表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミスレニアス・トラベラーズ  作者: カブメント
ミスレニアスの生活
55/60

4-11.恐怖のAxe&Gun

 ガンモードに変形させたガンスマッシャーで連射するアキラ。弾幕で敵の行動を制限し、自分の戦いやすいように戦場を操っている。

 独特の甲高く乾いた発砲音は、マガジン交換を挟むことなく続いた。


「な、なんですかあのおもちゃ屋で売っていそうな武器は。もうめちゃくちゃですよ!」


 ロッタの小言は気にせず、弾幕を抜け出してきた男の一人に対応するため、アックスモードに手動で切り替える。誇張された金属音を鳴らしながらの変形は、ロマンがあっていいと俺は思った。


「フンッ! ウォラァッ!」


 音速すら超える剣の動きを見切り、短い手斧で余裕のある打ち合いをする。それどころか、最小限に簡略化された体捌きで速さに追いつき、敵を押している。

 残りの二人が加勢に入るも、アキラは敵同士が相打ちになるような立ち回りをして、攻撃の頻度を落とす。


 女の繰り出した鉄爪攻撃が二本の短剣を持った男を掠め、剣の男は伸ばされた腕を切りつけないよう、動けないでいた。

 その瞬間を見逃さず、斧に赤いプレートを挿入するとシステム音声が鳴り、刀身が赤熱する。


「灼熱の刃、全てを塵に!!」


ヒーローは詠唱のようにそれを叫び、回転斬りを繰り出す。振るった刃先から強烈な炎が発せられ、敵を焼き切る。


 爆炎の熱気はこちらまで届き、煙焔が彼らを隠す。

 それが晴れると、仮面達は吹き飛ばされた後だった。それだけでは全てのHPを削り切ってはいない――というよりも、わざと手加減をしている。


 今度は、別の青いプレートに差し替えた。


「氷の弾丸は、時をも凍らせる!!」


 再びガンモードに戻し、宣言通り氷の弾を地面に放つ。

 足元は凍りつき、決まった位置にしか移動できない敵の攻撃は更に鈍り、俺でも避けられそうなほど。

 アキラは三人の脚と腕を凍らせ、完全に動きを封じた。


「その素早さと正確さ。俺が思うに、脳の思考速度を無理やり弄って得た能力だろう? それでも、身体の速さに少し追いつけていないみたいだな。だから、脳が一度決めた行動を『キャンセル』することができない」


 アキラの余裕の解説をしていると、氷漬けになっていた双短剣の男が炎魔法を発動させ、氷を溶かすが――

 その男が自由を取り戻した直後、みぞおちから背中へ拳が突き抜ける。ポリゴンの隙間を抜けてしまうほど鋭い正拳突きは、炎の斬撃を超える勢いで命を削る。HPは底をつき、俺があれほど苦戦した相手を一人仕留めた。


「俺は心優しいヒーローだ。だから、無駄な人殺しをしたくない」


 アックスモードに切り替え、それを回しながら残りの二人の近くを歩き回る。その振る舞いは悪の幹部そのもので、次に殺す人間を品定めしているようだった。


「その氷が溶けたら逃げ帰るといい。その前に何か余計なことをしたら、容赦なく殺す。いいな?」


 肉厚の刃をそれぞれの首に這わせ、念押しする。

 敵に背を向けて俺達の方へ歩いてくるが、付け入る隙は全く存在しなかった。


「行くぞ、ここを離れる」


 その場にいる全員に目配せをし、付いてくるよう促す。

 彼が敵を見逃したのは、正義の心や慈愛でもない。俺がマイを泳がせたように、あの二人に自分の生存をディモに知らせるための策略。

 あえて一人殺したのは、彼自信が優先的に命を狙われるようにするための行為。


「助かったぜヒーロー。ありがとな」


 俺がそう言うと、アキラは背を見せたまま、どこか恥ずかしそうに手を振った。


 凄まじい光景を目の当たりにし、皆は黙ったままだ。俺とアキラは談笑しながら、例のビルへ遠回りして帰還する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ