きなエナジードリンクを補充していた。思考することにはあまり使わないが、情報処理や仲間たちに伝えやすくするための情報の最適化、電磁波によるレーダーでの索敵や、感情を電波として認識し簡易な読心術を可能にする。パソコンは何も考えないが電気を食う。普通に暮らしているだけで常人が認知出来ない大量の情報に晒されるメッセの脳は莫大な量のエネルギーを必要とする。


「メラ!」


 バキィッ!

 メッセがプラレールに拳を叩きつけ破壊する! よかったなケンちゃん。大人のお姉さんがいきなりオモチャ屋でオモチャをぶん殴るところなんてみたら一生トラウマになるとこだったぞ!


「ついに来たわね。バースからメールが来てるわ」


 『ねらわれてる めっせきをつけろ』。


 メッセの脳が大量の電波を受信する。怒りと哀れみ、そして強い敵意は、一つ一つという個を超えた大群となって無形となり、嵐や波のように押し寄せる。脱線したプラレールの屋根をジャッキー・チェンのように分身メロンが駆け回る。


「鼎ちゃんに仕掛けた何かを解除して」


「アラ、あなただったのね。ずっとアッシュについてた米粒みたいな」


 周囲の人間はまだラリった女がオモチャを殴り壊したとしか思っていないが、感覚が鋭いメッセはおもちゃ屋の中に潜む数百の分身メロンの存在に気付いている。こいつはアッシュがまだ仲間だった頃はずっと近くに感じていた。あまりに小さく、あまりに意思を感じないので虫か浮遊霊かなんだと思っていたが、一丁前に言葉を操ったり感情を持ったりするようだ。

 ガタンと音を立て、メッセの背後の棚からプラモデルの車両が投げつけられる。ポルターガイスト。物理的干渉も出来るようだ。ならば殴れば殺せる。

 ガツンガツンと音を響かせ、メッセがローファーで足元の身長一.五センチの魑魅魍魎を踏み殺していく。アブソリュートミリオンが地球にいた頃は人間が踏み殺されるのは珍しくなかった光景だ。オモチャの街は大怪獣メッセに蹂躙され、建物も車も無残に破壊されていく。

 ブルゴーニュ地方のワイン造りの名手の女の子や讃岐のスーパーうどん職人おばあちゃんのようにバタバタと足踏みを繰り返す。踏んでも踏んでもキリがない。ネットでこのメロン大量殺戮を知ったスケベな足フェチが踏まれに来るのも時間の問題だ。

 実際、効いているのか?


「その程度じゃわたしは殺せない」


 メロンの超能力は分身、爆破、不死身の三つであり、魂を削って大量の分身を作り出す。その上限にはまだ挑んだことがないが、今までは最大で二千人。その分身が全体の数パーセントまで減らされてしまうと本体もダメージを受けるが、分母が大きければ大きいほど犠牲になる分身の限界も伸びる。しかしダメージが閾値を超えてしまった場合、分身を多く出しているとフィードバックも大きくなる。死に至るかは不明だ。


「そう?」


「本当は手荒な真似もしたくないの。フジくんを通してあなたたちを見ていた。悪いことをしないあなたたちはとても仲良しで、うらやましいくらいだった」


「悪いことをしない? バカみたい。誰だって悪を避けては通れない。あなたも。アッシュも頑馬もジェイドも。あの地球人の女の子だって。誰かは勝手に誰かを悪だと言う。その悪への制裁が私刑ならばそれも悪。悪の隣に悪があって、それは誰かにとっての善でもある。そして悪はどんどん角度が増えて、円周率のように無限になる」


「そんな話がしたいんじゃない。鼎ちゃんに仕掛けたものを解除してほしいの。今なら暴力を使わなくて済む」


「暴力を使えば消えてくれるの? メラッ!」


 バチッ!

 メッセに睨まれた分身メロンが一人、電撃で蒸発する。メロンにはメッセの前髪の隙間で何か光ったようにしか見えなかった。

 1/?。

 今までの分も合わせてまだ36/?。数量の限界まではまだ遠い。だがメロンに異変が生じる。


 ……―――

「お母さぁん。これ買ってー」


「もぉう、また今度って言ったでしょ、千穂」


「やぁだぁ! ダークルギア使いたいぃぃぃ」


「じゃあ、もうしばらくガチャガチャはしないって約束する?」


「する!」


 ―――……


 メロンがまだ鹿井響子だった頃、彼女は夫の凪、そして娘の千穂とこのトイザらスサンシャインシティ店に来たことがあった。何故今思い出すのだろうか。鹿井響子があちこちで埋めた記憶のタイムカプセルは、鹿井響子と網柄甜瓜でもある今、地雷のような危険物となる。


「この場所を壊したくはない」


「へぇ? 甘い。炭酸抜きのエナジードリンクよりもとても」


 メッセが口をガバっと開き、デンタルクリニックの模型よりもきれいな歯並びをメロンに見せる。なまめかしい舌の先端に火花が散った。刹那、ジオラマの窓ガラスがエレジーナ超電磁流で貫かれ、中で待機していた分身メロンが感電死する。舌の先端を向けられた床、壁、オモチャ、メロンの思い出が邪悪な電撃で焼き切られ、プラスチックの断面が気泡交じりに焦げ付いていく。


「メアッ!?」


 分身メロンの一人が尖ったプラスチック片をメッセのくるぶしに突き刺した。別の場所では別の分身メロンがバケツリレーで運んだシンナーの缶のフタを開け、トイザらスに異臭を放つ。電磁流が止み、ようやくこれがアトラクションではないと気付いた客たちが避難を開始した。


「……」


 オモチャのビルの谷間からシンナーで溶いたゴム糊の塊を投げつける。『モスラ』の幼虫の放つ強靭な糸はこうして撮影されたという。これは甜瓜の方にあった記憶だ。

 娘の千穂が好きだった特撮。外庭に記憶の改竄の必要なしと判断されてメロンに残った特撮の記憶。そして肥大化した不完全な特撮好きの記憶と、それをごまかすために外庭に与えられた三万円越えの超大作『新世紀特撮読本』には、ストップモーションからタグチップまで古今東西ありとあらゆる特撮技術が載っていた。


「メラッ」


 しかしメッセには届かない。拒むように全方位に発射された電撃波が特撮の糸、プラスチック片を持って特攻した数人の分身メロンを焼き尽くす。届かない……。天井の電球のフィラメントをチカチカと点滅させ、怯える子供たちや子供を守ろうとする保護者達の悲鳴の中で、メッセは天使のような白皙で悪鬼の如き笑みを浮かべる。


「鼎ちゃんを助けたい」


 一九七九年六月十日。東京都杉並区。

 希代の天才ゲーマーにして完全無欠の美貌、天に二物を与えられた逸材、鹿井響子誕生。

 ゲームにどっぷりハマり、“井荻に響子あり”とまで呼ばれ、驚異のプレイスキルと美しさから都市伝説と化す。まだSNSもない時代だ。噂は尾ひれをつけて独り歩きする。そんなに美人で強いやつが本当にいるのか!? あまりにも苛烈なプレイスタイルからは想像もつかないほど控えめだがお調子者でもある性格で、物事が大きくなりすぎるとビビってしまうので、自らの美貌への他者からの羨望と憧れに怯える余りに鼎のように調子に乗って姫になることもなく、ゲーセン通い以外の非行はなかったし恋愛には奥手だった。

 高校卒業後はフリーターとして筐体にブチ込む百円玉を稼ぐ。一九九八年、ゲーセンとは縁もゆかりもない凪とお見合い結婚。ゲーセン通いを封印するが、『銀』でポケモン図鑑を完成させる。二〇〇〇年に娘の千穂誕生。女の子なのに男の子向けの変身特撮ヒーロー好きだった千穂と中野ブロードウェイに足繁く通う。二〇〇五年に凪、千穂と死別。二〇〇六年から網柄甜瓜、そしてゴア族最高幹部サクリファイスとして活動する。

 一九七九年から二〇〇五年の間の記憶がとめどなくあふれ出す。外庭の改造手術により二十六歳だった二〇〇五年から歳はとらないが、たった五年の母親生活で芽生えた母性だろうか? フジや鼎、和泉の力になりたい。


「泣いてんの?」


 感情を察知するメッセはメロンの動揺を敏感かつ確実に感じ取り、屈みこんで電撃交じりのデコピンでまた一人分身メロンを吹っ飛ばし、プラレールに轢かせて死に至らしめる。かつて千穂に買ってあげたようなサスペンションもない空っぽのミニカーのボンネットから別の分身メロンが一六六センチのメッセの顔を見上げるが、視線からの電撃により一瞬で消し去られる。

 108/?


「鼎ちゃんに仕掛けたものを解除して」


 バキッ!

 気配もなく忍び込んだ分身メロンの一人がメッセの左手小指の生爪を引っぺがし、血の雨がオモチャの街に降る。激痛と怒りでメッセの興奮はピークに近い。左手に電流を流して爪を剥がした分身メロンを始末するが、客の避難が済んだことを確認したメロンは数に力を言わせて特攻の飽和攻撃を仕掛ける。メッセは背中のリュックサックに入れていた緊急補給用の糖分、五〇〇ミリのコカ・コーラを五本取り出し、分身メロンたちに向けて転がし、オモチャの街をコカ・コーラのロードローラーが蹂躙し、分身メロンを轢殺する。回転が止まったあたりで電撃で缶に穴をあけ、流出したコーラに電流を流して大量の分身メロンを殺害する。

 膠着状態はメッセのインスピレーションが打開した。流れが読めてきた。このチビの密度が高い方角がある。その方向を辿っていけば本体がいるはずだ。そっちを殺せばさすがに終わるだろう。


「メラァッ!」


 チームの頭脳、戦術の核、司令塔というポジションから最前線で戦うことは少ないメッセ。チームプレーではバースやマートンに守られることが大半だが、マウンドもない葛西臨海公園のビーチで一四七キロのストレートをボール一個分のコントロールができるほど身体能力は高い。アスリートを除けば地球最速級のスプリンターである和泉の短距離走を凌ぐ速度を長距離維持できる。その自慢の快足を飛ばし、トイザらスから脱出する。


「あれ……。まだいる」


 少しでも速度を緩めると視界のどこかに必ず分身メロンが入る。一体何百……いや、何千いるんだ!? だがいるってことは、つまりそういうことだ。自分が向かっている方向は正しいということだ。現に今、走っている先には強い怒りを感じる。


「見つけた」


 バスターミナル。ピンと背筋の伸びた長身の女が一人で立っている。その残忍と慈しみが鞄に放り込んだイヤホンのように絡まった美しさにメッセは心を奪われた。自分は宇宙でも美人の方だと思う。だがこの女の美しさは常軌を逸している。ありとあらゆる情報がそう告げている。メッセの心は真空だ。その美しさで爆発的な衝撃を受けたメッセの心からは理性が吹っ飛ばされたが、あまりにも爆風が強すぎてまだ空気が戻ってこないのだ。


「……」


 我に返った時にはもう遅かった。分身メロンの群れがメッセの足に包帯を巻きつけ、セクシーな腿や腰、胸に繊維が食い込み、ミイラのように全身を包帯で覆われてしまう。電撃では払えない……。包帯に火がついて火だるまになってしまう!


「鼎ちゃんに仕掛けたものを解除して」


 今度は分身ではない。包帯越しにいる人間の声帯から発せられた声だ。

 甜瓜がわざわざ危険な場所に出向いたのは、自分の姿にメッセが見とれる確信があったからだろうか? もしそうなのだとしたら、全く暴力を使わない制圧方法だが最も残酷な方法でもある。


「……わたしにはわからない。バースがそう言っていた」


 屈服。

 バースにもデラシネの解除方法はわからない。彼の場合は取説が読めなかったのでメッセにそう伝えたが、仕掛けた本人であるオーにも一度根を張ったデラシネを剥がす方法は不明だ。


「わたしを殺すの?」


「殺しはしないわ。国へ帰ることね。あなたにも家族がいるでしょう。……!?」


 メッセのレーダーに激しい怒りの反応が一つ増える。目の前の甜瓜の悲しみや慈愛の混じったものではない。かつて葛西臨海公園でフジから感じた葛藤を紛らわす怒りでもない。暴力に満ちた純粋で凶暴な激怒だ。こんな反応は感じたことがない。そして特殊な感覚のない通常の肌を覆いたくなるような高熱にさらされる。


「飛燕……頑馬……」


 甜瓜が声を震わせる。甜瓜にはメッセには絶対に負けない自信があった。この超能力を持っている限り、自分を殺すことが出来るのはジェイドのような超広範囲の攻撃が必要だろう。今の肉体を捨てても、フジ、鼎、ユキ、和泉の四人に分身がついている以上、魂は残るので自分が完全に死ぬことはないはずだ! ……だった。憤怒の飛燕頑馬は不死身の甜瓜に二度目の死の恐怖を与える。


「アッシュの仲間か」


「ええ」


「バースから話は聞いた。アッシュが連れていたあの女……。そう、名前は鼎。鼎に俺の部下たちがバカなことをした」


 それは正義の心から? それともジェイドやアッシュとの決闘の純度を下げるから?

 ふつふつと湧き上がる怒りの言葉を頑馬に投げつけることが出来ない。鼎たちの力にはなりたいが、もう自分は自分も、誰も犠牲にする気はない。トイザらスでフラッシュバックした記憶は死への強い嫌悪をメロンに植えた。


「この飛燕頑馬が愚かな部下の後始末をする」


「わたしはメッセを殺さなかった。だからあなたもメッセを殺さないで」


「すまねぇな」


「あなたのためじゃない。わたしはもう、誰も殺さない」


「あぁーあ。ジェイドに感化されるとゴア族までこうなっちまうのか。フッ」


 恐怖でガタガタ震える奇妙なミイラになったメッセを担ぎ上げ、意味深長なため息をついて飛燕頑馬が空に消える。自分に出来ることはこの程度かもしれない。




 〇




「……あのポケベル野郎ッ……! ブッ殺してやる!」


 意識を取り戻したフジはやけに白い天井とシトラスのアロマオイルの香りが漂う小ぎれいな部屋にいた。壁に飾ってある色鉛筆のヘタクソな絵、丁寧に並んだマンガ。来たのは初めてだが、ここが姉の部屋“キャッスル祖師谷”だろう。自分の住んでいる“コーポ・蓮見”とは全然違う。メチャクチャいい部屋住んでるじゃねぇか!

 布団から跳ね起きて周囲を見渡すがどうやらユキはいないようだ。そして跳ね起きたことで自らの負傷が治っていることを気付く。テーブルの上には几帳面に夕食、翌日の朝食、昼食、夕食までのメニューの書置きがある。この料理は冷蔵庫のどこにあるから何Wで何秒レンジでチンするか……。明日まで帰らないつもりか。

 気を使わせてしまった。マートンには勝ち方をこだわってゴア族カンフーでボコボコにされたが、手段を択ばなければ割と簡単に勝つことが出来た。だがバースには和泉と二人がかりだったのにこの有様。そしてユキがいないということは、ユキは簡単にバースに勝てるということだろう。ユキは強すぎてフジに合わせる顔がなかったのだ。そしてこんな言葉を聞きくなかったのだろう。


「もう無理なんで、姉貴がバース倒しておいてくれねぇ?」


 残念。フジの血は熱を帯び、高速で体を駆け巡る。宇宙最強の戦闘種族アブソリュート人の血が。


「メロン」


「何?」


「和泉は無事か?」


「フジくんよりはね。わたしはメッセを倒すことが出来なかった……。少し、状況が変わったの」


「なんだ、どうした?」


「飛燕頑馬がユキと一緒に鼎ちゃんを助けようとしている」

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