0-2.【誘拐】・説明・訓練
拘束されたままワゴン車にぶち込まれて、目隠しをされる。
突入してきたのが四人、待機組が二人の計六人ということしか確認できなかった。
そのまま車は走り出す。
目隠しした状態で何時間も寝転がっていると、しょうもないことばかり思い浮かんでくる。
このまま俺は、エロい目に遭うのか。それとも、怪人に改造されてしまうのか。
もし改造だったら、脳を改造される前に脱出しよう。そうすれば変身ヒーローの完成だ。
妄想のついでに、誘拐されるような心当たりがないか探る。
しかし、ここ最近したことで思い当たる節はない。俺を恨むような連中は、もういなくなってしまったのだから。
何時間も車で運ばれた後、扉が開いて外の空気が流れ込んできた。
波の音、潮の香り。間違いなく海の近くだ。このまま海に沈められるのか?
俺は担がれ、ゆらゆらと揺れる床に寝かされる。
揺れに加え、エンジン音。間違いなく船だ。一応、まだ殺す気はないらしい。
床に頭が付いているせいで、エンジン音が耳障りに感じる。
(マジかよ……どこまで連れてく気だ? 海外だったらどうしようもないぞ……)
目隠しをされたままの移動の連続は、永遠にも感じた。
いささかこの状況にも慣れてしまい、徐々に眠気が忍び寄る。無理に抗わず、次に備えて眠ることにした。
目覚めたとき、最高の立ち回りができるように。