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とある医学部受験生の末路  作者: この世の果てで
私はアンジュ
6/8

空飛ぶ学園

学園が空に飛んだり異世界に行ったりします


「らふー」

「ん...」

「らーふーー」

なんだこれ、モフモフする

ゆっくり瞼を開けるとこの前見た狸のような不思議な生き物がいた

「うわっ!!」

なんなんだこの生き物は。

この前は近づくなりすぐに逃げて、今度は私が寝ているところに来て目を覚まさせるって

「もうなんなのよ」

「らふー」

「ああ、その子は私が餌付けしているラフ種のラフちゃんよ」

姉がやってきた

「初めて聞いたんだけど..」

「そんな不思議がらなくてもいいのに。1か月前に家の前で日向ぼっこしていて可愛かったからご飯の残りを上げたの。

するとこの通りしょっちゅううちに来るようになったてワケ」


まったくこの姉は何をするかわからないな

まぁ確かに言われてみれば可愛いかも...


「この子の名前は?」

「ラフちゃん」

「安直ね」

「名前は最初にひらめいたものがいいのよ」


ラフちゃんか。この子はこの世界の生き物とは少し違う気がする

異世界と関係あるのだろうか


私はラフちゃんをムニュムニュしてみる

毛並みが滑らかでひと撫でするたびに心が癒される

何この子可愛い

私はすっかりラフちゃんが好きになった

よし、私のペットにしよう


「ふふふ、アンジュもラフちゃんのこと気にいったみたいね。それじゃご飯ができてるから食べに行きましょう」


私とお姉さまは一階に降りてママとともに朝ごはんを食べるのであった

ちなみに我が家には父親がいない

父親はママが私を生んだ時に突如行方不明になったという。

ママもなんで突然行方をくらましたのかわからないと言っている。

それまで夫婦円満に生活していたのに突然いなくなって当時はママもかなり動揺したみたい

父が消えたのは姉が10歳の時で心霊術学園に通い始めたばかりの時だった

姉はその時のことをこう語っている

「パパは運命に導かれていったの」と、私には何のことかさっぱり分からない。

私がそれ以上尋ねると姉はいつもお茶を濁すのだった


私が食べ終わると同時にアリスも食べ終わって、私たちは一緒に家を出た。

姉は絨毯で王立研究所へ、私はほうきで心霊術学園へと向かった


あ、そういえばこの前空で出会ったお姉ちゃんを先輩呼ばわりしていた人のことを聞くのを忘れたな

今度聞いておこう





「おはようアンジュさん」

「おはようございますですわアンジュさん」

教室ではルナとクロエが私に挨拶する。

二人はもう打ち解けたようだ

まぁ昨日暗くなるまで練習したしね

「おはよう。ルナ、クロエ」

「まさか昨日アンジュさんと温泉で出会うなんて夢にも思いませんでしたよ」

「私もまさかルナがあそこの温泉のオーナーの令嬢だなんて驚いたよ」

「え?ルナさん王立温泉浴場の子だったの!?私もあそこによく通ってますわ」

「まぁそうなんですね。今度私の旅館に来ませんか?3人で湯浴びをしましょうよ」

「いいわね」

「賛成」


旅館かぁ、昔家族でよく行ったなぁ。あの和風な感じが私も好きだった


ゴーンゴーン

学園の鐘が荘厳な音を出して私たちに始業を知らせる

そして昨日から来た新しい先生が扉を開けて教室に入ってくる

「みなさんおはようございます」

「「おはようございます」」

「うん、元気なお返事ですね」

先生は柔らかく笑う


「それでは出席を取ります。えーと、あそこの席の子がいませんね。誰か事情は聴いてませんか?」

「はい先生、ここの子は風邪を引いたらしく今日は休みです」

「ふむ、わかりました。ありがとう。 では授業を始めます。この時間は心霊術の実技をやります。みなさん校庭へ出てください」


校庭にて、

「えー、それでは前回心霊術の基礎を学んだので、今日はさっそく基礎的な心霊術を使っていきましょう。

まずは物体浮遊術です。このように魔素をもとに浮かせたい物体の周囲にある魔素に干渉して重力から隔離するのです」

うん、知ってる

「うわー難しそう」

「どうやってんだそれーー」

そんな声がクラスメイトから聞こえる


「簡単ですわね」

「ええ、昨日アンジュさんにレクチャーしてもらったのですもの」

そういうと二人はいとも簡単に用意された人形を浮かせて見せた


まぁ簡単な心霊術とは言え、この二人案外呑み込みが早いな

「アンジュさんの物体浮遊術も見てみたいですわ」

ルナが言う

「いいよ」


「我が命ずる理を今一度読み解き、われに力を与え給え、zazasu zazasu nasu zazasu」


グラグラ


辺りに振動が走る

「わわわっなんだなんだ!!」


見ると学園全体が地面から切り離されて猛スピードで上空へ飛びあがっている

「ちょっっっっ!!アンジュちゃんやりすぎ!!」

「結構軽くやったつもりだったんだけどな」


「みんなー先生から離れないでーーーーーーああああああああああああああああああああああああ」


先生が注意喚起していると先生は体勢を崩して空の彼方へ放り出されていった

 死んだな。

つーか私の心霊術で先生が次々に再起不能になるのどうにかならないかな

そのうち退学措置とかとらされそうだし...


1分もたたないうちに学園は上空1万メートルに達した

そしてそのまま高さを維持したまま空中で止まっている

「さて、どうしたものか」

「え?」

「私は見ての通り加減が下手で上空に学園を置いてしまった。戻そうにも下手に戻すとそのまま地面に激突しかねない」


「なっなっなっなんだってーーーーーーーー!!」

クラスメイトが驚愕の顔を示す

さすがの私もやりすぎたと思う


「物体浮遊術の効果の半減期は18時間で、この学園...空島が地面に無事着陸するには1週間はかかると思っていい」

「つまり私たちは1週間この学園とともに上空にいるっていうわけね」

「そういうことだ」

「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」

なぜかクラスメイトが歓喜の声で叫んだ

「やったぜーまさか学園ごと浮かせるなんて思いついてもできねーぜ!さすがアンジュさんだ」

そんなことまでいう男子生徒もいる

 ま、変ないちゃもん付けられるよりはマシか


そんなこんなで心霊術学園の生徒は1週間の上空サバイバルを行うのだった。








事件の後すぐに全校生徒が集会所に集められた

そして学園長が話す

「ええ、とある生徒の心霊術が原因でこの学園は上空1万メートルに浮きあがりました。そして地上に無事に下りられるまで1週間かかるようです。

皆さん1週間という短くもない期間ですが、協力して生き延びてください。今学校にある食糧はいつも通りに消費すれば3日と持ちません。

この学園にいる生徒の数は700人です。」

そういうと学園長は舞台から消え去る


さて、どうしたものか。。。まぁ私が放った心霊術が原因であるが、この学園の地盤も緩みすぎなんじゃないか。

「アンジュちゃんの心霊術凄かったね」

「さすがは私たちのアンジュさんですわ」

ルナとクロエは暢気に私をほめたたえている


それはさておき

「なぁルナ、クロエ。お前たちは私のお姉ちゃんに頼んで絨毯で地上に送ってもらうという手もあるのだぞ。」

「まぁ、アンジュさんにお姉さんがいましたの」

「温泉で一緒にいた人だよね」

「うん」

「けれど絨毯を持つなんてよっぽどアンジュさんと同じく心霊術の素質があるようですわね」

「この学校の首席だったからね」

「「えっ」」

まぁ驚くだろうとは思ったが二人とも汗びっしょりだぞ

というか興奮しすぎだろ

「あの、今度アンジュさんのお宅に呼ばれてもかまいませんの?」

「ぜひあたしもお呼ばれしたいでやんす」

おい、ルナ。キャラ変わってるぞ

何がやんすだ

「まあいいけど、それよりいいのか絨毯に乗らなくて」


「うーん、絨毯には乗ってみたい気はするのですが、こんな珍しい機会、せっかくですので皆さんと一緒に1週間地上を眺めながらここに滞在しますわ」

「あたしもなんだかワクワクして来ちゃった」

二人とも子供だな

まあ空を飛んだことがないのだから興奮するのも無理はないか


「じゃあ、何しようか」

と言いかけた手前、知らない先生がやってきて

「皆さん、前の担任は突然行方不明になりましたので今日から私がCクラスの担任を務めさせていただきます」

今度の先生はマダムだ

というか、私はあの時はっきり見た

学園が上空へ飛びあがっている最中、前担任が空の彼方へ吹き飛ばされていったことを


またいらぬものを切ってしまった。。

いやこの場合は飛ばしてしまったか?

どうも言葉の韻が悪いな


「アンジュさん...」

クロエの顔が青ざめている

さすがのアンジュも私が確信犯で担任キラーをやっているのかと思っているようだ

「大丈夫だよ、私はクロエが考えているような人間じゃない」

「まだ何も言ってないですわ」

クロエが呆れている


「緊急事態ではありますが、授業のペースが乱れてはいけないので早速授業を再開します」

「は?ふざけんなよBBA!!せっかくの天上学園になったのにどうして授業なんてするんだよ馬鹿じゃねーの」

突然男子生徒が抗議する

「ほう、私がBBAと?」

マダムの顔に青筋が入る

これはまずいぞ。

私は直感で男子生徒がこのあと消されるのを予感した

突如としてマダムはどす黒い気を出してみるみる姿かたちが変貌していく。

いや、なにこれ、人間じゃないよね

マダムは瞬時にして体調10メートルもの...化け物に変貌した

「え」

その瞬間男子生徒は消えた

消えたとは逃げたでもなくどこかへ行ったでもなく本当に跡形もなく消えたのだ


「ちょっと...」

周りの生徒の顔が青ざめている

私も引いた

そして異変に気付いた学園長が飛び出してきて

「むむむ!!馬鹿な!!なぜ魔王がここにいる!!300年前に勇者様によって滅ぼされたはずでは!!」

いやいやいやいやいやいやいや

ここで魔王が何で出てくる

というかこの化け物さっきまで先生やってただろう


「愚弄な人間どもよ我は魔王。300年の眠りを得て蘇った」

「マダム先生はどうした!」

校長が化け物に言う

マダム先生ってそのまんまじゃねーか!

「マダムは我のかりそめの姿。さっきの愚かなクソガキが我のかりそめの姿を愚弄したので消してやった」

「なんと..」

校長が悔恨の念で顔をゆがましている

「死ね」

そして魔王は学園長をめがけてどす黒い光線を浴びせる

「ぐわあぁぁっぁあぁぁ」


学園長は地面に黒いすすを残して消えた

「校長先生も殺された!」


周りの生徒の顔が真っ青になる

中にはこの事態を飲み込めず気絶するものまでいる


おいおい、どうするんだマジで

「アンジュさん大変なことになりましたわ!」

「アンジュちゃんどうすんのこれ!!」

うーん。そういわれてもなー。はぁめんどくせえ...


「おい魔王、お前邪魔だから消えて」

「ほう、小娘ずいぶんと偉そうだな。この私にそんなことを言って生きて帰れると思うなよ。

まぁどの道この世界の住民をじわじわと一人残らず殺していくのだから今死ぬか遅れて死ぬかの違いしかないがな」

ハハハと魔王は高笑いする


「そう  アンジュ・ビ・エルジュが命ずる地脈より我に力を与え、龍脈による理を今一度読み解く zazasu zazasu nasu zazasu!!」


ッッッッッッッッッッドガアァァアァーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!


魔王が声も上げることもなく跡形もなく消え去った


「なんなのよこれ...」

周りにいた先生が膝から崩れ落ちる

「過去の勇者でさえ4人がかりで7日間の激闘の末やっと倒したといわれているのに」


はぁ、こんなあっさり死なれて魔王か、つーか勇者こんなのと一週間闘い続けるって実は大したことないんじゃね


すると空中にぽっかりと黒い穴ができる

「こ、これは!100年前を最後に消えた異世界に通ずるゲート!!!」

解説ご苦労


「アンジュさんの心霊術によって開いたのですわ!」

「さすがですわアンジュちゃん!!」

さすオニみたいな言い方するなこの子は


「ああ、確かゲートは高位の心霊術者が数百人がかりで何年もの歳月を得て発動させた強力な心霊術のエネルギーがこの世の理に干渉を起こして

発生すると聞いたんだが...」


「つまりアンジュちゃんがさっき放った心霊術がその高位の心霊術者が束になって何年も術式を構築した心霊術よりも威力が大きかったてこと?」

「いや、そんなわけないだろ、私今けっこう楽にはなったぞ。拍子抜けにもほどがあるぞ」


「いや、アンジュさんならやりかねないわね」

クロエが言う


「そんで先生、このゲートどうしようか」

私に話を振られて呆然としていた教師はハッとした顔をして一瞬取り乱す

「ええっと、、、一度学校会議を開きます」

そういって教師は走って副学園長の方へ駆けていくのだった


「やれやれ...」

思わず私はため息をついて


あまり時間が立たないうちに校内放送によってまたも生徒は集会所に呼び出される

「ええ、先ほど魔王が300年の眠りから目覚め、男子生徒一人と学園長先生が殺されました。

ですがすぐにアンジュ・ビ・エルジュさんが魔王を跡形もなく葬り去ってくれました。

そしてその際に放った心霊術の影響で100年ぶりにゲートが解放されましたので、

これから300年ぶりに異世界からの住人を呼び出そうと思います」


全校生徒にざわめきが走る

まぁそうなるわな


そうして早々にして副学園長は集会を閉じ、私たちに近づいてきて一緒に来るように言った


「君はアリス・ビ・エルジュさんの妹さんだね。彼女もわが校きっての天才だったが、妹の君はお姉さんよりも、

いや、私の知る限りの心霊術者の中でもっとも強い。ただ強いなんてものじゃない、人間の次元を超越している。」

「はぁ...」


まぁ、伝説に残る魔王を倒したというのなら今の私は姉さんよりも強いのかもしれない

「しかし、眠りから覚めてすぐの魔王だから弱体化しているとは考えられないのか」

「いえ、学園長はああ見えて心霊術者の中ではもっとも有力のもので世界で3本の指に入る心霊術者の中でも防御力に関しては随一でした。

その学園長が一瞬にして殺されたというわけは...魔王は弱体化などしておりません」


あの学園長がねぇ...

そうこう話しているうちに私たちはゲートについた


「で、ゲートから異世界の勇者を召喚する方法は分かってるの?」

「はい、それはゲート自体を出現させるよりもはるかに簡単なので」


そういって副学園長は呪文を唱え始める

...しかし何も起こらない

「あれ」

「なにやってんですか。。」

「いや、確かにこの方法なんだけど」

「ああじれったいどいて!」


私はゲートに向かって力を籠める


ドガガガアアアッァァアァァァアン


爆発音とともにどす黒かったゲートは白く輝き始める

「おぉ...」


「これで向こうの世界と行き来できるはずだから」


「アンジュちゃん...?あなたはアンジュちゃんなの?」

「何を当たり前なことを」

「いやいやいやいいあいあいあいやいやいやいやいあいあいあいあやあああああああああああああああああああ」

なんかクロエが奇声を上げている


「なんでアンジュちゃんがそこまで知ってるの?あなた私たちと同い年だよね?」

「10歳だけど...なんでと言われてもそのまま異世界に通じろって強く念じてぼかーんって力を籠めたらこうなった」

「はえぇえぇぇぇぇぇえええぇぇぇぇ」

ルナも奇声を上げる

「ぐえええええええええええええええええええええええ」

副校長、お前は奇声を上げるな。キモい



「さて、んじゃちょっくら異世界探検して来ますわ」

「え、ちょっま...!」


そうして私はゲートの奥へ消えていった。







ーーーーーーーーー目の前が真っ暗になるーーーーーーーーーーー

次回から異世界編です

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