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運命の恋と恋する運命の恋。


「疲れたか?今日はこれで終わりだ。腹減っただろう?昼抜きで悪かったな。まぁ。これ食って少しゆっくりしていけ。」


望月の従兄弟がテーブルに山盛り焼そばとお好み焼きと飲み物をドカッと置いていく。


「この焼きそばすごいですね。めっちゃ山盛り。お好み焼きも7段も重ねてあるし。美味しそう。」


「うわっ、私がお好み焼き切り分けたい。こんなの滅多に食べられないよ。ソースも具もたっぷり。」


「キロだからな。キロ。3キロだ。育ち盛りの食欲に立ち向かうにはこの位必要だろう。お好み焼きは人数分を重ねたんだ。おもしろいよな?そこの太っちょのアイディアだ。」


倉田を指さして言う。


「仕上げはお前らで好きに仕上げやがれ。」


マヨネーズボトルを渡される。


「マヨビームだね。なんて書こうか?」


倉田が喜々としてボトルを握っている。


「そうだ。we are best friendは?」


涼子が提案した。


「ウチらは無二の親友!!それ良いね!!書こうよ。」


ワイワイ盛り上がる姿に望月の従兄弟が苦笑している。


「慶太、良い友達持ったな。大事にしろよ。俺はもう行くから鍵はお前が預かっとけ。」


「えっ、あの一緒に食べませんか?」


慌てて俺が引き留めると


「いや、せっかく楽しんでる所悪いからな。」


と翔子さんとふたり帰ってしまった。となれば向かう先は望月しか居ない。


「望月、って言うかその可愛い子は誰ちゃんな訳?」


絡むように質問を投げかける。


「俺の彼女だよ。伊藤っちには言っただろ?中2から付き合ってる俺の彼女。美緒って言うんだ。」


「初めまして。美緒です。みんなは慶ちゃんの高校の友だちなんですよね?」


望月の彼女だという美緒ちゃんは、駅で会ったとき日に焼けすぎて歯だけが目立った印象だったけれど、こうして見てみるとくりっとした目と長い睫毛が印象的なとても可愛い子だった。


「そうそう。慶ちゃんの友達の伊藤です。」

「文香です。」

「涼子です。」

「桃香です。」

「倉田です。」


「慶ちゃんによく聞いています。すごくいい仲間だって。」


「へぇ。そうなんだ。嬉しい。ねぇ美緒ちゃん、敬語使わなくて良いよ。その方が話しやすいし。中2からって付き合い長いんだね。望月のどこが好きなの?」


桃香が訊ねると美緒ちゃんがはにかんだように笑った。代わりに望月が答える。


「優しいとこじゃねぇの?ってか、お前らだから言うけど、一目惚れして俺が迫ったんだよ。たまに聞くじゃん。会った瞬間こいつと結婚するって感じる出会いがあるって。それがたまたま俺に起きたんだ。あっ、俺こいつと結婚するわって。」


美緒ちゃんが思い出したように笑いながら話し出した。


「慶ちゃん、私に俺らたぶん結婚すると思うんだ。付き合おうって言ったの。私、びっくりして。だけど、そこまで断言するなら付き合ってみようかなって。付き合って3年かな?1度も喧嘩したことなくて、もしかしたら本当にそういう運命なのかなって私も思い始めてて。」


「うわぁ、めっちゃ素敵。望月って意外と男前。」


女子が目を輝かせて聞いている。もちろん桃香も。桃香はどんな気持ちで聞いているのだろう?俺の桃香に対する気持ちは結婚するとか、そんな運命めいたものじゃない。ただ俺が桃香の性格の良さに惹かれて好きになっただけだ。思いは中途半端で無いはずだけれど、望月達の運命めいた恋愛話の前では俺の恋心なんて到底霞んでしまう。もし、俺の恋に運命を無理矢理付けるなら桃香に恋する運命だった。それだけなのかもしれない。俺の様子に気付いた望月が隣にやって来て耳打ちした。


「なんて顔してんだよ。今夜、花火で決めろ。告白。チャンス作ってやるからよ。」


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