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アブソリュート・トラッシュ  作者: 三篠森・N
第4章 アブソリュートミリオン 2nd
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第54話 復活の聖剣

 東京都練馬区石神井公園。

 東京都23区北西の地である練馬区にある都立公園。

 円形の三宝寺池、道路を挟んで向かい側にある細長い石神井池をメインに、二つの池を囲む雑木林、競技場、史跡を擁する。

 石神井池ではスワンボードが解放され、お盆の季節には灯篭流し。毎年四月にはこの地に城を構えた豊島氏の悲運の最期を遂げた娘、照姫を祀る“照姫まつり”が開催され、練馬区最大級の規模の一大イベントとなる。祭りにて照姫を演じる女性は一般公募され(練馬区在住、在学、在勤者)、練馬を代表する美女として最大の栄誉を得る。史跡の近辺で咲く遅咲きの山桜を眺めながら資料館でお勉強としゃれこむのもいいだろう。閉園したばかりのとしまえんのレガシーもここで見ることが出来る。

 三宝寺池はアメリカザリガニ、ブルーギル等の外来種の侵略に悩まされているもののかいぼりを続け生態系の浄化に努めている。池には神社も散見され、群生する水生植物の保護が進められている。照姫の塚、石神井城址碑はこちらの三宝寺池側に存在する。30年程前にはワニと思しき大型の水棲生物の目撃情報が流れてマスコミによって報道され、都市伝説化した。

 隣町の大泉学園は再開発の目玉だった大学誘致に失敗したため学園こそ存在しないものの、古くより映画・映像産業で栄え、現在は男の子向けの老舗の特撮番組『マスクファイターZ』、『威嚇戦隊! 能面ジャー!』、女の子向けアニメ『マジカルフェアリボン チャームヴォイス』とニチアサヒーロー三種類を全て賄っている。また、トキワ壮と同じく西武池袋線沿線のためマンガ家の在住、プロダクションも多く、石神井公園はマンガやアニメ、特撮のロケーションとして多く使用されている。

 郷土・練馬区をこよなく愛する鯉住(コイズミ)音々(ネオン)も幼少よりこの地に足しげく通った。そのネオンは、ウラオビに紹介された大森龍之介を“怪獣”ナーガ役にする際、石神井公園の二つの伝説である“照姫”と“謎の大型水棲生物”から設定を追加した。

 「戦国時代にこの池に身投げした悲しき姫を守るために討ち死にした武士の魂が、死後も姫を守るために三宝寺池に不法投棄されたアリゲーターガーに憑依した怪獣」。

 だがワニを探して押しかけていたマスコミたちも、三宝寺池の底に突き刺さっていたワニなんて目じゃないお宝を突き止めることは出来なかったようだ。


「それ、ミリオンの刀だよね?」


「最初は半信半疑だった。今は確信してる。これは親父の刀だ」


 偶然か、運命か。

 この石神井公園にはWikipediaやネットではわからない事実もいくつか存在する。

 約半年前、飛燕頑馬の“虎の子の助っ人”の一人である機婦神ゴッデス・エウレカのオーは、誰もいない早朝のこの地で自動販売機ごっこをしていたが、アブソリュート・ジェイドによる暴力とインタビューによって破壊された。さらに約50年前、アブソリュートミリオンはこの地でウラオビ・J・タクユキの側近であるギレルモ星人鉄竹(カナタケ)伽藍(ガラン)と戦い勝利した。

 そんな土地の近くにあるオンボロアパート、コーポ蓮見がフジ・カケルの住まいだ。石神井公園を選んだのは偶然だったのか、それとも地球を去ってもなお三宝寺池の水底に愛刀と共に残っていたアブソリュートミリオンの残留思念か何かがフジ・カケルを引き寄せたのか……。或いはアブソリュートミリオンは、将来自分の息子がこの近くに住むことを予め知っており、この地に愛刀を残したか……。

 そして悪しき毒婦の蹴りで滲んだ涙をかっさらっていった三宝寺池の水の中でアブソリュートブレイドはアブソリュート・アッシュを呼んだ。

 確実なことはただ一つ。この刀を手に取って“2nd”を名乗る以上、もう負けは許されない。


「使いなよ」


「悪いな」


 沈花が投げたポケットティッシュでメガネを拭ってもまだメガネの表面には水の透明の染みが残る。そんなことが気にならない程フジの脳内には大量の麻薬が噴き出して彼の戦闘回路を澄み渡らせる。拍動は一つ一つ大きく、なおかつ冷静すぎる程冷静に血を隅々まで運ぶ。

 沈花も得物ゴアの守を抜き、残された毒素を刀身に集めてトキシウムエッジを精製、ピンク色の切っ先をフジに向けたまま身を沈め、ピンクの前髪の間からフジをねめ上げる。それはまさに威嚇体勢に入らんとする猫を連想させた。だが双眸はフジ・カケルとのお望みの第2ラウンドでらんらんと歓喜と高揚の炎を燈し、ほころんだ口からは殺気を孕んだ吐息が漏れている。ここまで来てしまうともうスリルと愉悦に自制心すら焼き尽くされた怪物として人間から乖離する一歩手前だ。一方のフジはメガネの透明の染みに邪魔されずとも読み取りがたい闇を秘めた暗い瞳を以て敵を見据えている。もうフジのメガネは偏屈な色眼鏡ではない。メッセと兄姉の仇であることも忘れ、来る敵を迎え撃つ。集中力の極限まで達したフジは沈花のみを見、入念に確認したはずのグラウンドコンディション、張り込めた厚い雲も枯れた草木も吹き飛んで、宇宙にも似た精神の真空空間でひたすら距離計算を繰り返す。その森厳な様に宇宙一のクズ野郎アブソリュート・トラッシュはなく、在りし日のアブソリュートミリオンの勇姿を精巧すぎる程に再現していた。


「セアッ!」


 得物、腕のリーチを活かして突きからアプローチ。鋭角の鋼がペンとなり、ピンクに紅潮にした沈花の頬に黒い線を引く。即ち血。沈花の闘争本能と痛みが危険な配合で混ざり合って化学反応、そしてスパーク! 沈花の目がさらに大きく見開かれ、アブソリュートミリオン2ndの次の攻撃を上半身の動きだけで完璧に躱して見せた。


「いぃーい太刀筋。その正確さなら芝生刈りのバイトも爆弾処理のケーブル切りも出来るよ」


 突き、袈裟、唐竹。フジの動きは徐々に一つ一つの攻撃の縫い目を小さくし、シームレスに限りなく近くなる。しかし通用しない……。背骨は関節や筋肉、腱を無視して針金の如くありとあらゆる方向に何度も曲がり、それを芯とする沈花はスウェーバック、ダッキング、ステップといったその身一つの回避の技術だけでフジを空ぶらせる。ミリオンの愛刀を持って復活したアッシュを見て何かのメーターが振り切れてしまった沈花もまた、フジと同じく敵以外の全ての風景が消し飛んで見えなくなるような極度の集中状態に突入し、そこは沈花の腕時計の秒針が一つ進む間に数秒経っているように体感出来る違う時間が流れていた。軍配のデッドヒートは沈花がリードしたまま最高潮に達しようとしていた。


「よっと、チェアッ!」


 全身を沈ませる猫の動きに回転を加えてフジの足をけたぐる。しかし、いくらミリオンの武器を持ってもアッシュはアッシュのままだ。蹴りはアッシュ持ち前の技術で最適に処理をする。その刹那、目に飛び込んできたのは沈花に纏わりつくピンクのタスキ……。


「チェアッ!」


 タスキは太刀筋だった。そのタスキが触れたフジの腕から赤いスプレーが一瞬噴射される。痛覚が脳に届く前にフジに仕掛けられていた時限爆弾は爆発した。


「クソッ……。やっぱダメか」


 斬撃の痛みを箒星に、じわじわと腕から這い上る不快感の尾。東京国立博物館で苛まれたものと同じだが、あれよりも強く濃い。あの時と違い、トキシウムエッジの毒が直接刃から打ち込まれたのだ。あぁ……。毒が回る。メッセを一撃でKOした沈花の剣術を侮っていた。そして兄姉の敗因となった毒が回る。詰みだ。


「いや、いい勝負だったよ、フジ。チグ……」


 猫の動きのまま沈花はまた致命的であることが一目瞭然の量を吐血し、汗ばんだ胸に血を吸わせて蹲った。限界だったのだ。メッセ、レイ、ジェイドの三連戦で負った傷は、ゴア族の姿に戻ることで治ったかのように見えたが、表面上のものだけで重要な損傷を治しきることが出来ず、また古傷が開いて瀕死に陥っている。


「碧……」


 その時だった!


「やぁやぁアッシュ! そして沈花! 僕のスピーチを聞く人間はもう君たちだけかい? 残っている人間は君たちだけか。ジェイドと狐燐とメッセがいなくなったせいでどんどん聴衆の頭のレベルが下がって困る!」


「畜生……。クソウラオビか。ヘイ、メロン! サーチ頼む!」


 フジは耳を二度タップしてメロンを呼び出し、そのままポケットに手を突っ込んでとっておきのアレを探る。


「最悪のタイミング……。フジくん! 変身の準備!」


「ご機嫌よう、アッシュ、沈花。君たちはぁ、僕を倒すチャンスがあったら倒してやろうと思っていたんだろうね。でもダメだね。君たちはまだジェイドとミリオンに劣る。君たちにウラオビ・J・タクユキの最期を譲ることは出来ないよ。だから僕は理詰めで君たちを消す。漁夫の利を得て君たちを殺すんだ。沈花……。君の目論見通りだよ。ジェイドは、君なんかに負けたことで英雄としてのブランドを落とした。でもいいじゃないか。ジェイドを倒したヒール・ジェイドを、僕が倒す。そしてもう一度ジェイドが僕を倒す。ジェイドのブランドが再浮上すれば僕の最期も少しはマシになるよ」


 フジと沈花のいる三宝寺池側から道路を挟んだ向かい側、石神井池の水底から二つの光が眩く天を照らし上げ、水面は内に潜むものの巨大さで高さ数mに至るまで表面張力で山となっていた。その表面張力の羊膜を破るように、下品なくらいの純白ボディに独特の光沢を湧かせた、シャープな超金属製のボディが屹立する。


「“ゴッデス・エウレカS(ソウウ)C(カスタム)”! 起動ォォォォォ! さぁ、ご堪能ください!」


 フジの手の中にあるのは三色。緑の分身メロン。そして赤い錠剤と青い錠剤だ。二種類の錠剤は受け取るはずがなかったユキの置き土産だ。赤い錠剤は、ヒール・ジェイドから毒を受けた際に中和することが出来る特効薬だ。ただし解毒が出来るだけで体力は戻らず傷も治らず、副反応が出る可能性がある。そのための青い錠剤だ。赤の錠剤で解毒した後に一時的に回復を促す。二種類揃えばヒール・ジェイドの毒から短時間で立ち直れるということだ。


「……」


 赤い錠剤は飲む。それは確定事項だ。だが……青い錠剤を飲むべきではないのでは? 赤い錠剤で毒の進行はとりあえず止め、青い錠剤は沈花に渡して沈花を回復させ、沈花を補助する形で共闘する、というのがウラオビを倒すのに最も適したやり方のように思えてしまう。フジの弱気の爆弾はもう爆発してしまっているのだ。


「クソ……」


「素晴らしい顔だアブソリュート・アッシュ! あの初代アブソリュートマンの甥を苦しませ! あのアブソリュートミリオンの息子を虐げる! あのアブソリュート・ジェイドとアブソリュート・レイの弟を踏みにじる! なんて悪いやつだろう、僕!!」


 少し前の沈花にだったら迷わず青い錠剤を渡しただろう。でも今の沈花はもうダメだ。アブソリュートブレイドの気配にあてられた沈花は、最強には至らずとも強者が持つべきである気品を失った。辛く厳しい戦いを楽しさでごまかして戦い抜こうというスローガンは、それはそれで立派だ。フジにはなかなか真似できない。ユキにもだ。これが出来るのは三兄弟では頑馬だけかもしれない。今の沈花は楽しむために戦っている。戦いの愉悦という危険なドラッグを吸って生死や正気の瀬戸際を彷徨うスリルに身を委ね、生と正気に戻ってくることを退屈に感じている。そんな相手と競うように戦うのでは、戦う相手の品格も疑われる。こういう連中と戦うことはアブソリュートの使命でもあるが、それは興奮をドラッグ代わりにする危険人物を退治することで、さっきまでのような試合であってはならない。

 沈花には、せめてユキを倒した時……いや、ケイオシウム光線を自分に当てた時くらいの理性と品性を取り戻してほしい。

 そんな逡巡の間にもゴッデス・エウレカSCは一歩歩く度にスワンボートを跳ね上げ、ザブザブと津波を起こしてゆっくりと歩いてくる。フジの喉が火箸を当てられたように熱くなり、舌と喉が火山のように熱く乾いた。毒の周りが速いようだ。フジは刀を杖にしてつこうと切っ先を地面に向けた。


「お困りのようだね」


 硬く筋張った手がフジの手に添えられ、がっちりと固定されて切っ先が地面をつくことはなかった。手に添えられる手、左肩を支える掌にはゴツゴツとした突起……竹刀ダコの凹凸を感じる。体温。アブソリュート人も地球人も体温はさして変わらないはずなのに、この特別な温もりは知っている。赤子、少年、青年、アッシュの全ての年代の記憶がこの肌触りと温もりを覚えている。


「親父……ィ?」


「それは刀だ。杖じゃない。転ばぬ先の杖という前に、転ぶ程戦ってみろ。などと、偉そうに言える程俺はお前より強くない」


「本当に親父か?」


 顔を上げ、触覚と聴覚が父親……アブソリュートミリオンと告げる人物の顔を覗き込み、視覚のエビデンスを狂おしく求める。しかしフジの目に映ったのは見慣れた父親の顔ではなかった。白髪一本なく、顔に皺もなく肌にはまだつやと張りがある。フジは父親の目を柔和の中に厳しさを秘めた目だと記憶していたが、今の目は殺気とバイタリティを湛える若々しい眼差しだ。


「まぁいろいろあってな。今は2020年か。俺は過去の世界、1969年からお前を助けにやってきた。方法については今は気にするな。あのガラクタにウラオビが乗っているんだな? そして目の前のこいつがヒール・ジェイドか」


「ああ。気になることはいくらでもあるが……。親父。碧を頼む。俺がゴッデスをブッ壊してウラオビの野郎をブチ殺してやる」


「そうしろ。ウラオビのことは俺も知っている。そしてこの碧沈花のことも知らん訳ではない。アッシュより強いレイとジェイドを倒したとかいう話だろう? この時代のウラオビはお前が倒してお前が英雄になれ」


 やや会話に齟齬を感じるものの、これは確かに父だ。父になら任せられる。


「碧。この青い錠剤を飲め。傷が治る。そして、ミリオンと戦え。ミリオンと戦って……。正気と品格、勝利の価値を取り戻し、俺たちに大したやつに負けたもんだ、と敗北の誉れをくれ」


 水揚げされた魚じみて血の中でぱくぱくと呼吸していた沈花の口に青い錠剤をねじ込むと、沈花から広がる血の池は面積の拡大を止めて、沈花の呼吸が安定し始めた。フジは赤い錠剤を焼け付く喉で胃に運び、両膝を突いた。ダメだ。まだ解毒が完了していない。ギリギリ戦えるだろうが、もう少し休んで回復するまでとてもじゃないがゴッデス・エウレカには勝てるコンディションじゃない。しかしゴッデス・エウレカSCを止めるのは自分がやると兄姉とメッセ、メロンの前で啖呵を切ったのだ。ここで仕事が出来なければフジ・カケル、アブソリュート・アッシュはただの大馬鹿野郎(オオバカヤロウ)だ。数か月前、沈花がアッシュを倒すという仕事で緩慢な動きと甘えを見せた時、鳳落は彼女を叱責した。同じ話だ。


「クソッ、青も飲んでおくんだった……。メロン! サイバーミリオンウイルスをブチ込んでゴッデスを倒せるか?」


「サーチによると、ゴッデス全体がウラオビの念力で攻防一体にエンハンスメントされているわ。ある程度ダメージを与え、念力のガードを薄くしないとハッキングは出来ない」


「ガチンコ勝負は避けて通れないってことか」


 ミリオンがちょいちょいと指に向け、フジに座るよう促した。その表情はフジの見たことがない……茶目っ気?


「まぁそう急ぐな。満身創痍でゴッデスは骨が折れる。それにやつを一発殴っておかなきゃ気が済まないやつがいるもんでな。しばらくの間そいつに任せ、回復に努めろ。……さぁ、行けっナーガ! 任せたぞ!」


 ミリオンの合図と同時に三宝寺池の水面が先程のゴッデス起動と同じく表面張力で小山になり、張り詰めたテンションと同時に弾け飛んで新手の怪獣が姿を現す。

 東洋の龍の意匠がある、ヒゲと小さな角! 狛犬を連想させる憤怒の表情! 鯛を思わせる顎と歯列! 力士の如くどっしりとした全身の筋肉は分厚い鱗を纏い、拳はシーラカンスの肉鰭に似たプロテクターで覆われている。その目は激しい憎悪を燃やしてゴッデス・エウレカSCを睨みつけ、激しく静と動が入れ替わる神速の鉄拳が一発打ち込まれてコォォンと金属音を立て、ゴッデス・エウレカSCをよろめかせて見せた。


「あれは大森龍之介か!?」


「ああ。ウラオビへの復讐の動機なら、アッシュ、お前よりあいつの方が強い」


 ゴッデス・エウレカSC、ナーガの登場で石神井公園駅前でのネオンの陽動はもう無駄になってしまった。しかしネオンにもわかる! あれは大森龍之介が変身したナーガだ! 彼が戻ってきた!


「ィィ……」


 ネオンは歯を食いしばった。この場でリュウノスケの名を呼ぶとヒビキにあの怪獣の正体がリュウノスケだとバレてしまう。しかし、大森龍之介は自分の愛する姫ヒビキを守るためにこの世に舞い戻ってきた。ネオンが追加した“怪獣”ナーガの設定どおりに!


「ゲッホゲッホ……ゲッホ! ウヘェ……。血も涙も汗も、枯れてもまだ塩っ辛いもんだ……。やぁ、鯉住音々さん」


「こここ虎威狐燐さんですか!? その節はどうも!」


「ええドーモ。一緒にSNSでバズらない? “ヒーローショーの正義の怪獣は本物に!”なんてのはどう? ええ、わたしみたいにただ疲れて血も涙も汗も枯れた人間と違って、使い果たして枯れた人間の血と涙と汗は羨ましいくらいにいい味がするんだろうね」


「みんなァー! いよいよナーガの復活だ! 大きな声で呼んでね! さぁ……。おかえり! 頑張れ、ナーガ! 必殺パンチ、遡鯉怒(ソリッド)アッパーだ!」


 カコォォォン! ナーガのパンチで金属製の鹿威しの音色が練馬区中に響き渡る! これはウラオビ・J・タクユキにいよいよ引導を渡す最終ラウンドのゴングとなる!

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