23歳無職独身医学部受験生の悲しい末路
これは私の私小説でもあり、私の怨念が小説となったものでもあります。
どうか皆さん心して読んでください。
今朝から雨が降り続いている
この雨はいつ降りやむのだろうか
かれこれ一週間前からこの調子だ
俺は安物の紅茶の入ったマグカップを片手にふと思いついたかのように小説を書き始めた
中学生だったか、過去にも一度や二度自分で小説を書こうとしたような気がしたが、
結局原稿用紙一枚と書くことはなかった
今こうして小説を書こうと思い立ったのは、自分の考えが分からなくなったからだ。
小説を書いていく中で、何が自分の核になっているのか、自分の本音は何なのか
それを見つけ出せたらと思い今に至っている
もちろんなりたいものややりたいことはある
しかしどうしても自分がそうなっている姿を鮮明に現実的に思い描くことができないのだ
中学時代の部活内でのいじめ、クラスメイトからの
理不尽ないじめ、からかいが災いして俺の人間不信は今絶頂期を迎えている
あんな部活さっさとやめればよかった
あんな学校なら早々に登校拒否をすればよかった
今となってはそんなことを思う始末
ただ、どれだけ思おうが心の傷が癒えることはなかった
頭の中ではこの怒りをあの小さい子にぶつけてやろうか
などとかのアドルフ・ヒトラーさながらの憎悪に駆られ続けている
どうしてもこの手であいつをぶち殺したい
そんな捉えどころのない屈辱にも似た潤いをなくした情動がいつも俺を苦しめくるのだ
今も虐められた時の後遺症で道行く人が俺に根も葉もないことで言いがかりをつけてきて
襲ってくるのではないだろうかという強迫観念に駆られる
そのせいで本当に感じたいことを堂々と感じれなくなってしまった
本当の感情を否定された時のことが恐ろしくて表に出せないのだ
いじめの後遺症で苦しいのは
1.いじめられていたことのフラッシュバックからの理不尽な目にあったことのいじめっ子への憎悪
2.感情表現が下手くそになったことで対人関係がいびつになる
3.そんなつまらないことでうじうじと悩む自分への不甲斐なさ、どこにもぶつけられない苛立ち
俺はいったい何をしたいんだろうか
図書館を出ると雪が降っていた
俺は持ち合わせの折り畳み傘を差し一人歩いていく
はぁ、まったくこんな雪では靴がびしょ濡れになっちまうだろうが
小さい頃は雪が大好きだった
ついさっきまでいつもと変わらない世界が、大雪の後にはまるで別世界になっていたからだ
子供のころはよく雪が降ると大はしゃぎで雪の世界へダイブしたものだった
俺の地域ではそんなに雪は積もらなかったが、それでもそんな非日常的なことがたまらなく好きだった
さて、今ではどうだろう
長い期間の抑うつ状態が続き、心はすっかり荒んでしまった
早く家に帰って布団の中でお菓子でも食べながらスマホをいじるとしよう
そんなことを考えながら早足に家路につくのであった
なお、2浪をしてかろうじて引っかかった芸術大学に父親の勧めで入学するも、
嫌気がさして半年で大学を中退、その後は家に居づらくなって遠く離れた県に一人暮らしを始めた。
こっちに来てからはまともな就職先が無いから仕方なく医学部受験をすることにし、6浪目に突入しようとしている。
同級生はみんな本命かどうかはともかく各々の職に就き仕事をしているというのに
俺とくればコンビニアルバイトだ
来る日も来る日も深夜に働きに行って
朝に帰ってくる
それから勉強するのかと思えば布団に寝転がりYouTubeをうだうだと見始める
何の生産性もない..
いや今となってはこの生産性という言葉すら空虚に感じてしまう
「ただいま」
上述の通り今は一人暮らしをしている
今は引っ越してからちょうど3年目になるのだろうか
なのでもちろん俺がただいまと言っても誰も返事をすることはなかった
子供のころからの習慣で家に帰るとただいまを言い、食事をとるときはいただきます。食べ終わればごちそうさまでした。
人から親切をされると機械的にありがとうございます
そういう事を躾けられていた。
それがまだ小学生とかなら可愛らしい、礼儀正しいと褒められていたが、23歳となった今ではもはやほとんどの価値が抜け落ちてしまった。
と、いうよりも言葉そのものに気持ちが入ってないから、まさに一言一句が無感情で機械的に今ここではこういうことを言うべきだと、人と話をするときは半ば強迫観念に駆られて
言っているに過ぎなかった
無論、そんなことを続けて育った俺だ、今の俺は同い年に比べて遥かに人間として劣っている
何にしても他者の目を気にする男となってしまった
自分で言うのもなんだがそんな日々に嫌気がさすのも無理はない
玄関を抜けて荷物を置き、部屋着に着替える
台所で手洗いうがいをし、家内モードになる
ロフトへつながる階段を上り数か月敷きっぱなしの布団に倒れ掛かるように寝転ぶ
買いだめしていたポテチの封をあけ、紙コップにコーラを注ぎスマホの電源を付け
、あらかじめダウンロードしていた動画を見始める
これが俺の日常だった
動画を一通り見終わると眠気がさしたのでそのまま寝た
「嫌だ...」
「助けて...」
なんだ誰が言っているんだ?
「俺はこのために生まれてきたんじゃない」
ふむ、こいつが誰だか知らんが、どうやら嫌なことでもあったのだろうか
「お前だって心の底では気付いているんだろ」
「こんなことを続けていても意味なんかないんだってこと」
...なんだこいつ
と、そのとき冷静になって自分の周りを見渡すと
真っ暗だった
誰もいないじゃないか
じゃあこれは誰が言っているんだ?
と、それと同時に自分の口が動く
「お前は自分の心に嘘をついている」
ハッ!?
これは俺が言っているのか??
なんで俺がこんなことを言っている
さっぱり訳が分からない
そこで俺は目が覚めた
...なんだ夢か
そりゃそうだ、真っ暗な世界なんてそうそうあるもんじゃない
夢にいるときはどんなヘンテコな夢でもそれがリアルに感じる
おそらくは、深層心理が夢の中ではむき出しになっていて、無意識のうちにそれが当たり前だと感じてしまうからなのだろう
クソっ!つまらんつまらんつまらん!!!!!!!!!
「来世は何の苦労もない純粋無垢な美幼女にしてくださぁぁぁあああああああい!!!!!」
俺はこの世のありとあらゆる理不尽に耐えられず、思わず願望を声に出して発狂した。
スマホで時間を確認する
どうやら5時間も眠っていたようだ
寝る前のコーラのせいで尿意を感じていた
俺はトイレにいくためロフトから一階に行くための細い階段を下ろうとする
そのとき
体から力が抜けていくような感覚がした
なっ...
このままいくと俺は間違いなく3mはある床に落ちてしまう
しかし、どれだけ力を入れようと四肢はいう事を聞かない
そのまま俺は意識がもうろうとしたまま地面に激突した
ーーーーーーーーー意識が遠くなっていくーーーーーーーーーー
そうして男は幼女になった