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アブソリュート・トラッシュ  作者: 三篠森・N
第2章 拳を振る太陽
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第7話 ズッキュン! 恋する乙女は不老不死!

 『フジ・カケル』『不二欠』『フジ・カケル SNS』『フジ・カケル フェイスブック』『フジ・カケル ツイッター』『フジ・カケル uTube』『フジ・カケル インスタ』『フジ・カケル ブログ』『フジ・カケル 卒業写真』


 といったあたりが鼎のGoogle検索の履歴にビッチリ詰まっている。恋は人を盲目にするとか言うが、葛西臨海公園で見た和泉を叩きのめしている時のフジは尋常じゃなかった。激しい怒りと葛藤、和泉への想い、ジェイドへの想い、そして飛燕頑馬への想い。鼎への想いもゼロではなかったと思うが、小数点以下だったかもしれない。それでも頑馬が鼎を「イタい女」と言った時は、一瞬ではあるが四捨五入で一になるくらいの怒りを見せてくれた。だが怒りのピークは六秒で済むという。あの時、フジは六秒耐えたのだろうが、ピークが過ぎなかった七秒目を見たかった。

 フジはフジなりに頑馬やその部下をどうにかしようとしてくれている。今は上手くいっていないようだが、自分がフジの気持ちを汲むのなら、邪魔にならないようにどこか遠くへ行くことくらいしか出来ないのだろう。

 なんて、フジのせいにも出来るが、自由でチャランポランでアウトローなフジに心惹かれていた鼎は、本当は「逃げてしまえ」と言ってしまおうかと……。“ジェイド”や“ミリオンスーツ”に任せて、楽に……。

 鼎は、和泉やユキと違って、“フジ・カケル”しか知らない。“アブソリュート・アッシュ”を知らないのだ。

 だから気楽で自由なフジ・カケルに戻ってもらうために、東京から千キロ離れた福岡に行って自分の無駄口が届かないようにする。自分を抑えるには千キロ離れるしかない。しかしインターネットと恋心は距離すら無視する。フジへの想いは離れるほど強くなる。デラシネの寄生で生命力が弱まっているはずなのだが……。それとも生命の危機で本能的に子孫を残そうとする気持ちが強まっているのか?


「メロンさん、フジは今、何してます?」


「もう寝ちゃったわ」


 ウソだ。メロンとフジはグルである。鼎が東京を離れることはフジにとっていろいろ都合がよかったし、フジはメロンを信用している。メロンに見張らせながら鼎の旅行を長引かせ、その間に頑馬たちをどうにかする。それがフジの考えだ。


「九州はラーメンっていう人が多いけど実はうどんよ。ラーメンもいいけど! それに福岡ドームでは屋内花火が打ち上がるわ! あと……それから、一九九四年の十二月公開の『ゴジラvsスペースゴジラ』の最終決戦と一九九五年三月公開の『ガメラ 大怪獣空中決戦』でもギャオス捕獲作戦に使われて、福岡は短い間で二回も怪獣映画の舞台になったの!」


「九州着いたら、まずワイヤレスイヤホン買います。一人で喋ってる痛い女と思われたら嫌なので」


 ウソつくのとごまかすの下手だなー、このメロン。悪の組織の幹部だったとは思えない程ウソが下手で、バカがつく程お人よしだ。人に付け込まれやすいタイプだろう。実際、フジはその優しさに付け込み、根回して今、ウソをつかせている。少なくともフジは今、寝てはいないってことは確かだ。

 メロンはバカがつく程お人よし。

 見抜かれているとはいえ、鼎を守るためとはいえ、恋する乙女に愛しいカレについてのウソをつくことに心を痛めている。記憶が戻りつつあるメロンは、前世で結婚していたことも思い出し始めていた。恋人で、夫になった凪という男性を想っていた頃、自分は不老不死なんじゃないかってくらい気力と体力と生命力にあふれていた。今のこの子もそうなんだろう。ユキへの恩義ではなく、かつて恋する乙女だった一人のメロンとして、この子の恋を成就させてやりたいとさえ思っているが、今は実らない。カレの方に問題が山積みなのだから……


「セアッ!」


「ギラァッ!」


 明け方の多摩川河川敷。二人の異星人が暴力でぶつかり合う。強く踏み込まれた河原の石はキシキシと鳴き声を上げ、逢引きをしていたザリガニのカップルがヒソヒソ話をする。


「効かへんぞボケェ!」


 ゴア族のエリート戦士マートンはゴア族カンフーの達人だ。

 動きは俊敏で精密、そしてしなやかだ。ゴア族、アブソリュート人、地球人は、強度こそ違うもののほとんど同じ骨格を持っている。関節や腱などの人体の設計図の知識、実際に拳を交えてわかる肉弾戦の熟練度と言った情報から敵の可動域を見出して行動を先読みし、極め付きはゴア族カンフー守りの奥義“三十六式方円掌”。全ての格闘技において、攻撃の始点になるのは三十六パターンという思想から、三十六パターン全てを掌でいなす、止める、掴むことが出来る“三十六式方円掌”は、ボクシングのヘビー級チャンピオンのパンチからアブソリュート人の人間態まで、全ての攻撃に九十九パーセント以上の確実な防御を約束する! 暖簾に腕押し、糠に釘、柳に雪折れなし。肉弾戦でマートンにダメージを与えられるのはアブソリュート・ジェイド程の素早さかアブソリュート・レイほど馬力が必要だ。残念ながらアブソリュート・アッシュの格闘センスは中の上、速度もパワーもトガっていない。

 この攻撃には……。十六の掌! これには七の掌! 二十一、三十、二、十九、また二十一!

 フジの拳、蹴り、全てが洗練されたゴア族カンフーに無力化される。松岡茉優の恋愛対象にゴア族が含まれているとしたら、自分にもちょっとチャンスがあるんじゃないか? って思える程今の自分とゴア族カンフーはカッコいい! 完璧だ! これこそ録画してuTubeに投稿すべきだ。ゴア族カンフーを習っている子供たちへの最高のお手本、そして稽古へのモチベーションになる。


「ホンマにお前、頑馬の弟か? 軽すぎんでぇ」


 三の掌でフジの拳を柳のようにいなし、隙を作ってカナダの木こり一族グレゴリー家の家長ジョセフの斧のような肘の一撃をフジの脳天に振り落とす。マートンは趣味のバスケでもよく相手チームのエースに肘打ちを食らわせているが、カンフーの肘とバスケの肘は違う。相手を退場させるためではなく、破壊するための肘だ。肘と頭蓋骨がゴツンと鈍い音を立て、冷たい石に敵の顔面が墜落する。


「畜生が。宇宙は広いな」


 フジ・カケル。一七四センチ、五十七キログラム。

 マートン。一八四センチ、八十一キログラム。

 クルーザー級とフェザー級ほどの体格差に格闘センス、そして信頼出来る技の有無、実戦経験。戦いが進むにつれ、フジの戦力を把握し、ゴア族カンフーの方程式にハメていく。


「バリアー張ったら勝てるぅとか抜かすなよドアホ。俺が一番弱いんやろ? 悲しくなるわ。それでもアブソリュート人の端くれやろ? こんな程度なんか? 俺らが目指したアブソリュートって。こんなんに族長は負けたんか!?」


 シャレになんねぇぞコレ、もぉうおい……。

 マートンがこんなに強いとは思わなかった。マートンが頑馬の部下では最弱というフジの予想は間違っていない。だが、一番下でもこの強さだ。


「まだ終わらんぞガキがコラァ。それとも油断誘ってんのか? アブソリュート人はセクシーコマンドーも使えるんか? さすがにゴア族カンフーもセクシーコマンドー対策はしてへんけどな」


 相手の攻撃に後出しで掌を出しても間に合う距離まで後退し、マートンは無敵の掌を広げる。ズタボロにされたフジは血の混じったツバを吐いて地球の武道“空手”の構えに入り、記憶のページを丁寧に辿る。この武道を使った和泉は強かった。地球人とアブソリュート人のスペック差がなければ、フジは空手を使う和泉には格闘で勝つことが出来ないことを知っている。だからこそ、素手でマートンに勝ちたい……。


「犬ってのは朝と夕方に散歩するんやろ? 今朝の犬はラッキーやな。アブソリュート人の肉なんて食ったことないやろ」


「ゴア族の肉なら食ったことがあるかもな。ゴア族ならこの間、何人か殺して魚に食わせてやったからよ」


「地球人でもええで。こないだの姉ちゃん、もうすぐ木っ端みじんになって死ぬしな」


「……。クソ野郎が、やっぱり何かしてたな」


 鼎に何かを仕掛けられたことはメロン経由で知っていたが、疑心が確信に変わる。マトモに戦うのはもうやめだ。ここから先は、強くなるための戦いではなく殺すための戦い、アブソリュートの戦士ではなくフジ・カケルの戦いだ。


「どこかでお前らを許したいと思ってたが、もうダメだ。気が済まねぇ。殺してやるよゴア族野郎。鼎に何を仕掛けた知らねぇが、お前を殺して皮を剥ぐ。俺はお前の皮を被って他のやつから解除する方法を聞き出すことにする。セアッ!」


 パァン! マートンの無敵の掌が河原の石を叩き落とす。フジは肉弾戦を放棄し、人類が最も早く身に着けた原始的な遠距離攻撃、投石を行ったのだ!


「ヤケか?」


「ヤケじゃねぇ」


 フジは愛用のパーカーを脱ぎ、ジッパーを締めて袖を縛り、即席の袋を作って河原の石を詰めていく。防御でリズムを作るタイプのマートンはその動きを観察しながら攻撃に備える。


「なんかもう、ええわ。お前ダルいわ。石投げるとかアブソリュート人のすることやない」


「ああ? 知らねぇよタコ。アブソリュート人に理想持つな。セアッ!」


 二度目の投石も無敵の掌に弾かれ、マートンの足元の石に激突して砕け散る。石を補充したフジはバリアーの足場で上昇し、一メートル程の高さから投石を再開した。


「ギラッ」


 四の掌! 九の掌! 九の掌! ゴア族カンフーは次々と投げつけられる石を最適に処理する。パンチやキックよりは威力は高いが、たかが石だ。このままガキの石が尽きるまで待ってもいいが、マートンはゴア族のエリート戦士。しかも相手は、あれほど戦うことを夢見たアブソリュート人なのに雑魚だった上、せこい真似をし始めた。ガッカリだ。アブソリュート人にも、アブソリュート・アッシュにも……。


「ギラッ!」


 発射台であるフジの右腕に狙いを定め、ゴア族カンフー特有のしなやかな動きで距離を詰める!


「足元がお留守だ」


 マートンのつま先が何か硬いものに触れる。その何かにぶつかって勢いが余り、駆動の予定が狂った右足の力は行き場を失って膝を震えさせる。足下の確認のために一瞬マートンの視線がフジから逸れ、異変の視認が始まる。


「バリアーの段差……?」


「セアッ!」


 パキッ!

 マートンの額に投石が命中、額の皮膚を割り、ゴア族特有のドス黒い血が鼻を伝う。こんなせこい攻撃を食らってしまった……。怒りに震えるマートンの体は額の血を飛散させ、河原の石に禍々しい水玉模様を作る。


「このガキ……」


「セアッ!」


 九の掌が投石を無効化する。だが……。手がない!? フジに視線を合わせたままで足元がお留守になればまた段差で転ばされる。だがフジから目を離せば投石を食らう。石がなくなって補充しに地面に戻るまで、自分に出来ることは防御だけ!?


「このガキ……。俺はエリートだ! 降りて来い! クズ野郎! あああ! このガキ!」


「セアッ!」


 九の掌で投石を無効化! 投石のパターン解析も確実に進んでいる。そしてフジが次の投石モーションに入る。


「セアッ!」


 九の掌! 掌ゥ……? 石が来ない? 石の軌道とフジは九の掌の構えに突き出した左手の甲に隠れている。マズい、また足下か?


「野球ならボークだが、セアッ!」


 パキッ。投げるふりでマートンのタイミングを狂わせ、投石! マートンの左手の小指に命中し、爪が内出血でドス黒く染まっていく。マートンの脳内に分泌されたアドレナリンは指と額の痛みよりも大きな怒りとなり、発露する!


「ボケがッ! 降りて来いガキッ!」


「お前のそのカンフー、これも防げるか?」


 姑息なアブソリュート人は左手にソフトボール大のバリアーの塊を作り出し、それを砕いて砂に変える。指の隙間からバリアーの砂を零れさせ、残った一握の砂。それに息を吹きかけ、インスタントの砂嵐を発生させる。石、拳、蹴り。こういったものは弾けても、さすがの“三十六式方円掌”でも襲い来る砂嵐の砂全てを弾くことは出来ない。ザザッと半透明な砂がマートンを中心に放射状に広がった。フジの指から零れたように砂は無敵の掌の防御をすり抜け、マートンの目に侵入して激痛を引き起こす!


「セエアッ!」


 バキィッ!

 憎悪に燃えるフジ・カケルの火の出るようなサッカーボールキックがマートンの肋骨を叩き折る!

 肋骨……肺、心臓、肝臓など主要な臓器を守る。

 症状……骨折部位に一致した疼痛および圧痛、腫脹、皮下出血。


「しばくぞぉゴルァ!」


 ようやく砂を振り払い、傷つけられ充血した目に最初に見えたのは、無敵の防御が間に合わない距離まで接近している石……。


「セアッ!」


「ギレッ!?」


 眼窩底……眼球を支えている薄い骨。

 症状……複視、眼球陥凹、頬部や上唇のしびれ。


 マートンの右目から一時的に視力が失われる。さらに怒りが燃え上がる。カンフーは人間が手にした思想の力! 連綿と受け継がれてきた経験値と哲学の末、多くの無能で濾過して一部のエリートのみが奥義を授かる。それが……。投石に負けるだと!? ありえない。あってはならない! マートン個人のプライドではなく、ゴア族カンフーのマスターたちが極め、誇ってきた歴史が! 習得出来ず涙を飲んだ無能たちの悲しさが! 猿でも思いつく投石に敗れるなどあってはならない!


「今のはバーベキューで言ったらどの部位かな? 頑馬兄さんに習っておきゃよかったぜ。とりあえずもう一発カルビ行っとくか」


 怒りと痛み、左目のみの視力で精度の狂った“三十六式方円掌”を躱し、フォームだけはきれいな回し蹴りがさらに肋骨にダメージを与える!


「ギレェッ!?」

 

 肋骨……肺、心臓、肝臓など主要な臓器を守る。

 症状……骨折部位に一致した疼痛および圧痛、腫脹、皮下出血。


「ガハッ……」


 マートンの口から吐き出された黒い血がフジのエアジョーダンから滴った。まだマートンはフジの表情の確認と読解を行える状態ではない。


「どうやらミノ、ハチノス、センマイ、ギアラのどれかにダメージが行ったな」


「おいガキ、これで終われると思うなよ。あの地球人のメスを殺してお前に食わせてやる」


「あぁん? ゴア族の言葉はわからねぇな。カシラいただきだ!」


「ギレェッ!?」


 息子のバーノンが九歳の時にカーペットを燃やした時のカナダの木こり一族グレゴリー家の家長ジョセフの鉄拳制裁のような右のフックが頬を捉え、衝撃で舌が歯にぶつかって出血する!

 下顎骨……下顎の歯を釘植する。

 症状……咬合の異常、顔貌の変形、開口障害、嚥下障害、流唾。


「おっとタンまでぇ。ハツはまだ無事か?」


 マートンも腹を括るしかない。生命線である技の精度が狂い、片目の視力が殺された。さらに自分が優勢だった時のフジはバリアーを使わずあくまで肉弾にこだわっていたが、そのこだわりももうないようだ。

 残された手段はただ一つ。人間の姿への変身を解除し、ゴア族の姿に戻る。そして巨大化し、踏み潰す。ゴア族は元々目が潰れているため、視力のハンデは打ち消せる。巨大化すればダメージも大きく回復出来る。

 だがマートンのプライドが邪魔をする! 投石なんて行う雑魚に対し、巨大化することはカンフーの負けを認めなければならない。そしてこんな雑魚一人を仕留めきれず、巨大化まで追い込まれるのは恥だ。マートンには自分が頑馬の部下で最弱の自覚がある。バースなら投石する前に圧倒的な力でフジを殺せるだろうし、オーの硬さの前にはこの程度の威力の投石は無意味だ。メッセのインスピレーションとサイキックならフジの投石前に容易に躱し、人間態のまま対応出来るだろう。自分もフジも彼らに敵うとは思わない。だからこそ、フジには勝たねばならない! どんな手段を使っても!

 ゴア族に伝わる原始の刃物“ゴアの守”を抜く。武器としては物足りないゴアの守だが、ゴア族に受け継がれるこの刃物はゴア族の超常的な力の媒介としては十分、多くのゴア族はゴアの守に自らの本当の姿を隠し、鞘から引き抜くことで変身を解除する。

 鞘から現れた鞘の容積以上のドス黒い布がマートンを覆う。異次元から呼び寄せた布で作った繭の中で、ゴア族は本来の姿に戻る。カンフーの誇りを捨てようが、ここで敗北することこそ頑馬に対する最大の背信行為! 負けはあり得ない。

 だが目の粗い布を強い光が貫通する。まだ残っている視力で見たあの時のバーベキューの構えは、その左手の放つ強烈な光に埋められ、マートンの背後に歪な影を作る。


「クソガキ……ッ」


「Δスパークアロー」


「ギラァエエエッ!?」


 憎悪の籠った光の矢は、マートンがアブソリュート人用に編み出した三十七番目の掌とその先のアロハシャツ、ハラミを貫き、マートンの背後の石を『007』のガンバレルシークエンスみたいにして、血のカーテンで穴を隠す。

 もう変身どころか立つことも出来ない。ついにマートンは“三十六式方円掌”による防御を放棄し、両手で後頭部を覆って蹲る究極の防御形態、亀のポーズをとる。ここから反撃に出る手はゴア族カンフーには何一つとしてない。待つのは内臓の損傷と失血による死である。もう何も見えない。


「ハァ……」


 とどめのΔスパークアローで頭を撃ち抜こうかと思ったが、多摩川に差した朝日と水面に映った血塗れの自分の姿がフジを正気に戻す。そして気配もなく、マートンを見下ろすフジに影がかかった。


「姉貴か」


「彼らが鼎ちゃんに何かしたの?」


「らしい。詳しくはまだ知らねぇ。メロンに訊いてくれ」


「わかった。そうならわたしもわたしのすべきことをするわ」


「姉貴。姉貴なら、こいつらに……。いや、こいつには楽に勝てたか? 勝ち方にこだわって勝てたか?」


「この彼くらいなら」


「あぁーあ、戦闘種族ってバカみてぇ。……あ、もしもし明石さん? 一人仕留めた」


 マートンの回収のためにACIDに回したスマホのGoogle検索の履歴はこうだ。

 『投石 威力』『望月鼎』『モチヅキカナエ』『望月鼎 SNS』『望月鼎 フェイスブック』『望月鼎 ツイッター』『望月鼎 YouTube』『望月鼎 インスタ』『望月鼎 ブログ』『望月鼎 卒業写真』。

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