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命短し恋せよ男子。


絶叫マシンに乗りまくりヘロヘロになった俺たちは近くにあったカフェで夕食休憩をとることにした。


「めっちゃ乗ったねぇ。一生分乗った感じ。」


木村涼子が満足げに言う。


「僕は、胃が変になったみたいだ。ちょっとしか食べてないのにもうお腹が一杯だよ。まだ少し体が旋回してるみたいだ。絶叫マシンはたぶんもう僕は無理。」


倉田がクラブサンドをちびちび齧りながら訴える。どことなくみんな疲れ気味だ。時間も差し迫りあとひとつふたつ乗れるか乗れないかの時間だった。


「じゃぁさ、シアター系行きたいんだけど。新アトラクションで人気らしいから入れないかもだけど。行かない?」


「それならいいかもな。最後はゆったりしようぜ。」


「そうだな。」


文香の提案で締めにシアターアトラクションに行くことになった。確かにアトラクションは混んでいて凄い人だかりだった。あまりに混み合っていて入場出来ないんじゃないかと思ったがシアターと言うだけあって座席数が多いらしい。15分程の待ち時間で中に通された。空いている座席にそれぞれ座り開演を待った。会場内が暗くなりスクリーンに人気のキャラクターが現れる。


「こんばんは~。みんなよく遊びにきてくれたな。今日は一緒にお喋りを楽しもうな。」


場内がきゃぁきゃぁと盛り上がる。どうやらスクリーンのキャラクターと会話が楽しめるものらしい。


「じゃぁ、さっそく目の前のシマシマのシャツの僕。お名前は?」


「裕太です。」


「裕太かぁ。良い名前だな。裕太はどこから来たんだい?」


「北海道。」


「北海道?裕太、北海道は日本から遠いのかい?」


「北海道は日本だよ。」


「そうかぁ。北海道は日本なのかぁ。勉強になったよ。ありがとうな裕太。」


「うん。」


「裕太、また遊びに来てくれよな。次は誰と話そうかな?今日は人が多くて嬉しいなぁ。あっ、居たぞ。後ろから3列目の左から5番目。学生服って言うのか?着てる他の奴より少し大きな奴。」


まさかなぁ。と思っていたらマイクを持ったスタッフがやって来てお願いしますとマイクを向けられた。


「名前、何て言うんだ?」


「伊藤。」


「伊藤、言い辛いな。ニックネームはないのか?」


「伊藤っち!!」


隣に居た倉田が答えた。


「伊藤っち。言いやすくなったな。隣のちっこいのありがとうな。伊藤っちは学生か?」


「そうだ。」


「そうかぁ。学生か。いいなぁ。好きな子はいるのか?」


「あっ、いや、えっ?」


急な質問にたじろいでしまう。


「伊藤っち、その反応は好きな子居るな?沢山の人間を見てきたからな。俺には分かるんだぞ。隠しても無駄だ。」


まるで公開処刑だ。いっそここで白状してしまおうか。すげぇ好きな奴が居るけど、想いも告げられず振られたと。


「居ねぇよ。」


声が少し不機嫌になってしまう。桃香はどんな顔をして聞いているのだろう?


「そうか。伊藤っち、恋は良いぞ~。命短し恋せよ男子だ!!さーて次は誰と話そうかな?」


無責任に恋の良さを告げたキャラクターはさっさと次のターゲットを探している。その後のやり取りは俺には聞こえなくなった。

ただ、去り際にキャラクターが残した


「みんなありがとなぁ。裕太、北海道遊びに行くからなぁ。伊藤っち、好きな子には告白しろよ~。あかりは宿題ちゃんと済ませろよ~。」


の告白を促す声に反応してしまう。好きになったからには告白したい。例え相手に阻止されたにしても。


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