第17話 ふたりはルシフェル!!
「「ドゥオ・プルウィウス・アルクス!!」」
どーーーん!
「冥土の使者、プリティー・リリィ!」
『す、水妖の使者、ぷ、プルプル・スラリン!』
だんっ!
「「ふたりは暁の明星!!」」
びびしぃ!
「悪の僕たちよ!」
『さ、さっさと家に帰るといい!』
ばーーーん!!
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「スラくん、恥ずかしがったらダメなのです!」
『う、うむ。すまん・・・』
もう、せっかくの正統派主人公二人組の名乗りなのに!
ぷんぷん、なのです。
ほら、どろくさい感じの野盗さんたちが呆気に取られているのです。
あっ、商人さんと護衛の冒険者たちもです。
せっかくどろくさい野盗さんたちに襲われていたところを注意を引いてあげたのです。
冒険者さんたちはさっさと殺っちゃうのです!
駆け出しの初級か低級なのです?
後輩さんには後で教育が必要なのですか?
ん?
なんか見たことがある商人さんがいるのです?
まあ、それは後なのです。
まずは野盗さんを殺々してしまうのです!
σ
「リリィちゃんニャ! た、助かったのニャあぁ!」
あっ、やっぱり自由市にいた行商人の猫さんなのです。
「猫さん、こんにちはなのです」
『久しいな。とは言っても、二週間程度か』
「ニャ! スラリンくんもおひさなのニャ!」
「チャウラさん、お知り合いですか? 」
マジメそうな若い冒険者なのです。
「そうニャ。スティール級の冒険者のリリィちゃんとスライムのスラリンくんなのニャ」
「リリィなのです」
『スラリンという』
「す、スティール級--」
「「「す、スライムが喋った!?」」」
マジメそうな冒険者とパーティーらしい二人の冒険者が声を揃えます。
「まあ、そうなるニャよね」
かくかくしかじか
これは大賢者さまが使ったと言われる、たった一言で事情が伝わるという便利な魔法の言葉なのです。
「はぁ、クライダの街の中級冒険者・・・」
マジメそうな男の子の後輩さんが言います。
「す、スライムが喋った・・・」
女の子の後輩さんはまだショックから立ち直ってないのです?
「こんな幼女が--げはぁ」
どぅ
リリィの愛棒がもうひとりの軽薄そうな後輩さんのお腹に決まり、膝から崩れ落ちます。
「リリィは幼女ではないのです! 〝シュクジョ〟なのです!」
「ああー、いい忘れたニャが、リリィちゃんにその類いの言葉は禁句ニャ」
こくこく
二人が必死に頷きます。
そんなに勢いよく首を振って大丈夫なのですか?
『猫殿はクライダの街で商売をしていたのではなかったのか? しばらくはいると聞いていたが?』
「そうニャよ。でも、自由市は週一ニャから、南のミャドニの街で仕入れをして戻ったのニャ。お店を持たない行商人のツラいとこニャ」
『ふむ。一週間で行って戻って来たということか』
「猫さんは〝キンベン〟なのですね。偉いのです!」
「ふふん、ニャ。それで、街道は危険が少ないとは言え安全でもないニャから、この初級冒険者たちを護衛に雇ったのニャ」
「お役に立てずにすみません」
「「すみません」」
後輩さん三人が頭を下げます。
「仕方ないのニャ。元々低級の一般種や警戒種の魔物対策に雇ったのニャ。野盗に襲われたのは想定外だったのニャ」
「そうですね。クライダの街の〝盗賊喰らい〟がこの辺りの盗賊団を壊滅させて回っているらしいから、そうそう襲われないかと思ってました」
と、マジメそうな後輩さんが悔しそうに言います。
うん、その気持ちは冒険者には大事なのです。
この若い後輩さんは見込みがあるのです。
「盗賊喰らい、かぁ。噂じゃあ、三週間くらい前にクライダの街に現れた物凄く強くて可愛い女性らしいな。きっと素敵な冒険者なんだろうなぁ」
軽薄そうな後輩さんが、「ほぅっ」とため息をつきました。
「私が聞いた話だと、小人族の女性で、巨大な従魔を従えているらしいんですよ。ソロなんですが、すっごい強いらしいです!」
女の子の後輩さんがきらきらした目をして語ります。
へぇ
そんな正義の冒険者がクライダにいるのですか。
今度、あの受付嬢さんにでも聞いてみましょう。
「あっ、それ、多分リリィちゃんのことニャ」
「「「・・・・・・」」」
ん?
リリィがどうかしましたか?
リリィの二つ名もその内まとめます。
リリィ
あっ、プリ○ュアファンの人は怒っちゃダメなのですよ?