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とある医学部受験生の末路  作者: この世の果てで
私はアンジュ
4/8

アンジュ、学校へ通う

あれから6年が経った

ーーーーーーー6年後ーーーーーーー




「ママ、行ってきまーす!」

「アンジュ気を付けるのよ」


あの事件から5年の歳月が過ぎアンジュは10歳になっていた

そしてアンジュは街にある心霊術学園に今日入学するのであった


アンジュには確固たる目的があった

あの事件以来姉はそれまでのような笑顔がなくなったのだ

表面上は笑うことはあっても心から笑っていないことは幼いアンジュにもひしひしと伝わってきた


だから姉の手を直すべく自分が心霊術をマスターして治療学と融合させると決意したのだ


アンジュは家の玄関に置いてあるほうきを手に取る

「いけーホウちゃん!」


ホウちゃんとはアンジュがほうきにつけた名前である


するとアンジュを乗せたほうきはゆっくりと宙に浮くのであった


「いってらっしゃーい」


2階の窓から20歳になった姉が手を失った腕を振っているのが見えた

「いってきまーす」



心霊術学園まで歩いていくと半日かかるところを、ほうきでいくと20分とかからないのだ


あっという間にアンジュを乗せたほうきは心霊術学園にたどり着いた


「よっと」

アンジュが校庭に降り立つと周りの学生が何やらざわつき始めた


「すごーい、あの子新入生でしょ。もうほうきに乗れるんだ」

そんな声が聞こえてきた


そう、この世界でほうきに乗るということはそれなりの心霊術の特訓が必要になってくるであり、上級生でないと

扱えないような技術だったのだ


アンジュはそんな声をよそに颯爽に入学式が行われる建物へと走っていくのであった

姉の手を治す

そんな使命を持ってはいるが、やはりこれから始まる学園生活に胸が弾まないわけがなかったのだ





「えーそれでは入学式を終了いたします」


入学式はなんの滞りもなく終了した


「それでは皆さん、これから指定したクラスに分かれてください」


ぞろぞろと100名ほどいる生徒があらかじめ伝えられたクラスに分かれていくのであった


クラスは全部で4クラス

ABCDとなっていた


アンジュはそのなかでもCクラス

この時点では技術や成績で別れることはなく、各クラス間に上下関係はない



アンジュがCクラスの列に並ぶと後ろの子が声をかけてきた


「ねぇねぇあなた、今朝校門にほうきで降りてきた子でしょ?」


ほうきで学園に来る生徒は他にもいたが身長からして低学年の生徒はアンジュ一人だけだったこともあり

目立っていたのだ


「そうよ」

「すごかったですわ!わたくしにも是非教えてほしいですわ」

「いいけど、ほうきで飛ぶにはまず魔素を感じ取れるようにならないと飛べないよ」

「それは分かってますわ、だからそこから頼んでいるのですの」

「分かったわ、でもここで教えるのなんだから学園が終わってからでいいかしら?」

「ええ!お願いしますわ!!」


そういうと女子生徒は顔をほころばせた


校舎の中の廊下を歩いている途中

「そういえばあなたの名前を聞いてなかったですわ」

「私はアンジュ、あなたは?」

「私はクロエ・ロメールですわ、気軽にクロエと呼んでほしいですわ」


クロエ・ロメール...確か街の貴族にロメール家というがあったような...


そんなことを話しているとCクラスの生徒の列は教室にたどり着いた


「えーそれでは皆さん、指定されたそれぞれの席についてください」


がたがた


「それでは改めまして、みなさんご入学おめでとうございます。私はCクラスの担任のマキシマム・ホルモンです」


なんか歌手みたいな名前だな。あれ?私歌手には疎かったのですが...


「今日はこれからの学園生活について説明します。この心霊術学園は初等部で3年、中等部で3年、高等部で2年の計8年制になっています。

初等部では主に心霊術の基礎である魔素を感じ取れることに加え初級の心霊術を学びます。

中等部では実践的な心霊術を主に学習します。高等部では心霊術の研究をして新しい分野を模索していきます。」


なるほど、私は既に中等部に相当する心霊術が使えるという事ね


すると後ろの席のクロエがささやくように

「すごーい、アンジュちゃんもう中等部に匹敵する心霊術が使えるのね」


それを近くで聞いていた生徒がぎょっとした顔でこちらを見てきた

まぁ隠すつもりはないけどあえておおぴらに言う必要もないから無視した


そんなこんなで1日目の学園生活は終わった


放課後、目を輝かせてきたクロエに魔素から教育をした

「なんでアンジュちゃんはその年でそんなにすごいことができるの?」

自分では当たり前と思っていたからすごいといわれても実感がわかない

必要なことを当たり前にやっている気しかしないのだ


「私のお姉ちゃんは6年前、私を守るためにドラゴンと闘って右手を失うことになったの。

だから私が心霊術と治療学を融合してお姉ちゃんの手を治すって決めたの」


「そんなことがあったんだね、やっぱりアンジュちゃんはすごいよ。考えていることが立派だわ」

「そうかな、元々は私が原因のことだし、私が治すのは当然のことでしょ?」

「そういえばクロエって貴族出身でしょ?」

「えええぇ!なんでわかったの?」

「ロメールって聞いてピンと来たんだよ」

「ああぁね...私貴族ってことと関係なく普通の学園生活を送りたかったんだけどなぁ...」


なぜそこで渋る...

どうやらこのクロエという子は少々自意識過剰な節があるようだ。


日が暮れ始めて野鳥が鳴き始めた


「さて、日も暮れてきたことだし今日はお開きにしようか」

「うん、今日はありがとね。」


そうしてほうきに跨って飛ぼうとしたとしたとき、

「アンジュちゃん!!これからもよろしくね!!」


クロエは笑顔で腕をぱたぱた降っていた

「うん!!」


私はそうして片手でクロエに別れの挨拶をした



家に着くときには外は真っ暗になっていた

時差からして30分ほど我が家の方が日が落ちるのが早いのだ


「おかえりアンジュ、学園はどうだった?」

「うん、クロエって子と友達になったよ」

「そう、それはよかったわね」


すると二階の階段から姉が下りてきた

「おかえりー学校どうだった?」

「とっても良かったよ、お姉ちゃんも2年前まであそこに通ってたんだよね」

「そうよ、これでも私は首席で卒業したんだからね」


アリスはえへんと胸を張って見せた

アリスは14歳で右手を失った後も心霊術の技術は伸びつつけていたのだ

なぜアリス本人が自らの心霊術で手を治さないかって?

それは治療学が原因となるのだけど、要するに治療は自分以外の誰かにやってもらわないとできないのだ


そんなスーパー姉を持ったアンジュは当然姉に惹かれて自らも心霊術の腕前を上げていくのは当然の理だったのだろう


「私もお姉ちゃんに負けないくらい学園生活楽しんじゃうんだから!!」

そういって私は母が作った晩御飯を食べるのであった





翌日、学校にための支度をしていると窓から狸のような生き物が入ってきた

「らふー」


らふー?


なぜ狸がこんな鳴き声をするんだ?

というかこれは狸なのか?

そもそも動物ってこんな鳴き声しないだろ


私がこの謎の生き物に近寄ろうとすると、その生き物は焦って逃げていくのでした


「変なの」


今日は窓から出発だ


「いってきまーす」

「「いってらっしゃーい」」


ルンルン、今日も学園楽しいな いぇい!


そんな鼻歌をほうきに乗りながら口ずさんでいると

「おーい」

どこからか声が聞こえる

「あなたアリス先輩の妹さんでしょ」


声は下から聞こえてきた

どうやらお姉ちゃんの後輩だった人のようだ


そうこの人は何度かうちに遊びに来ていた

でも当時は話すこともなく、ただお姉ちゃんの友達としか思ってなかった


「あなたは確か何度かうちに来ていた、お姉ちゃんの後輩でしたっけ」

「そうよ、アリス先輩にはとてもお世話になったわ。アンジュちゃんでよかったかしら?」

「はい、先輩はうちの家と近いんですか?あと今何年生ですか?」

「近いと言ってもほうきで5分くらいだよ、まぁ歩けば2時間かかるんだけどね。今は高等部の1年で17歳よ。これからよろしくね」

「こちらこそよろしくお願いします」


そうして私たちは雑談をしながら学園に飛んでいくのでした。


しゅーん

昨日と同じように校庭に降り立つとやはり人の視線が集まる

そんなに新入生がほうきに乗っているのがめずらしいのかしら


「おはようございますわアンジュさん」

「おはようクロエ」

「今日も心霊術の特訓お願いいたしますわ。」

「クロエは本当に勉強熱心だね」

「座学は嫌いですわ。ですが心霊術はとても麗しゅう術式でございますから、わたくしもお父様から是非体得するようにと命ぜられましたの」

「はぁ...まぁ気楽にね」

「はいですわ!」

そういうとクロエはにっこりと笑った


はぁ、この子悪気はないんだろうなあ、けどやっぱり貴族のめんどくさそうなところがにじみ出てる。

もっと気楽に関われそうな子はいないのかね



「あら、あなたはロメール家のクロエちゃんじゃないの。2人はもうお友達になったのかした?」

「先輩、よく私がロメール家の人間だってわかりましたね。そうよ私たち昨日から友達なの」

「ここらじゃ有名だからね」

「あら、もうこんな時間。じゃあ私は行くからこれからもよろしくね」

「不思議な人だね」

「うん……まぁお姉ちゃんの後輩だからね」

「あら?アンジュさんにはお姉さんがいらしたの?」

「あ、うん。10歳年上でここの卒業生なの。卒業時には首席で卒業したのよ」

「まぁほんとですの。素晴らしいお姉さまだこと。おほほほ」


何やらクロエの笑い方がおかしい

いや、お嬢様ってこんなものか

そうだよ、世界の1/4の富を占めるロメール財閥の令嬢なんだからこれがスタンダードなのよ、、きっと。


「それじゃ私たちも教室へ向かいましょ」

「ええ」



「みなさんおはようございます。昨日の今日なのでお休みの子はいないと思うけど出席をとります」

「えーそれでは一限目は心霊術の基礎を学習します。そもそも心霊術とはどのようにできてどのように歴史を通ってきたのかを説明しますわね」


先生の話によると心霊術は300年前に暗黒世界の軍勢が攻めてきたときに異世界から召喚された勇者によって編み出された対魔族的な意味合いが込められた術式のようだ

その時の4人の勇者によって暗黒世界の軍勢は全滅したが、そのときの術式が他にも使い道があるのではないかということから様々な研究が執り行われて今に至るというわけだ


しかし異世界とかあるんだな、

「先生、その異世界というのはどうやったらいけるんですか?」

「異世界へ通ずるゲートは100年前を最後に消えてしまいました」

「なんで消えたの?」

「100年前この世界では大規模な人間同士の戦争がありました。その時とても強力な心霊術式が発動されその時に生じた魔力風によってゲートがかき消されてしまったのです」

「なにそれー!酷い!!」

「だから、我々人類はその時の教訓として、異世界の勇者たちが残したものは大切に扱うという取り決めが行われたのです」

「それでは話を戻しますわね。心霊術に必要なのはまず周りの魔素を感じ取ること。これができないことには心霊術の”し”の字もないですわ。

魔素と言われても初めての人は何のことかわからないでしょうし、勇者様の世界にあった自転車と同じで乗れるようになるまではなんども失敗をするものです。

ですが一度その感覚をつかめれば一生ものとなるでしょう」

「ああー出たー学校の先生が何かにつけて一生もののスキルになるとか言ってお茶を濁す奴だーww」


先生がしゃべっているときに突然クソガキが茶々を入れる

つーかなんなんだこの茶々の入れ方は、私が逆の立場ならこのクソガキを痛めつけているところだぞ


「山田君そういう事言わない」


しかも山田ってwwwwマンガじゃないんだから

「ぶぶぶぶww」


「アンジュさん笑ってる?」

「ああ顔に出てた?あの山田っていうガキの言動がおかしくてさ」

「ああねw確かにあの子おかしいよね。あんまり関わり合いにありたくないですわね」



「とにかく心霊術の基礎は座学では網羅できないものがあります。さっそく校庭にでて先生がお手本を見せます。皆さん私にはぐれないようについてくるように」

そう言って私たちは校庭に列をなしてついていくのだった


「それでは先生がお手本を見せます zazasu zazasu nasu zazasu われと深淵なる神のご加護の素に今一度断りを読み解きこの戒律に従え!」


...すると地面が揺れ始めた


「こ、これは土類属性の心霊術!ざっと震度5はあるぜ!すげーや先生!!」


またもや山田がしゃしゃり出てきた。こいつはこの先もうるさそうだな、すべてスルーする方向で行こう


「さ、皆さんお気づきでしょうが今私が心霊術を放ったと同時にその残滓である魔素が風となってあなたたちのもとへ過ぎていったのを感じたと思います。

その感じたものが魔素です」


すげぇ、この先生、生徒の素質に関係なく直接魔素を感じ取らせることができるんだ、、恐ろしい人...!!!


「おおおおおお!!!」

するとさっそく周りの生徒は心霊術を各々が感じたように発動し始めた


この先生は個人の能力を引き出す天才か!?


しかし、中には魔素を感じ取れなったという生徒もちらほらいる

20人中5人がそれに当てはまる


「えー、今私が放ったレベルの魔素を今月末になっても感じ取れないという人は退学ということになりますので皆さんしっかり励みますよに」

いやいや、いきなり鬼発言かよ、いやこれはこの先生の意見というよりは学校全体の意思と受け取ったほうがよさそうだな。

そもそもここは心霊術を専門に習う学校、そこに通う生徒がその術に対する素質が全くないというのなら話にならない

現在魔素を感じ取れる人間の全人類で40%だという。それなら仮に魔素を感じ取れないからと言って何も恥ずかしいものではない

今感じ取れなかった子たちはおそらく親が無理やり金をこの学園につぎ込んで入れたのだろう

無理しなくてもほかに道はあるのに

そんなに心霊術を習得したいのかしらね


そんなことを考えていると先生がこちらを凝視するのであった

「はい?何でしょう」

「アンジュさん、あなたからただならぬ魔素が感じ取れるのです」


あ、やっべ。駄々洩れにしすぎた

普段は目立たないよに制御してたんだけど、こういう場だからつい気を抜いちゃった


「あーそうですね...」

「ちょっとみんなの前で披露してもらえますかな?」


は?なんだこの尼!!ざけんななんで私がそんな真似しなきゃならないんだよ!

だがここで反発するのは今後の学園生活においても支障をきたしそうだったのでしょうがなく私は先生に従って心霊術を唱えるのだった


「はぁ...」

ざわ…ざわ…

辺りがざわめき始めた

これからとんでもないことが起こりそうだという空気が辺りを支配していた


「深淵なる我が命ずる。今一度心理の理を紐解き、われに力を与え給え。zazasu zazasu nasu zazasu!! Miro Explosion!!」


きゅいーーーーーーーーーーーーーーーん

その瞬間先生の目が吹き飛んだのが見えた


ドッガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!


半径10mが更地と化した

幸い?クラスメイトは20mは離れていたので何ともなかったが先生の面玉が取れていたのにはさすがの私も驚いた

というかグロいわ…


「ああああああああああああああああああああああああ私のめがぁぁぁ嗚呼あああああああ」


先生の断末魔が聞こえる

手加減はしたんだけどなぁ…


すると職員室にいた先生方が数名駆けつけてきた

「これはいったいどういうことだ」

「私が先生に言われるがまま心霊術を使ったらこうなりました」


私がこういうと先生は額に手を当てて呆れるようなしぐさをした

「君はアリスさんの妹さんで間違いないよね」

「はいそうですが」

「まったく、開校以来の天才であるアリスさんの妹さんになんてことをさせるんだ。こうなることくらい普通の教師なら予想がつくだろうが!!

とにかくこのおバカな先生を医務室へ連れていく。君たちは教室に戻っていなさい、あとから臨時の先生を向かわせる」


そういうと肉付きのよい先生が目の外れた今は盲目の先生を背負ってこの場をあとにした


「アンジュちゃんいったいあれは何なのよ!!」

クロエが動揺した様子で訊いてきた


「あれは我が家に通ずる心霊術です。一般の方は真似できないのでそのつもりで」

「いや、そうじゃなくてっ…あんな馬鹿げた破壊力の心霊術を新入生が放てるって明らかにおかしいでしょ!

あんなの高等部の人間だって放てるようなものじゃないわ!それこそこの世に7人しかいないといわれる王国心霊術師が束になって唱えないと到底なせる業じゃないわ!」


私が放った技ってそんなにすごいものだったのか…あんま意識してなかった。

「へーそうなんだ。まぁそんなことどうでもいいんじゃないかな。それよりも、、、」


私が他のクラスメイトに目をやると彼ら彼女らはヒイッっと怖がるのであった

「そんなに怖がらなくてもいいよ、私はあなたたちのクラスメイトなんだから」

「アンジュちゃん、それ、今ここで言うとますますアンジュちゃんが魔王に見えてくるわ」

「あのさぁ…」


はぁ何となく放った心霊術でまさかこんなことになるとは、

これじゃ普通の学園生活は送れそうになさそうだな

やれやれ…ちょっと憂鬱。

学校編はもう少し続きます

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