第6章
ワードで修正した箇所がなぜかなかったことにされていた事実・・・
「藤川かすみに脅迫状だと?」
なんでだ?あいつは被害者の家族だ。しかも世間は知らないはず・・・
そーいえばファンレターがきたっていっていたな。どうしていってくれなかったのだろうか・・・いやいえなかったのか・・・?話しが終わったあとのビクビクしているかすみを思い出した。しかしあそこまでビクビクされるのも凹むなぁ
車を走らせながらいろいろ考えを巡らす。
復讐・・・まさかかすみの口からそんな言葉を聞くとは思わなかった。いや、可能性としては考えていた。真実を知りたいと言っていたのを思い出しながら思った。ただ、実際にかすみの口から聞くと・・・実際自分はあの事故の真実がほかにあるのではないかと思いこの仕事についた。そして本当の事実を知る人物を探しだし罰せれたらと思っていたりもした。言葉は違うものの立派に復讐という言葉には置き換えられた。
「警部補こちらです!」
署に着くなりほかの刑事が誘導しにやってきた。
親愛なる 藤川かすみ様
リバイタルの成功おめでとうございます。とても素敵でした。
きっと死者の方々にとって素晴らしいレクイエムになったと思います。
ただ残念なことにあなた様はまだなにひとつ真実を見つけてないご様子・・・せっかくヒントを与えているのに。あまり待たせないで下さい。
さもなくば天罰が下ることになりますから
どうぞお気をつけください。
「脅迫状というかこれは警告状だな。」
文章を読み上げ呟いた。
「ヒント・・・」
そう呟き、ファンレター?携帯を取り出しダイヤルをプッシュした。
「兄さん・・・どーしよーかすみさんがいなくなってる!」
呼び出し音がなると同時に弥生が叫んだ。
署に着く前にオレは弥生に再度家に行ってくれとたのんでいた。
そしていやな予感は的中。
「・・・なにかかわっていることはないか調べてくれ。すぐに戻るから。」
オレはすぐさま回りに指示を仰いだ。
「宮下さんはついてきてください!ほかは被害者ふたりの身辺調査とその手紙の差出人を二手に別れて捜査してください。」
いつも冷静に指示を仰ぐ姿を見慣れているほかの刑事は初めて本気で焦っているオレをみてびっくりしつつ動き始めた。
「うちの警部補はどんな時でも沈着冷静がウリだったよな?」
車に乗り込み宮下さんはいった。
「それでも一人の人間ですから。なにより愛する人を守る一人の男でありたい。人は変わるんですよ。」
車を自宅マンションへと急いで走らせた。
「たしかにお前は変わったな。たった一人だけかもなお前を取り乱せるやつは。」
にっと微笑んだ。
宮下さんはいまではオレの部下にあたるが大学の先輩でもある。キャリアは向かないと現場の刑事としてがんばっていた。そしてなにより10年前の事故の担当者でもあった。
「藤川かすみはあの事故で亡くなった有馬由貴の娘です。あのあとすぐに海外に移住しています。世間には娘だとは公表していません。」
オレは軽くかすみの情報を教えた。今回の来日理由も・・・
「兄さんっ!!」
マンションにつくと弥生が待っていた。
「ごめんなさい。すぐに来たつもりだったのに…」
しゅんとしている弥生…
「いや、気付かなかったオレも悪い」
三人は部屋へ入って行った。
「あいつパソもっていたのか・・・」
テーブルの真ん中にノーとパソコンがのっていた。
「誰かと待ち合わせとかは考えられないのか?」
宮下さんが突っ込む。しかし自分で却下した。10年振りに日本に来日なのに知り合いはいないと…
「兄さん、かすみさん向こうじゃ行方不明になっている」
画面を見て叫ぶ。
「メールでマネージャーからどこにいるか教えろって催促きてる」
弥生の言葉に驚きを隠せない。
「兄さん、これみてっ?」
弥生はさらに何かを見つけた。マウスを間違えてクリックしたようだ。
画面を見るとそこには…
親愛なる 藤川かすみ様
どうやら手紙は君の手元にきてないみたいだね。
画面を睨みつけるオレ
本当に君が興味を示してくれて嬉しいよ。無実の罪をかぶった整備士も喜んでいるよ。
確か、整備士がブレーキオイルを少量にして横領していたんだったな。
僕たちの復讐ももうすぐ終わる…あとひとりだよ。君に見てほしいんだ最後の晩餐として。同じ境遇にたったものとして…
今日の20時に決行だよ。遅刻は許さないよ。
「これが初めてのメールじゃないわ。何度か返信をしているみたい」
弥生にいわれ再度画面を覗き込む。そこには復讐なんて無意味だ。なにも残らない。などとかすみの心境が書いてあった。
あいつ自身が復讐をしようとしているんじゃない。こいつを止めようと来日したのか?
「場所が書いてないわ。」
弥生はメールをスクロールしたりしたが時間しか書いていない。
「・・・死んだ整備士が無実だとしたら誰が・・・」
当時部長だった人の秘書であり愛人・・・いまは総理の秘書・・・
そして当時の主任・・・共通は会社だけ・・・
「大沢っ・・・これはけっこう厄介になりそうだな。10年前のあの事件はもしかしたら会社ぐるみかもしれん。当時の部長はいまや社長と大出世しておる」
かすみに宛てたメールを再度確認しながらいう。
「事件は事件。真実はひとつです。それを教えてくれたのは宮下さんでしょ」
つい強く言ってしまった。
「・・・すみません」
すぐにあやまりゆっくりと呼吸を整えた。
「気にするな。たまにはそんなお前もよいな。さぁ、事件をもう一度あらうか。じゃないと前に進まん。」
手をパンッとたたき気合を入れた。
オレは頭の中でゆっくり考えた。秘書が殺され脅迫状がまず総理の元へ・・・そして主任が殺害・・・んっ
「どうして総理の元に脅迫状がっ?」
流れ的に不自然だ。むろんかすみの元に届くのも・・・
「総理、お忙しいところ申し訳ございません。」
オレたちが応接室でまっているとやってきた。
「かまわないよ。で、緊急事というのは?」
オレ達・・・いやオレの表情で焦っている様子がわかったように話す
「亡くなった秘書は以前バス会社で秘書をやっていたのはご存知ですか?」
宮下さんが質問するようにいった。
「えーぇ、もちろんです。上司のセクハラがひどくて辞めたばかりとのだったので、アルバイトをしている彼女を雇いました。」
調べていた情報とは違う・・・
「セクハラといっても直接的なほどではないんだ。若いのに、なかなか仕事のできる子でね。最初は彼女にいいよっていたみたいだが相手にしなかったみたいだ。そのあとからがひどかった。社内にも社外にもあの娘はオレの愛人だ。ブランド物が好きで困るだの。ありもしないことを言い触らした。実際にブランド物は好きみたいだったが上司からもらったものはすべて返していた。しかし、会社内だけでもかなり批判を受けていたみたいで居づらくて辞めたそうだ。私は実際に10年彼女とやってきたが彼女にはきちんとプライドがある。絶対に人の道を外すことはしない子だ。」
総理の目に嘘はなさそうだ。彼女を本当に信用していた。オレ達も信用できるだろうと確信した。
「なぜ彼女が殺されたのでしょうか・・・」
ぼそっと呟く総理。
「10年前の復讐だと犯人はいっています。」
宮下さんが覚悟したのか情報提供をすることにした。
「犯人・・・?」
宮下さんからの意外な言葉に驚く。
「藤川さんの所にかなり前から接触があったみたいです。なぜ彼女が被害者の親族とバレたかはわかりませんが・・・」
オレもこのままではなにも進まないと思った。
「藤川さんの所に!?」
彼女の素性をあかそうかを悩んでいたオレ。かすみには悪いがこのままだとよくない。
「藤川さんは有馬由貴さんの子どもです。」
一瞬、言葉を失う総理。
知り合いだったのか??
「あの娘は私の孫なのか!?」
母親を言っただけで普通孫かなんていえるか?
「なぜご存知だったんです?」
すかさず宮下さんがつっこんだ。
「あの事故で死んだ息子と付き合っていたんだ。」
はっ?
「私と初めてあったあといきなり姿を消したらしい。なるほど・・・」
オレ達は頭の中をもう一度整理した。
「総理ちょっと待ってください。えーっと有馬さんと息子さんが交際していたかは私にはわかりませんが、二人の子どもじゃないのは確かです。シングルマザーですが彼女には父親がいます。」
有馬さんが姿を消したのはきっと…
「有馬由貴さんが姿を消したのはあなたが彼の父親だったからです。彼女は39年前に藤川由梨さんが生んだ子どもです。」
オレのかわりに宮下さんがいってくれた。
「私はあの事故で子どもをふたり亡くしていたのか・・・」
やっとわかった事実・・・しかし彼女はもう居ない。
「総理、お願いします。この事件を解決しないとお孫さんまで亡くすことになってしまいます。」
オレの言葉に理解できずどういうことだ??と困っていた。
きちんと説明しようとした時、携帯がなり始めた。
「大沢さん?いまいいかしら?」
電話向こうの声には聞き覚えがあった。さっきまで家に来ていた有馬さんの友達だ。
「大丈夫です。その前にかすみ・・さんは一緒でしょうか?」
そこにいるのなら全然問題なかった。あのあと普通ならさすがのかすみでも家にいると思う。何かがないかぎり…
「ちょっとまってあの子いないのっ?」
かなり慌てる様子・・・へんに不安が押し寄せてくる。
「なにがあったんですか?」
オレはテレビ局へと車を急がせた。
そこにはまわりの反対を押し切り同行した総理も居た。
「大沢さん、こちら八代まどかさん。私の後輩なの。」
案内された部屋にいた一人の女性。
「今回の殺人は10年前のあのバス事故が関係しているのはもうおわかりだと思います。中谷琢磨…今回の事件の犯人です。彼はあの事故の整備士の息子です。私は彼とは幼なじみです。彼が生まれる前に両親は離婚しており母親の再婚相手の子どもとして育てられているので戸籍上は他人です。でも彼は実父を尊敬し慕っていました。10年前の事故が起こる前までは…琢磨は実父が横領したことを知り絶望し言葉で罵りました。実父はなにも言い返さなかったので誰もがそれが真実と思っていました。その後、実父がご存知のとおり自殺しました。琢磨は父のようになるものかと同じ整備士を仕事に選びました。そして事実を知ってしまったのです。」
オレ達はすぐさま中谷琢磨の行方を探させた。
「続きを頼む。」
電話を切り、話しを聞くことに集中した
「琢磨は殺された江口から聞いてしまったのです。お酒の席ですべてを…あの事故の発端は当時部長だった坂上秀和が自分の愛人に貢ぐために主任であった江口を使いいろんな種類のオイルを薄めたことです。琢磨の父はそのことを知らなかったんです。江口はそのことを整備士ならわかるだろう。故意に薄めたに違いないと部下を使って噂をひろめたそうです。」
これが10年前の真相・・・
「でもなんでかすみまで」
つい口走ってしまい慌てた。
「たぶん私のせいだわ。琢磨くんは私とも仲がよかったの。つい口をすべらせて主人と由貴の子どもということ教えてしまったの」
申し訳なさそうな顔をする…
「自分とは逆の立場に置かれている藤川さんに真実を知ってほしかったんだと思います。」
八代まどかの言葉に対してあきらかに怒りの表情を見せる。
ふざけるな。自分のエゴでかすみを巻き込み傷つけるなんて…
「大沢、落ち着け。とにかく藤川さんの行方も探してもらっている。オレ達も行くぞ。」
なだめる宮下さんにはい。と答える。
「八代さん、ありがとう。」
宮下さんは礼をいい総理とオレをひきつれて出ていこうとした。
「いえ、江口が殺されるまで自信がなくて遅くなってしまいすみません。」
オレ達は最後まで言葉を聞きなにも言わずその場をあとにした。
次回更新予定11/25(月)