第12話 お仲間さんなのです?
「素敵に無敵! 無邪気に非情! 美少女メイド リリカル・リリィ! 冥土に代わってオシオキなのです!」
ドドドドーン!!(爆発効果付)
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・
辺りは静まりかえっています。
根城にしている城跡からわらわらと出てきたむさいおじさんたちは、やっぱり目が点になっていました。
あれ?
やっぱりクライダの街以外でも流行ってるのですか?
「前のバージョンと同じ反応なのです?」
『そのようだな。爆発も取り入れたし、台詞も変えたのであるが・・・』
ちなみに、爆発の効果はスラくんが魔術でやってくれたのです。
あっ、盗賊のむさいおじさんたちはもちろん瞬殺しました。
「はぁ、このググルス様率いる盗賊団--がばらげぼがぁ!」
盗賊の口上はみなさん似たり寄ったりですので、お約束違反とは思いましたが途中で殺々しちゃいました。
スラくんが『流石に可哀想ではないか?』と呟いてましたが、あの後に「ガキ」とか「チビ」とかが続くのは目に見えていたのです。
先に口上をしていたリリィにはちょっとだけ罪悪感がありましたが、これは仕方がないと思うのです。
〝リンキオウヘン〟というやつなのです。
リリィは悪くないのです、よね?
σ
盗賊退治の帰り道、スラくんの表情が固くなります。
スライムなのでなんとなくなのですけど。
『もしや・・・』
「何かわかったのです?」
『戦隊、という要素が不足なのかも知れんな』
「〝センタイ〟、なのです?」
『うむ。古文書によると、古来より正義の味方は赤、青、黄、桃、黒などの色彩を特徴とした格好の五人組であることが多いらしいのだ』
「ご、五人組なのですか・・・」
むう、これは困りました。
リリィたちは、リリィとスラくんの二人組なのです。
思わぬところに落とし穴があったのです。
『桃色が紅一点の女性らしいが、何故赤色ではないのかは解らなかったのだ』
「リリィは桃色じゃなく黒がいいのです。黒と白はメイドの基本なのです」
『うむ、そうだな。また改めて古文書を調べてみよう』
「お願いするのです!」
五人組では、二人組のリリィたちには難しいのです。
σ
「例え姿が醜くとも!」
「正義の心に偽り無し!」
「古今東西この世の悪を!」
「倒してくれようこの腕で!」
「我ら!!(火煙)」
「「「「「小鬼戦隊ゴブレンジャー」」」」」
ドドドーン!!(爆発効果付)
・・・・・・
くうぅ
不覚にも、リリィとスラくんの目が思わず点になりました。
流行りの目が点はいつかリリィもしてみたかったのですが、これはなんか悔しいのです。
それは、むさいおじさんたちの盗賊団を壊滅させた翌日のことでした。
大樹海へと魔獣狩りに来たリリィたちは、その名乗りの口上を偶然聞いてしまったのです。
「くっ、あいつら五人いるです」
『口上も決まっていたし、背後で爆発もさせていたな』
「そんな--ま、負けたのです・・・」
ガクッ
リリィは地面に膝をつきました。
ショックなのです。
まだ、スラくんの調べものは終わってないのです。
つまり、五人組じゃない正義の味方の情報はまだないのです。
鬼人族の、セリフでも言ってましたが小柄なのであれは小鬼族なのです。
カッコいいポーズを決める正面には、先日美味しく頂いた馬鹿が二匹います。
あの二匹は番でしょうか。
ゴブリンたちの名乗りに敗北感を感じたまま、リリィとスラくんはなんとなくその戦いを見ていました。
「よ、弱過ぎるのです」
『あれはもしやカッパー級なのではないか? このままだと全滅するな』
そうなのです。
馬鹿は駆け出し冒険者でも五人パーティーならなんとか倒せる魔獣なのですが、古式に乗っ取った見事な名乗りとは裏腹な戦いでした。
ポーズを決めた状態のゴブさんたちに馬鹿の一匹に突進されてわらわらと逃げ出し、そのまま体勢を立て直すことも出来ずにいます。
今はなんとか五人とも二匹の突進を躱してはいますが、あの鹿角にやられるのは時間の問題なのです。
「仕方ないのです。〝ドウコウノシ〟を見殺しにするのは気分が悪いのです」
『うむ。あの見事な口上を為した奴ばらを見殺すのは少々気分が悪いな。助けるか』
「はいなのです」
リリィは愛棒を構え、馬鹿に向かって走り出しました。
同好の士を助けてあげるのです!
何を書いてるのか筆者も分からなくなってきた。
あぼーん(意味不明)