第4章
毎週月曜日更新予定
ちなみにこちらわかっているかもしれませんが・・・
推理ものではないです笑
ピーンポーン
かすみはその音で目を覚まし隣に寝ているオレを起こさぬ様にゆっくり寝間着のまま玄関へ向かった。
「かすみさん、おはよう。」
ドアをあけると弥生がいた。
「おはよう。朝からどうしたの?」
リビングへ向かいかすみはコーヒーの用意をした。
「ごめんね。来る前に兄さんに電話したのだけど、でなくて。」
弥生は自分でカップをとり冷蔵庫のジュースをついだ。
「大沢さんならまだ寝ているわよ。」
かすみは自分用にコーヒーをいれ飲み始めた。
「用があるのはかすみさんになの。昨日の夜、電話が来て総理が一緒に食事に行かないか?って」
本来かすみは妹である弥生の部屋にいるはずだった。
「かまわないわよ?」
かすみはふたつ返事で返した。
「オレもかまわないがかすみ一人では行かせないぞ 」
元弥生の部屋から出て来た大沢さん。
弥生は大沢さんをみてぴくりっと眉をあげた。が、そのことには触れずに
「当たり前でしょ。ちゃんと同行者も込みでっていってあるわよ。」
きっと睨みをきかせる弥生。しかし大沢さんは気にしない。私は、そんな二人を見て笑いがでてきてしまった。
「おい、なに笑っているんだぁ?」
キレる大沢さん
「兄妹っていいなと思って。」
クスクスと笑いが止まらず、大沢さんは 状態 弥生は私たち二人を見て呆れている。
「かすみさんには私がついておこうかと思ったけど、もれなく兄さんがついてくるなら心配いらないわね」
私たち二人をみてにやっとする弥生
「一旦、署に行ってくる。かすみ、じっとしていろといったところで君が聞くわけないから言わないが、たのむから一人で行動するのだけはやめてくれよ。」
びしっといいでていった。
「かすみさん、佑がいっていたのだけど、もうしばらく日本にいるの?」
兄である大沢さんがでていったのを確認し、言った。
「えーぇ。もともとこっちでやりたいことがあってしばらくはオフにしてもらっているのよ。」
そう、真相を知る為に・・・
昨晩、大沢さんに来日した理由を話した。かといって警察にまかせるつもりは全然なかった。しかもいきなり大沢さんが関係のないあの事件の話しをした時点で私は今回のことが関係していることを確信した。昨晩、私たちはあのまま眠りについてしまい大切なことを聞き忘れていたことに気付いた
「脅迫状?」
署の近くでおれはかすみと待ち合わせをした。もちろん弥生に送らせて。弥生もと誘ったが佑と約束しているからと帰っていった。
「ったく、佑、佑ってオレのこともかまえっ」
ブツブツと文句をいいながらパスタをほおばる。
「大沢さんっ弥生は私たちに気を使って帰ったの」
かすみの言葉の意味をわからずオレはきょとんとした。
「わからないならいいです」
声のトーンをかなり下げていたがオレは気付かなかった。
「で、脅迫状がきたんですか?」
話しを元に戻すかすみ
「脅迫状といっていいのかはわからないが、10年前の真相を教えてやる。ってね」
昨晩、かすみに伝えようしたのだが、つい欲望に負けてしまった…いや、抑えようとした。でもかすみの話しを聞き二人の関係を改めて知ったときオレの中でなにかが吹っ飛んだ。
昨晩のことをオレは後悔していないむしろ、運命というものを信じてしまう程かすみにはまってしまった。
「関係者かしら・・・」
かすみは呟く。
「気持ちはわかるが、関係者ならかなり性質が悪い!」
オレはついつい叫んでしまい、周りの人たちがびっくりしていた。
「落ち着いてください!関係者ということは家族や親戚。」
それだけじゃなく亡くなった人の恋人や知人という可能性もある。ややっこしいのはそっちの方だ。
「家族や親戚はがんばれますけど、恋人とかは難しいですよね。」
オレの考えていたことと同じことを言い驚く。
二人はしばらく考え込んだ。
「でもなんで深川さんのところに手紙なんて送ったのかしら…」
たしかに・・・彼の息子も亡くなっていて被害者のはずなのに・・・
とりあえずここで考えても埒があかないので家に戻ることにした。
家につくまでかすみは適当に話しながらなにかを考えていた。きっと頭の中では事件のことでいっぱいなのだろう。
本当は、警察に全部任せておとなしく解決するのを待っていてほしかった。しかし、あの日かすみがすべてを教えてくれたときにこいつはおとなしく待っているやつでないことを確証した。初めて彼女を見たときまず、目に惹かれた。凛として染まらない花の様に力強く、そして優しい眼差しに。
その時に、きっとおとなしく解決を待つような人じゃないだろうなと…そんな予感が当たってしまった以上オレはこいつを必ず守ってやると決めたんだ。
「大沢さん聞いている」
ついつい考え込んでしまった。はっと我に戻りかすみの声に再び耳を傾ける。
「もう一回いってくれる?」
オレの反応にちょっとふてくされる
「もぉ~せっかく覚悟決めていったのに」
家の駐車場につきさっさと車をおりて行くかすみ。
「悪い悪い」
と、軽く唇にKISSをした。
いきなりでおどろいたのか顔を赤くしながら
「こんなことして誤解するような人いないんですか?」
再度、覚悟を決めているのかすごく真面目に聞いてきた。
「まぁ、怒るのかなぁ~」
さっさとエレベーターへと歩く。
「大沢さんのばかっ!」
やべっとオレはいそいでかすみを抱きしめた。
「ごめん。」
かすみはオレから離れようともがく。がしっかりと捕まえている。
「あばれんなよ。わりぃ~悪ふざけしすぎた。」
かすみは諦め抵抗を止めた。そのかわり泣き始めていた。
「か・・・かすみっ泣くなよ。オレはお前のことをいったつもりなんだよ↓わるかったよ」
その言葉に泣くのを一旦止めた。
「本当に?」
信じられないっといった表情だ。
「藤川様ですね。お待ちしておりました。」
料亭の人に案内されて一つの個室に案内された。
「お連れ様がいらっしゃいました。」
中から返事がかえってきたのを確認し、襖を開けた。どうぞと中へ導かれ二人は部屋へ入った。
「おや、まさか大沢君とくるとは・・・」
かすみと一緒に入ったオレをみて呟く。
「なにか不都合でも?」
ムッとしたオレの反応に慌てるかすみ
「深川さん本日お招きありがとうございます」
さっさとオレを座らせ挨拶をする。
「いやいや、こちらこそ。今日はね、どうしても知りたいことがあってね。この前聞こうとしたんだけどね…」
二人にお酒をつぐ総理。
「私に聞きたいことですか?」
事件が起きて聞けなかったということは事件とは関係なさそうだ。おとなしくしておこうとオレは目の前の料理に集中することにした。
「君によく似ている藤川由梨という女性を知っているかね?」
オレはかすみの表情が一瞬硬くなったのをみのがさなかった。
そのあとゆっくりと口を開いた。
「・・・私の祖母にあたる方がその同じ名前です。」
お互いにそれ以上求めも話しもせずしばらく沈黙が続いた。
「生前祖母は、母をまわりの協力を得て立派に育て上げました。私も母が仕事でいないときはお世話になり、とても尊敬している女性です。」
重い沈黙をさきに破ったのはかすみだった。
オレには話が見えず二人の様子を観察することしかできなかった。
「由梨はいつ・・・」
かすみの言葉を聞き動揺を隠せない総理。
かすみの祖母は総理と知り合いだった…しかもただの知り合いではないっぽい…
「10年前、母と母の婚約者を事故でなくしたあとに病気で…」
あの事故のことを思いだしオレはかすみがまた泣いてしまうのではないかとあせった。
が、今度は、涙はでていなかった。
「まさか…君の両親もあの事故に巻き込まれたのか」
有馬由貴のことを知っているわけではないのか??
「大沢さん。いきましょう。」
かすみはさっさと立ってでていこうとした。
オレは急いであとを追った。
「藤川さん、ありがとう教えてくれて。」
後ろから総理が叫んだ。
その声に応えかすみは振り向き
「あのころが一番幸せだったと祖母は笑っていました。」
それだけを残し、料亭をあとにした。
帰りの車の中
「祖母と深川さんは学生時代に恋人同士だったのよ。両親の仕事の都合でイギリスにいた祖母。留学でイギリスにいた深川さん。深川さんが日本に戻ったあとに日本には会ったことのない婚約者がいることを知って祖母は身を引いたの。忘れ形見だけを授かって」
かすみの話しを聞きようやく一本の道が出来上がった。
「じゃぁ、かすみは総理の孫っ?」
そんなオレを見てかすみは
「私は私よ。ほかの誰でもないわ。一人の男性を愛する普通の女よ。」
そういいかすみはオレにくっついてきた。
「さっきの様子じゃ、お前のことを孫だとは思ってないみたいだな。」
家につきオレは頭の中の整理をしようとした。
「そうね。祖母に子どもがいたことには驚いていたけど、そのことに関しては感心がなかったようね」
ちょっと寂しそうな横顔。
「せっかく近くに身内がいるのにな。」
コーヒーを入れかすみに渡す。
我慢して涙を堪えているかすみを見てたまらなく愛おしく思えた。オレはゆっくりかすみを抱きしめた。
「いまはあなたがいてくれているわ。それ以上を望むなんてよくばりだわ。」
オレの手を握りいってくれた。
よくばり…はたしてそうだろうか。普通に家族が近くにいるのにもかかわらず
オレが黙り込んでいると
「大沢さんがいいたいことはわかっているの。死んだら会いたくても会えない。でも生きていて会わない。はだめだってことぐらい。深川さんにはいま奥様がいるわ。その人をわざわざ苦しめることはしなくていいと思うの」
にっこり微笑み軽くKISSをした。
次回更新11/11(月)予定