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スライムさんと幼女メイド  作者: どらぬこ
第一章 悪徳商人編 第一幕 スライムさんと幼女メイド
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第6話 とある冒険者のありふれた朝、なのです。

冒険者リリィの朝は早いのです。


リリィの冒険者ランクになるスティール級は中級冒険者と呼ばれています。


初級のカッパー、下級のブロンズの次で、スティール級になってはじめて一人前の冒険者と言われているのです。

そう、リリィは冒険者として一人前なのです。


えっへん!


じゃなくて。

夜に魔物と戦うのは昼よりも危険がいっぱいになるですから、日帰りの依頼オーダーを受ける冒険者なんかは陽が昇るとすぐに行動するのです。


だから、冒険者ギルドでは朝には新しい依頼が貼られるので、早めに行かないといい依頼はなくなってしまうのです。


『おはよう、リリィ』


「スラくん、おはようなのです!」


『今日はどうするのだ?』


「もちろんギルドで依頼を受けるのです!」


『そうか。ではさっさと着替えて、下で朝食をとってしまおう』


「はいなのです! 〝ブレイブファースト〟は大事なのです!」


『うむ。朝食は大事だな』


リリィとスラくんは、食堂兼酒場になっている宿の一階で簡単な朝食にします。


宿での朝食は、大体は固いパンとスープに日替わりで一品付く感じなのです。

今日は電気羊ボルト・シープ腸詰め肉(ソーセージ)が付いててちょっと豪華でした。


きっと、宿のおかみさんがいいお肉を手に入れたのです。


σ


お値段の割に美味しい朝食を取った後は、早速冒険者ギルドに来ました。

昨日絡んできた大男がいましたが、一瞬だけ目が合うとそそくさと建物ギルドを出て行きました。


ちょっと脅かし過ぎたのです?


「あら、リリィさん。今日も依頼をお探しですか?」


ギルドの壁の一面に設置されている依頼版を見ていると、受付嬢さんのひとりがにこにこと営業スマイルで話しかけて来ました。

昨日はいなかった受付嬢さんです。


「はいなのです。でも、上の方が見づらいのです。なんとかならないのですか?」


「うーん。冒険者の方たちは大柄な人が多いですからねぇ。雑用が多い初級の依頼は新人さんや子どもたちにも見やすいように下の方に貼ってあるけど、リリィさんだと中級の貼ってある辺りはやっぱり見づらいわよねぇ」


受付嬢さんは可愛らしく小首を傾げて、ちょっと困った顔をしました。


近くの若い冒険者さんが頬を赤らめてます。

風邪なのですか?


「そうなのです。〝カイゼン〟を要求するのです」


「あはは、一応ギルマスには言っておくわ。そうね、これなんかどうかしら? リリィさんならちょうどいいんじゃないかな」


そう言って、受付嬢さんがちょっと上に貼ってあった一枚の依頼書を剥がして渡して来ました。


『ふむ、ブロンズ級の採取さいしゅ依頼か。下級の依頼にしては報酬は中々のようだな』


「はい。場所は日帰りでも可能なくらいですし、採取自体は簡単なので本来はカッパー級でもいい依頼なんですけど、最近近くで老体種エルダーらしい中位魔獣オーディナルの発見報告があったんです。魔獣の討伐依頼ならスティール級なんですけど、あくまで依頼は薬草の採取で倒す必要がないからブロンズになっているんです」


「倒してもいいのですか?」


「ええ。もし討伐してもらえたら、追加報酬もあるのでリリィさんならきっとお得ですよ。魔獣に遭遇そうぐうしないで、採取だけになっても損はしないと思いますし」


『その発見された魔獣とは何かな?』


「えっと、〝白黒熊モノ・グリズリー〟ですね。リリィさんなら難しくないんじゃないかな」


受付嬢さんが依頼書を確認して言いました。


『そうだな。われもいるし、多少群れていても問題ないだろう』


「なら、この依頼にするのです」


「なら、早速手続きさせてもらうわね」


「はいなのです!」


σ


「お嬢ちゃん、今日も依頼かい?」


冒険者ギルドをでて街門に着くと、門番をしている衛兵のおじさんが声をかけてきました。

昨日と同じ衛兵さんなのです。


「はいなのです!」


リリィは挨拶代わりに元気いっぱいに答えました。


「リリィちゃんは偉いなぁ。ウチの馬鹿バカ息子と歳は大して変わらんのになぁ・・・」


しみじみと言う衛兵さん。

なんとなくですが中年の〝アイシュウ〟が漂ってる気がするのです。


「〝シュクジョ〟の〝タシナミ〟なのです!」


「ああ、見習わせたいもんだ」


そう言って、衛兵のおじさんはリリィが差し出したギルドカードを確認します。


「ほら、問題ないぜ。怪我しないように気をつけてな! そっちのスライムも嬢ちゃんをしっかり守ってやれよ!」


「がんばるのです!」

『うむ、行ってくる』


リリィたちはそう返事して、意気揚々(いきようよう)と街門を潜ります。


街を出て一時間ほど街道を歩いて、リリィとスラくんは街道から少し離れた鬱蒼うっそうとした森に入りました。


クライダの街がある辺境は、〝大樹海ペルグランデ・シルウァ〟に面しているこの地域一帯のことなのです。


大樹海は〝果て無し〟と呼ばれるくらい広大で、樹海と大陸の境は〝樹海線リネア〟と呼ばれているのです。


この樹海線に面している地域はどこの国でも大体辺境と呼ばれていて、樹海に生息する魔物や魔獣が大陸にあふれない為の防衛線になってるのです。


魔物や魔獣は警戒してあまり人種の領域(りくち)には出て来ないのですが、樹海に接している辺境ではそれなりに見かけるのです。


とはいえ、強い個体は樹海の奥や迷宮にいるので、辺境や樹海線の辺りでは遭遇することはあまりないのです。


さて、それでは冒険のお時間なのです。


スキル名みたいになってますが、ブレイブファースト→ブレックファーストです。

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