第2講 設問と解答を繋げよ
目次
現代文の解法
● 設問と解答を繋げよ
● 設問に垣間見る"読解力"の真意
● 評論文と小説文は同じだと考えよ
講義内容
● 設問と解答を繋げよ
結局のところ、現代文を真正面から攻略するにはどうしたらよいでしょうか。
ズバリ!
設問と自分の解答を繋げて読む、ことです。
え? 設問を解くための方法じゃないのか、って? いえいえ、これこそ評論文・小説文の両方に共通する、正解を導くための方法なんですよ。もう少し読んでいってくださいな。
そして、繋げて読んで何をするのか、ということですが――、
設問と自分の解答が、出題の本文の要約になっているか、確認してください。
当然、適当な「てにをは」を頭の中で補完しながら読む必要はありますが、どこかにおかしいところは無いですか? その、確認をするんです。
第1講で「解答の確認方法が無いから得点が伸びない。」ということを書きました。
なら、その確認方法があれば自ずと得点は伸びるのです!
もちろん評論文と小説文で微妙に解き方が異なるので、それについては各々解説をします。
ですがここでは、設問と解答を繋げることについて書きますね。
そもそも、試験で通用する解答方法というものは、普段の勉強で使い方に慣れておくのが普通です。数学で公式を使いこなさずに問題を解こうというのは、無謀ですよね? いくつかの演習問題を解いて、解説を読んで、公式の使い方を身につけますよね?
それと同じで、私がここに書く方法も、何度か練習しないと身につかないのは当たり前です。
逆に言えば、私の伝える方法を身につければ、数学の公式のように、問題を解くことも可能になるということです。
● 設問に垣間見る"読解力"の真意
けれど、なぜ設問と自分の解答を繋げて読むことが、正攻法だと、私は書くのか。
それは大学が求める、現代文の問題における"読解力"が、"文章を適切に要約できる能力"だからです。
だから、自ずと設問も”本文の要約”のみに帰結します。
論より証拠。まずは択一式問題のみで構成される、センター試験などの解答を用意して、設問と正解を繋げて読んでみてから、戻ってきて、本文を読み進めてください。
どうですか?
過不足ない要約だったと思います。
そうだと納得できた方は、すでにコツを掴んでいます。択一式問題の解答を熟読することで、記述式問題で書かなければならない要約の仕方まで、すべて理解できるようになるでしょう。
そうなのです。
話は逸れますが、記述式問題で書かなければならない要約の仕方は、択一式問題を解いて、正解をしっかりと見直すことで、自然と身につけられるのです。
ただ、記述式問題の細かい解法は、次講以降の評論文や小説文の各論でお伝えしますね。
話を戻しますと、重要なことは、現代文の問題は、すべて要約をしているに過ぎないという認識を持つことです。
要約を作るとき、一番重要なのは文章を解体することです。
言い換えれば要約しやすいようなセクションに分けて、重要なパーツを拾うことです。
そしてそれを再構成してあげるんです。
これは、評論文でも小説文でも変わりません。
相手の意図することを汲み取れますか? ということを大学は、試験で見ているのです。
そして、大学が求める"読解力"が"要約する能力"であるならば、学生はみな、"読解力"が足りていないことを自覚しないといけませんね。
"読解力"が十分ならば、それを問うことで受験生の実力を測ることなど出来ないのですから。
● 評論文と小説文は同じだと考えよ
評論は得意だけど、小説はちょっと……という方や、その逆の方は多いと思います。
しかし上にも書きましたが、私に言わせればどちらも同じです。細かいところでやることは異なりますが、出題の意図は、要約を作れということだけです。
評論文なら要旨、小説文なら粗筋という言い方にもなるのでしょうが、まとめて要約と表記すれば十分です。
さて、評論文の要約は、なんとなく想像ができると思います。
小説文の要約とは……? と思っているのではないでしょうか。
小説の要約は少々トリッキーなところがあるため、上で書いたように解答を読んでも、首を傾げてしまうかもしれません。
先に書いてしまいますが、小説において要約をするには、エピソードを簡潔に追うことと、登場人物の行動の理由を平易な言葉に言い換えてまとめる必要があります。
感情を、適切に記述し直す必要があるため、言葉を拾って繋げれば良いだけの、評論文より難しく感じることもあるでしょう。
逆に、本文を自分の語彙で以って再構成して良いのだから楽だ、という言い分もわかります。
本文の言葉を拾って繋げることしか解答が許されていない評論文は、シビアだというのもわかります。
どちらにせよ、その根底に流れているものが、本文の要約であるということは納得していただけたと思います。
→次講「評論文の解法」