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夏の花火と恋の結末。


「そろそろ花火大会始まるな。トイレ済ませて行った方がいいんじゃねぇか?」


望月が言う。


「そうだね。行っておこう。」


桃香が言うと、他の女子はまだ行かなくても大丈夫だと言って桃香だけ済ませてきた。戸締まりをして特別よく見える場所に連れて行くという望月に案内されてみんなでついて行く。


前を歩く望月はしっかりと美緒ちゃんと手を繋いでいる。少しも気恥ずかしさを感じないのはさっきあんな話を聞いたからだろうか?繋いで歩いている方が自然に見えた。ドーンと花火が打ち上がる音がして俺達は走り出した。


「よし、着いた。貸し切りだ。」


着いたのは、テトラポットが積み上げられた海岸だった。俺達の他には誰も居ない。打ち上げられた花火がキラキラと星降るように舞い落ちてくる。俺達は言葉を失ってただただ花火に見入ってしまう。しばらくして文香と涼子がトイレに行きたいと言い出した。


「この辺り分からないから美緒ちゃん、案内してくれる?」


「良いよ。」


「桃香はさっき行ったから大丈夫だよね?」


「えっ、でもみんな行くなら行こうかな?」


「めっちゃ混んでるから無理に行かないで待っていた方が良いよ。」


「そっか。じゃぁここで待ってるね。」


美緒ちゃんの忠告に素直に従い桃香はテトラポットに残った。その内、望月と倉田もそわそわしだす。


「なんか喉渇いたな。俺ら飲み物買ってくるよ。桃香と伊藤っちはここで待っててくれよ。全員離れるとどこに戻るか分からなくなりそうだから。」


「頼んだよ。」


去り際に望月が肩を叩いて行った。それでそれが望月が言っていたチャンスだと気付く。ふたりきりで残され何となく漂う気まずい雰囲気に耐えられず口を開く。


「花火、綺麗だな。」


「うん。こんなに近くから初めて見た。雰囲気もいいね。テトラポットの上に座ってこんな風に花火見られるなんてなんか青春って感じ。海の家の手伝いしてた時は来るんじゃなかったって思ったけど。やっぱり来て良かったよ。すごく綺麗。」


打ち上げられる花火を見上げながら話す桃香の横顔を見て可愛いと思った。ふたりきりのこのチャンス逃すわけにはいかない。俺は持てる勇気を振り絞った。


「桃香、あのさ。」


「ん?なぁに?」


「この間の告白。あれ本気だから。」


「••••••。」


「しつこいと思われるかも知れないけど、何度でも言うよ。俺は桃香が好きだ。ずっと桃香を見てきて内面を好きになった。桃香の思いやりとか優しさとかそういう所に惚れたんだ。もちろん見た目もすっげえ可愛いと思ってる。望月みたいに結婚するなんていう直感はないけど、とにかく桃香の事がすげぇ好きだから俺と付き合って下さい。」


恥ずかしすぎてすぐ横が見られない。数秒にも数分にも感じられる沈黙が続く。耐えられず桃香の方に振り向くと俺を見てほほえんでいた。


「伊藤っち、ありがとう。私でいいの?」


「桃香がいいに決まってんだろう。桃香じゃなきゃ駄目だ。」


「嬉しい。伊藤っち、でもさ••••••」


タタタッ。

真剣に話す後ろから靴音がして涼子が現れた。


「桃香、前にも言ったけど、私のこと気にしてるんでしょう?私と伊藤っちの恋愛を掛けた事。私、何とも思ってないからね。本当に。それより桃香が伊藤っちへの気持ち抑えてる事の方が本当に罰ゲームみたいで見てて辛いよ。自分の気持ちに正直になったらいいじゃない。」


「そうだな。正直になれよ。」


暗闇から望月達まで現れた。

いつから居たのだろう。

花火の音で気配に気付かなかった。


「で、桃香どうするの?僕はいいと思うんだけどなぁ。」


倉田が諭すように桃香に話しかける。


「まったくもう。みんな、いつから居たのよ。」


桃香が笑いながら立ち上がり、俺の座るテトラポットに飛び移ってくる。そのままストンと座り込み俺の手の上に手を重ねて言った。


「前向きに検討します。」


俺は重ねられた手をそっと握った。

ぎくしゃくしてまだまだ望月達のようにしっくり来ない。でもいつか様になるようにこの恋を育てていこう。



罰ゲームの恋。

完結しました。

思っていたより長いお話になってびっくりです。

読んで下さった皆さま、本当にありがとうございました。

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