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スライムさんと幼女メイド  作者: どらぬこ
第一章 悪徳商人編 第三幕 豚商人と変態紳士
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第19話 指名依頼なのです。

「あっ、リリィさん!」


いつものように冒険者ギルドで依頼書の貼ってある掲示板を眺めていると、受付嬢さんがリリィの名を呼びました。


「実は、リリィさんに指名依頼があるんですよ!」


受付嬢さんのいるカウンターに行くと、待っていましたとばかりに彼女が言いました。


「はあ、指名依頼なのです?」


「そうなんですよ! しかも、指名の高額の依頼料の他に、懸賞金まで付いた優良依頼こうじょうけんです!」


「稼いでうはうはなのです?」


「はい! うはうはですよ!」


「うはうはですか。依頼者は誰なのですか?」


「えっと、この街でも中堅の上位にいるスンドヴァル商会ですね。なんでも、街の東側の樹海で大規模な盗賊団の根城アジトを見つけたらしいんです。討伐隊を組織するからリリィさんにも参加して欲しいとのことですね」


「でも、その商会さんをリリィは知らないのです」


「ああ、それはきっと、〝盗賊喰らい(バンデット・イーター)〟の二つ名を聞いたんじゃないですか? あっ!」


冒険者にとって二つ名は名誉なのです。

幼女呼ばわりされなければリリィも怒ったりはしないのですよ?


まあ、もうちょっとリリィとしてはかっこいいか、かわいい二つ名がいいのですけれど。


「構わないのです。討伐隊はいつ出発するのですか?」


「二日後の朝ですね。じゃあ、依頼を受けるという事でいいですか?」


「リリィはそれでいいのです。スラくんもいいですか?」


『うむ。悪は討つべきだからな』


「はいです。悪人さんたちは滅殺ころころするのです!」


「頑張ってくださいね!」


σ


討伐隊の出発する日、リリィとスラくんはクライダの街の東門に来たのです。


門前には、数十人のがらの悪い男たちが集まっていました。


・・・盗賊団なのです?


「やあ、そのメイド服は--貴女あなたが噂のスティール級冒険者のリリエンデ・ヴィシェーベルさんですかな?」


どうしたらいいのか戸惑とまどうリリィに、身なりの良い恰幅かっぷくのいいおじさんが話し掛けてきました。


「そうなのです。おじさんは誰なのです?」


「ああ、これは失礼。私は依頼主のスンドヴァル商会会長のラスムス・スンドヴァルです。ヴィシェーベルさん、今日はよろしくお願いしますね」


「リリィでいいのです。この人たちは討伐隊のみなさんなのです? 盗賊団ではなくて?」


「ははっ、これはこれは! リリィさんは冗談がお上手だ! まあ、冒険者のみなさんはご存知の通り荒事あらごとに向いていなければ中々出来ませんからな。多少の強面こわもてが集まってしまったのは仕方ないでしょう。ですが、こちらの皆さんはスティール級の実力者が多いのですよ。指揮官リーダーは上級のタイタン級冒険者〝爆撃ボミング〟のトールヴァルトさんです!」


商会長のおじさんが大仰おおぎょうな素振りで、近づいて来たタイタン級の冒険者をリリィに紹介します。


「タイタン級冒険者のトールヴァルトだ。討伐隊のリーダーをする」


「リリィはスティール級冒険者のリリィなのです」


「ほう。その年でスティール級とは、相当な腕なのかな?」


「大したことはないのです。リーダーさんもみなさんも、クライダの冒険者ギルドでは見かけたことがないのです。他の街から来たのですか?」


「ああ、それはですね。今回の討伐対象になっている盗賊団が、ハルフィン商協同盟から流れて来たからなんです。こちらの皆さんは、その盗賊団に故郷を襲われたり、恨みがあったりする者がそれなりに混じっているのですよ。まあ、はっきり言いますと復讐ふくしゅうですね」


商会長のおじさんが割って入ってきました。


〈スラくん、スラくん〉


〈む、個別念話か。どうした?〉


〈スラくんはしばらくしゃべらないで欲しいのです。なんとなく悪い予感がするのです〉


〈そうなのか? この商会長の言に特におかしいところはないようだったが?〉


〈リリィもよく分からないのですが、〝女の感〟というやつなのです〉


〈女の感、か。承知した。では、ただのスライムの振りをしておこう〉


〈お願いするのです〉


「分かったのです。よろしくなのです」


ぺこり


リリィは軽くお辞儀をします。


何かイヤな予感がしますが、もしかしたら〝キユウ〟なのかも知れないのです。


最低限の礼儀を守るのは、〝シュクジョ〟の〝タシナミ〟なのです。


「ああ、よろしく頼む」


と、リーダーさんも会釈えしゃくしました。


顔が隠れた瞬間、リーダーさんがわらったような感じがしたのは、リリィの気のせいだったのです?


リリィのフルネーム初登場。

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