第11話 アーティファクトなのです。
今回は短めです。
「これは・・・」
『うむ』
リリィは露店の隅に置いてあった、スラくんの気になったという装飾品を手に取ります。
「あー、これかニャ。まあ、リリィちゃんなら興味を持って当然ニャね。これはかの有名な魔導王国の大賢者様が作ったという曰く付きの魔道具なんニャが、どうも眉唾物なんだニャ」
『む? 何故、眉唾なのだ?』
「なぜなのです?」
「いや、当然ニャよ。何で、かの有名な大賢者様がこんなもの作るニャ? 確かにモノはいいニャが」
リリィとスラくんは顔を見合わせました。
そういえば、普通は知らないのでした。
でも、これはお宝ゲットのチャンスなのです。
「猫さんはこれをどこで手に入れたのです?」
「んニャ? 確かそれは、大帝国の落ちぶれた貴族から買い取ったニャ。そこの貴族家にはご先祖が大賢者様に仕えていたと伝えられていたから、そんな荒唐無稽な曰く付きになったニャね」
『ふむ』
「これはおいくらなのですか?」
「リリィちゃんにはアイツらから助けてもらったし、小金貨1枚でいいニャ。云われはともかく品質はいいニャから、本当は小金貨2枚は欲しいところなんだニャ」
そういえば、まだ暴漢さんたちは伸びたままだったのです。
この街の衛兵さんたちは何をやっているのですか?
職務怠慢なのですか?
「分かりましたのです。これを買うのです」
もちろん値切ったりはしないのです。
リリィは気前良く、小金貨を2枚を猫さんに手渡します。
「ん? 2枚払ってくれるのかニャ? 毎度ありニャー」
リリィはさっそく、その〝純白のヘッドドレス〟を着けてみました。
ふふん♪
『よく似合っているぞ、リリィ』
「お似合いですニャ。在庫が捌けて、ミャアも嬉しいですニャ!」
新しい装備にリリィも大満足なのです。
やっぱり、人助けはするものなのです。
「あっ、安くいいものを売ってもらったから、猫さんにいいことを教えてあげるのです」
「ん? なんニャ?」
「あまり知られていないのですけど、メイド協会を創ったのは大賢者さまなのです。きっと、その貴族さんの祖先は本当に大賢者さまの家臣だったのです」
「はいニャ?」
「だから、これは本物の大賢者さま謹製のヘッドドレスなのです」
『うむ。吾の【鑑定】スキルでも[LG]--伝説級と表示されているな』
さっきこっそりスラくんに見せてもらった装備ステータスを、改めて確認するのです。
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ヘッドドレス・アテナ
等級 伝説級[LG]
材質 白蜘蛛の糸(特殊染色)
附与 不壊、物理耐性、魔力耐性、精神耐性、清浄
備考 大賢者が精根込めて造り出した、戦闘メイド用の装備のひとつ。数が少なく稀少。
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因みに、リリィの愛棒の装備ステータスはこうなのです。
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魔剣ティルヴィング(モップ形態)
等級 伝説級[LG]
材質 金剛鉄
附与 不壊、硬化、清浄、変化
備考 あらゆる形状に変化出来る。大賢者が造り出した装備のひとつ。この世に二つとない。
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大賢者さま製の装備が二つ目なのです。
メイド協会の戦闘メイドの先輩方でもそうそう持ってないのです。
ふふふん♪
「か、【鑑定】スキルかニャ? えっ、そのカチューシャ、本物なのかニャ?」
陽の光にきらきらと光る、リリィの純白のヘッドドレス。
「そ、そんなの、さ、詐欺なのニャーーー!!」
快晴の自由市に、猫商人さんの悲鳴が響き渡りました。
人聞きが悪いのです。
これも商売の駆け引きというやつなのです。
リリィは悪くないのですよ?
大賢者様、出ました!(自重しない宣伝)
異世界で厨二病が最強だった件。-厨二系飼育係の成り上がり-
http://ncode.syosetu.com/n6307ea/
メイド協会の下りはまだまだ先ですが。(ネタバレ?)