第58話 アドベント・チルドレン
「ク……フッフ。まぁ、いい。どうせあのオモチャは壊してもらう予定だったんだ。あのガキにやられるのは不本意でも、まぁいい。アッシュを殺したとなれば僕はいよいよ……」
どこか暗い部屋で醜悪な老人が白髪を掻きむしり、ぶつぶつと呟いていた。部屋にはモニター、スパコン、一枚一枚違う女性の写った写真。二人だけ男性の写真がある。一枚は一八五センチメートルの長身にちょびヒゲ、丸メガネ、アップバング七三、和装。鉄竹経修郎だ。もう一枚はモノクロ写真。どこか経修郎に似た面差しだ。怪しげな香りを放つお香が焚かれ、つい先程まで、ゴッデス・エウレカSCが破壊されてモニターが放つ警戒音と真っ赤なアラートで静寂が切り裂かれるまで、この老人の集中力を補って、念力を酷使するために必要な一種のトランス状態に入る補助輪となっていた。そして念力の過度な使用の反動で美男子の面影は消え、年相応の老人へと一気に時計の針が進んだ。
バタン。静寂、張り込めた香り、敗北とそれをごまかす卑劣な負け惜しみの成功による差し引きの計算は、突如として開かれたドアによって完全に破られた。
部屋の出入り口に立っているのは二人の人物。一人は、普段は編んでいるロングヘアーをほどき、サラサラキューティクルにお香の煙を吸わせる、白いワンピースに赤いアンダーリムのメガネの一五三センチメートルの小さな少女。もう一人はスポーティに短く揃えた髪に黒いレザージャケット、いかついスポーツグラスの一九一センチメートルの偉丈夫。ウラオビからでは逆光でも切り取られたシルエットだけで来訪者が誰かわかる。
「待っていたよ! ジェイド、そしてレイ! さぁ、一思いにやってくれ! たった今、君たちの弟を殺した!」
「……」
「それとも君が僕のお嫁さんになってくれるかい? ジェイド」
「……」
「フッ」
ウラオビは指を鳴らす。もう楔形文字のポータルは開かない。次なる策だ。秘密のリモコンのスイッチを押し、部屋にエウレカ・マテリアルの粉末が混じった煙幕を張って秘密の出入り口から、海外旅行先でボッタクリに騙されて安宿から逃げ出す貧乏学生みたいに逃げだした。
「ハハハ……。もう少し、もう少し僕の悪の伝説は続けよう。まだまだ……。まだまだまだ!」
なんて醜いのだろう、ウラオビ。ユキも頑馬ももう彼を追わない。急激な老化で超能力を使えなくなった憐れな男は追うまでもない、という驕りではない。無論憐みでもない。
「ウラオビ・ヨハン・タクユキ」
「ク……」
逃走経路に立ちふさがる、和泉岳。その目には激しい怒りが灯っている。ウラオビの犯した数々の罪、傷つけられた人々の無念、そして友人フジ・カケルに浴びせた最後っ屁。到底怒りなどという言葉で片付けられるものではない。しかし和泉の目に動揺はない。威嚇に値する程の激しい怒りを雄弁に物語りながら、それでも使命をまっとうするために自制した冷静沈着な目。まるでアブソリュートミリオンだ。しかしそれは和泉にとって誉め言葉にならない。和泉岳は地球人だからだ。地球を守る地球人の理想や褒め言葉が、他所の星から来た強力で強大すぎる巨人であっていいはずがない。
こんなごっつぁんゴールでいいのだろうか? 和泉は目の怒りで眼前の老人を睥睨しながら自問自答する。和泉一人でウラオビ・ヨハン・タクユキに何が出来た? この状況だってジェイドとレイのアシスト付き、ごっつぁんゴールどころかオフサイドだ。
だがしかし! 己の無力がいくら悔しかろうと、悪人をみすみすと見逃す訳にはいかないのだ! その眼光、決意にウラオビは怯んだ。そして……。諦めた。
「参りましょう」
こうしてウラオビ・ヨハン・タクユキは、悪の伝説の最期を英雄による処刑で飾ることなく、歴史の表舞台から姿を消し、人々の記憶からウラオビ・ヨハン・タクユキは風化した。彼がどう裁かれ、どう最期を遂げたのかを人々が知る由はない。
〇
「起きて、フジ」
「ん」
「ようこそ、ここへ」
「うわああああああああああああ!!!!!!」
甘く呼ぶ声に目を覚ましたフジは海外旅行先で夜這いされて安宿から逃げ出すミスター・チルドレンな貧乏学生みたいに飛び起きた。ミスター・チルドレンのフジは寝込みで急に妙齢の女性に話しかけられればこうなってしまうのも仕方ない。
「うふふ、キャワいい」
「クソババアアア!!! 生きてやがったか!」
繰り返すが仕方がない。眠っていたフジを起こしたのは見た目こそ妙齢の女性でも、実年齢は一万二千歳を超えているあのクソババアだったからだ。即ち、駿河燈。その正体は、外道の聖母アブソリュート・マイン……。
マインは駿河燈の姿のまま、窓際に腰掛けて髪を耳にかけ、風鈴の音に耳を澄ませた。フジは畳の感触がわかるくらいの薄い毛布に横たわり、肌触りのいいタオルケットを掛けられていた。
「生きてやがったか、も何も、わたしは最初から死んだつもりなんてないの」
「覚えてないのか?」
「全部覚えてる。XYZ様が君たち三兄弟に負け、X……。君たちがアブソリュート・シーカーと呼んでいたわたしの息子をわたしが殺した。そしてわたしは今度こそ完全なヒーローを作る過程で必要なシミュレーションを夢の中で行うために、意識と肉体を捨てた。あっているでしょう?」
「じゃあなんでてめぇの意識がここにある? 意識は捨てたんじゃねぇのか?」
「それはここが君たちとわたしたちのいた世界ではないから」
「俺は死んだのか?」
「頭悪いのは変わらないね。君が死んだのなら、まだ死んでないわたしと会話出来るはずないよね」
「俺もてめぇもまだ死んだことがねぇんなら死後の世界について知ったような口を叩くんじゃねぇよ」
「君こそ知ったような口。うふふ。はぁ……。少しの間、警戒を解いて。話をしようよ。まず、君に感謝したいの」
「ネチネチ嫌味おばさんに言われて額面通り受け付けられると思うか?」
「イツキちゃんをいろいろありがとう。彼女を救ってくれた。寂しさに震える魂も、敵に脅かされた命や純潔もね」
フジは考える。イツキの純潔を脅かす敵。ウラオビのことだろうか?
「犬養のことはよく知らねぇ」
「OK,じゃあ最初から説明するね。まず、ここのことを教えてあげる。この世界はわたしが支配する世界。トーチランドver2.0のようなものね。でもここは完璧じゃないし、世界の理が生み出す、輪廻の先にある正しい世界じゃない。ここはAトリガーに登録されたアブソリュート・マインの“理”の弾で強引に生み出した世界なの。つまりわたし自身が理なの」
「なんのために? てめぇは完全なヒーローを作るんじゃなかったのか? 何故不完全な世界を作った?」
「だってイツキちゃんに会いたいし、イツキちゃんもわたしに会いたいでしょう? そのための世界。ここはわたしのためでなく、イツキちゃんのための世界。わたしは二〇二〇年の九月に意識と肉体を捨てる直前にわたしが複製した記憶のバックアップ。本物の駿河燈は今も、誰もアクセス出来ない夢の中にいる」
「ちょっと待て……。俺がいるのは“理”の弾で作った“理”の中の世界ってことか!?」
「わからないことを自分の言葉で紡ぎなおして口に出し、裏付けをとるのは悪くないわ。きっと社会に出てもその理解力のなさに助けられるよ。褒めてるの。みんなヒトミちゃんみたいに出来る訳じゃない。君くらいの理解力の子が作るマニュアルで、イツキちゃんくらいオツムがキャワいい子は仕事が出来るようになる」
「なんで俺が“理”の弾の中にいる?」
「イツキちゃんが“理”の弾を撃ったから」
「あのバカ……」
「君を助けるためだよ。ウラオビの爆弾で君は死ぬ寸前まで行った。イツキちゃんは“光”の弾を使えないから、どういう効果があるかわからないわたしの“理”の弾で一か八か君を助けようとしたの」
「俺は……助かったのか?」
「まぁね。でもタダと思っちゃあダメだよ」
「そう来るだろうな」
「そうね、何をしてもらおうかしら……。なんて、悩んだふりをしたけど、君に頼みたいことは決まってる。それはこの世界のデバッグ。この世界は一九六九年までが再現されているけれど、バグも混じっているの。例えばウラオビね。地球人とゴア族のハーフは現在、過去、未来でも多く存在するけど、子孫を残す能力がないハーフはあいつくらいね。あいつ自体が世界のバグなの」
「そのウラオビを始末しろ、と?」
「……。とても難しいわぁ。この世界をどうしたらいいんだろう? ここは、イツキちゃんのための世界よ。イツキちゃんが居心地よい世界を作るべきか、それともイツキちゃんがここから出られない程、つまりここに来ることで精神的安楽死に陥るような世界ではいけない、と考えるべきか。ならばイツキちゃんにとっての不都合も必要よ」
「俺としちゃ、結局てめぇがのうのうと存在してることが許せねぇよ」
「そう言わないでぇ。わたしはここに来た人には干渉出来るけど、外には干渉出来ない。死んでるようなものよ」
「てめぇは俺のことをアブソリュートマン失格だと言ったな。何故俺を助ける?」
「助けるつもりはない。偶然運ばれてきたイツキちゃんと望月さんへのプレゼントをここで梱包するだけよ。そうね。ジェイドは嫌い。あいつはアブソリュートマンの模範を書き換えた。あいつが一番邪魔。レイは嫌い。あいつはバカだから。でも君はまだ子供なの。コンセプトも定まっていなければ、誰からも目指されることもない。だから失格だけど許せない訳じゃあない。キャワいい頭であれこれ考えるより、やれるだけやってみない? 君を助けようと“理”を撃ったイツキちゃんへの恩返しのために」
「そういうところが結局悪人なんだよクソババア。他人の善意をまるで自分の善意のように恩に着せる。でも仕方ねぇよ。そのデバッグが終わるまで俺を出す気はねぇんだろう?」
「ええ、その通り。XYZ様との最終決戦の前に、君が望月さんに言った言葉の通り。宇宙が滅んでもアブソリュート・アッシュと害虫だけは生き残る。君は決して生きることを諦めない。だから君はここでも生き延びようとする。まずはこれを」
燈は戸棚から一箱のタバコを取り出し、フジに手渡した。黒字に緑の影、猛禽類がロゴの上を飛ぶウィンストンのイナヅマメンソール。奇しくも愛飲しているタバコの銘柄ウィンストン、Bトリガーの悪食怪獣ウインストンを燈から手にしたことになる。
「この世界のルールを少し調整したわ。ウィンストンのイナヅマメンソールは店でも買えるようにした」
「で、まずは何をすればいい?」
「さっきも言ったようにここは一九六九年。アブソリュートミリオンはウラオビ・ヨハン・タクユキの存在を知り、石神井公園に向かった。そこでアブソリュートミリオンはウラオビ・ヨハン・タクユキの側近、鉄竹伽藍を辛くも倒す。しかし病み上がりで伽藍からも傷を受けたミリオンでは、控える十五人のギレルモ星人まではちょっと……」
「親父を助けに行けという訳だな」
「ええ。その時、アブソリュートミリオンは石神井公園三宝寺池の底にアブソリュートブレイドを残す。それを未来で引き抜いたのがアブソリュート・アッシュで、それを使ってゴッデス・エウレカSCを倒したアブソリュート・アッシュは瀕死の重傷を負い、ここに送られてくる」
「何故、てめぇがミリオンを助ける? 親父こそてめぇにとって最大の不都合だろう? ミリオンが死ねばジェイドとレイは生まれないんだぞ」
「ジェイドとレイも必要なの。あいつら以上に敵にうってつけなやつらはいない。あいつらがいないとつまらないわ。ミリオンにはあの二人と、そして君を育ててもらわないと」
「ああ、親父はちゃんと父親だ。俺たちを育てた。てめぇとは違う。てめぇの子供を殺すような外道中の外道と違ってな。そんなババアが親を語るなんて片腹いてぇ。……何故、犬養にそこまでの愛情を注げながら、シーカーにあんな仕打ちが出来た?」
「君がXを嫌ったのと同じような理由よ」
「チッ。ここで過ごすとなりゃ金が要るな。せっかく一千万も貯金があったってのによぉ。親父の刀をフリマアプリに出そうにもここじゃフリマアプリもねぇ。あっても碧の剣の方に高値がつくだろうな」
「……」
燈は嫣然と微笑んだ。さりげなく碧沈花の名前なんか出しちゃってキャワいい。アッシュは自分のついでに沈花もここに送られてきて蘇ることを期待しているのだろう。残念ながら、完全に息絶えた者はここには来られない。
「なお、ここでのルール説明は君の記憶からゆっくりと消え、この世界の支配人駿河燈のことは忘れる。イツキちゃんをありがとう」
〇
「ダッハーッ! 『HUNTER×HUNTER』はまだ再開してねぇだろうな!?」
現在。いや、世界から一秒程時間が消し飛んだ現在。フジ・カケルは煤塗れのまま息を吹き返した。消し飛んだその一秒間にフジ・カケルは“理”の世界を少しデバッグし、十五人のギレルモ星人を倒し、“理”の世界に迷い込んだイツキと合流してアデアデ星人のキシ・モクシとその部下を蹴散らし、ヤクザ者のヒオウたちとのヤクザオリンピックで大量のメダルを獲得して大会MVPに選ばれた。しかしその記憶はすぐに消えた。ジェイド、レイ、メッセ、メロンのいない一九六九年(仮)の世界で身に着いた、ミリオンを凌駕し、ジェイドとレイに匹敵する実力は現実世界への帰還によって一九六九年の記憶と共に失われた。
現状を確認した。ここは一九六九年(仮)じゃない。二〇二〇年十二月二十五日だ。
「フジちゃん……。わたしのスーパーマン……」
何しろこいつはしばらく過ごした一九六九年(仮)にはいなかった。望月鼎(20歳)。いや、望月鼎(20歳→21歳)。鼎は一秒しかロスしていないが、フジは随分と長いこと彼女に会っていなかった気がする。なのに感情的になって抱きしめたのは鼎の方だった。
「それ、愚地独歩が東京ドーム地下闘技場最大トーナメントで渋川剛気に負けた後に独歩が奥さんに言われたやつだろ。俺は勝ったんだぞ。鼎の大好きなスーパーフジちゃんが、ビシィっと決めたぜ! 今日は尻でも撫でてやるか!?」
「頑張ったね、フジ。お父さんが言ってたよ。アブソリュートミリオン2ndは一握りの天才が手にすべきではなく、努力の果てに天才に肉薄する者にこそふさわしいって。ねぇフジ。……碧さんが亡くなったよ」
「そうか」
碧沈花は伝説になった。
世界はまだ、メッセンジャーがレイやジェイドの仲間であることを知らないため、碧沈花はヒール・ジェイドに変身して札幌で暴れた白いガリガリの電撃バチバチ怪獣を退治した英雄となった。
そして碧沈花はウラオビ・ヨハン・タクユキの扇動で虎威狐燐の名作マンガ『東の宝島』の登場人物イワオのコスプレをユニフォームにした暴徒に囲まれ、その面前で天才アブソリュート・レイを撃破した。
さらに横浜の街と海と空でアブソリュート最強の戦士アブソリュート・ジェイドを破り、神話を崩壊させた。
こうして碧沈花は、破竹の勢いで悪の伝説を飾り、歴史の表舞台から姿を消し、人々の記憶に碧沈花は焼き付いた。しかしながら彼女が何を考え、どんな最期を遂げたのかを人々は知る由はない。
「碧はお前さんになんて?」
「フジが彼氏で羨ましいって」
〇
「……」
「……」
碧沈花が死んだことはまだフジと鼎の心に大きな影を落としている。しかしそればかり考えていられない。
十二月二十五日は鼎の誕生日。そして初めて出来た恋人と過ごす初めてのクリスマスだ。もうやることは決まっている。お蕎麦茹でたげる? そんな訳あるか。
「……」
「……」
碧沈花は丁重に葬られるだろう。だがそれは後日だ。その悲しみを紛らわすために……。恋人同士でやるべきことをやる。ナーガは大森龍之介に戻り、ヒビキの待つ中目黒の高級住宅街へ。ミリオンとイツキはパワースポット石神井公園から元の時代へ。狐燐は鳳落と共に沈花を弔うべく鎌倉のセーフハウスへ。メロンは野暮なことをしないためにフジと鼎についていた分身を解除して、新宿の雑居ビルのメッセの探偵事務所に事の顛末の報告へと向かった。
フジの住まいは石神井公園から歩いていける場所にありながら、鼎はフィットシャトルにフジを乗せた。そして埼玉へ向かう。そして鼎の住む和光市も抜け、数か月前、免許取り立ての頃にフジを運転の練習の付き添いに走った川越街道へとハンドルを切った。
「……」
「……」
その時に確認した通りだ。川越街道にはラブホテルとパチンコ屋しかない。助手席からフジはホテルに目を滑らせる。今のところは全て満室表示だ。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
車でするわけにはいかない。これは家族の車だ!
「ガソリン入れるね」
「ああ、折半でいいぞ。あ、悪ぃ。今一万円札しかねぇからこれで頼む」
フジが財布を開くと、あれはまだ懐かしい四月。外庭数を倒したらわたしの初めてをあげる、という言葉でフジは奮起してなんと本当に外庭を倒した。その帰りにカップルが使うゴム製のグッズを買ったが、それがまだちらつく。こんな根性ナシのミスター・チルドレンの財布に八か月も使われずに晴れ舞台を待つよりも、このゴムもカッコイイフェラーリやランボルギーニのタイヤにでもなりたかったことだろう。
そして鼎がセルフサービスのガソリンを入れ終わると、車はもぬけの殻だった。南の空に急激な勢いで飛び去って行く青い板が見えた。渡して行った一万円……。おつりは全部やるからこれで誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントに代えてくれ、ということだったら……。おい!
「フジ・カケルゥゥゥ!! マザーファッキン・ミスター・チルドレンがァァァ!!」
‐第4部 アブソリュートミリオン2nd 完‐
『アブソリュート・トラッシュ』第5部“OVER”
正体不明の新興宗教が「アブソリュート・マインの復活による世界の再建」を教義に、命の数を減らしてマインの復活を促進すると宣言する。
その裏で糸を引いているのは非アブソリュートでありながらアブソリュートに匹敵する力を手に入れた異星の戦士アブソリュート・フォックスこと大黒顕真だった。
歴代アブソリュート戦士の力を使いこなし、多彩なフォルムチェンジを繰り返す強大な敵。
さらにジェイドのとある弱みを握るフォックスは、その弱点を突いて彼女を倒してしまう。
残されたアッシュ、レイ、メロン、メッセ。
ジェイド不在の今こそ、レイの真価が試される。
そして、フジと鼎の交際も新たな段階に移ろうとしていた。
恋、音楽、そして青春。新たな『アブソリュート・トラッシュ』が幕を開ける。