§第五話§魔法の種類の授業
暗闇の底から這い出るように進は意識を取り戻した、純白のベットの上で痺れの残る体を無理矢理動かそうとせず現状把握に努めた。
(覚えているのは、千秋さんと戦って電撃にやられたところまで・・・。)
それ以上あとの事は気を失ってしまったので分からず考え込んでいると不意に部屋の扉が開けられた、入ってきたのは白衣を着た女性だった。
「あら随分回復が早いのね、一日位気絶するのが普通なくらいの電撃をもろにくらったって聞いたんだけど・・・。」
「すいません、それよりもここは何処ですか?」
「ここ?ここは保健室よ」
白衣の女性の言葉を聞いて進は納得したように「あぁ」と唸った。
「それで何時間寝てました?」
「四時間くらいよ、もう放課後だし大丈夫なようなら寮に戻って寝てなさい」
「わかりました・・・今日はありがとうございました、えっと・・・。」
「天田小百合よ」
「じゃあ天田先生さようなら」
進はベットから起き上がると天田に一礼して保健室を出て行き寮へ戻った、そして部屋についた進はそのままベットに潜り込み眠ってしまった。
そして次の日、進は目が覚めるとまず体の具合を確かめた。魔力を身体中に張り詰めさせる、指先から髪の毛の先端にまで張り詰めさせるとフーッと息を吐いて魔力の供給を解いた。
(とりあえず戻ったみたいだ、一時はどうなるかと思ったよ)
気分良く学校へ行く途中不機嫌な成二とあった、成二は進に近づくといきなり風弾を放ってきた。不意打ちであったが昨日とは全く違う進にはそんなものは通用せず風弾を研ぎ澄ました風の刃で真っ二つにした。
「ちょ、攻撃するなんてびっくりするなぁ」
「今の攻撃がさばけて何で千秋の電撃をさばけなかった?手加減したのか?もしそうなら俺はお前との付き合いを考え直させてもらう」
怒り心頭といった感じで言い寄る成二に進は苦笑するしかなかった。
「あ、あはは・・・理由言ってなかったね、ごめんね、実は昨日一日満足に魔力が使えない状態になっててさ、何とか頑張ったんだけど負けちゃったんだ」
答えを聞くと成二は深く溜息を吐きいつもの表情に戻った。
「まあいい、お詫びとして今日から訓練のメニューに武器を使うのを追加させてもらうからな」
そこまで言うと成二は学校とは逆の方向に歩いていった。
「武器っていうとやっぱり魔道具なのかな?ま、後で考えれば良いかな・・・。」
そして進は学校に歩いていった。
学校に着くと多数の生徒が進の身体を心配して声を掛けてきたが進はその言葉一つ一つに律儀に答えていった。そして教室に着くとそこには千秋と東が待っていた。
「その・・・大丈夫?」
不安げに声を掛ける千秋に「大丈夫」と進は笑いながら答える、すると不意に東が右腕を掴みじっくり眺める、
「筋肉、骨、その他もろもろ、いずれにも異常は見られないな。安心しろ千秋、進は無傷だ」
その言葉に千秋は安堵の表情を見せ、その後他愛の無い話をした後席に戻っていった。
そして一、二、三時間目ともに魔法以外の基本科目の勉強をして四時間目の戦闘魔学の時間となった。
小川先生が教室に入ると教室は一瞬で静まり返った。
「えっと今日は昨日の疲れが皆残っていると思うので基本的な魔法の知識の勉強したいと思います、殆どの人は小学校の頃の復習となると思うけどしっかり聞いてなさいね、じゃあまずは魔法の大まかな種類から、魔法は戦闘魔法、非戦闘魔法の二つに分かれている。そして魔法にはそれぞれ属性があり属性によって戦闘魔法に特化したもの、非戦闘魔法に特化したものがある。属性は火、水、氷、土、風、雷、闇、光の八つがある、次に戦闘魔法にも強さがありその強さによって初級魔法、中級魔法、上級魔法、究極魔法、罠魔法の五つに分けられる。そしてそれとは別に非戦闘魔法の補助魔法、治療魔法、結界魔法、封印魔法の四つがある、だが後三つ種類分けされない魔法がある、一つは召喚魔法。残り二つは禁術、古代魔法。召喚魔法の方が一般的に広められているのに対して禁術、古代魔法は少数の人間にしか伝わっていない魔法で覚えるのに桁外れの才能と魔力が必要になってきます。禁術の方は名家と呼ばれる家にしか伝わっていない魔法で有名どころをあげるなら、北の小泉、南の東條、西の十文字、東の遠野、中央の西園寺等の禁術が最強と名高いと言われています。ただ禁術は使用した魔法使いにも多大な危険が及ぶ魔法なので最強というのも噂でしかありません。しかしここ十四年、西の十文字は表舞台には顔を出さず森の奥地でひっそりとしていると言われていましたが。つい先日沈黙を破って東京の魔法省に現れたと最近は話題になっていますね。次に古代魔法のほうですが・・・どの文献を見ても不明と言われており、教科書にも不明と書かれていますが・・・私独自の研究の結果、古代魔法がパズルを解くようにピース一つ一つを当てはめて数億もの文字の羅列を作り上げる動作を魔法を使う時にやらなければいけない手間の掛かる魔法だということが分かりました。よって実用的な魔法とはいえない魔法ということです・・・。さてここまでで質問は?」
小川先生の話にいつの間にか生徒全員が夢中になっていたらしくその後の授業の後半は質問で終わった。
進はテレビを見ていなかったので十文字が魔法省に現れたと言う話を聞いて驚いた。詳しく聞こうと思ったが質問を受けている先生に聞くのも気が引けたので近くにいた千秋に聞くことにした。
「ねえ藤岡さん、先生が言ってた十文字のことについて詳しく教えてくれないかな?」
「いいよ、それと藤岡さんじゃ少し他人行儀だから千秋でお願いね」
「う〜ん・・・せめて千秋さんで・・・。」
「まっ、いいかな・・・それで十文字のことだったよね?十文字って言うのは日本の魔法の世界で発言力を持っている五つの家の一つでね、代々魔力を多く持つ人間が生まれる血筋なの、それで日本の西の方を牛耳ってたんだけど・・・十四年前の私たちが生まれているか生まれる前に西側における発言力を全て魔法省に渡したんだって、それから全く所在を掴めなかったんだけどね・・・丁度進が転校してきた日の次の日に十文字の頭首とその妻が二人が魔法省に現れたの、驚いた魔法省が魔法軍の精鋭が出動して他の四つの家にも応援を頼む始末になったんだけど、どうやら二人の目的が同じ日にあった魔法省での教員資格を取るための試験に来ただけらしくってね、本当にニュース見たときはビックリしたよ・・・ん?進顔色悪いよ?」
(ど、どうしよう・・・でもまだ僕が目的っていうわけでもないし、そ、そうだよ!受かったかも分からないし)
「なんでもない、それで受かったの?その人達」
「そこまではプライバシーとかで分からないよ」
話していると授業終了のチャイムが鳴り昼休みとなった、と同時に今までいなかった成二が教室に入ってきた。
「時間丁度だな・・・よし進弁当買ってきたから飯食おうぜ」
そう言って成二は持っていた弁当を差し出す、進は一瞬戸惑ったが受け取り屋上へ向かった。
「ねえ東、成二と進ってあんなに仲良かったっけ?」
千秋の問いかけに
「知らないが・・・仲が良いのはいい事だ」
と仏頂面で東は答えた。
二人が屋上で昼食をとっていると不意に屋上の扉が開けられた。
「お前等、屋上は俺等が仕切ってんだ勝手に入ってんじゃねぇ」
なんともガラの悪そうな男子生徒が三人ほど入ってきた、その三人の中の一人が成二の顔を知っているらしく成二の顔を見てニヤついていた。
「おっと、これはこれは噂に名高い二年C組の鳳成二くんじゃないか、こんなところでお友達と楽しく昼食をとっているなんて珍しいね」
「うるせぇっ!!今日は千秋の後をつけ回さなくて良いのか?クズ」
二人の間に険悪な雰囲気が漂っている中進だけが我関せずといった感じで黙々と飯を掻き込んでいた。
「そういえば君誰だい?見たことないけど・・・。」
進は最後のエビフライを飲み込むと一息ついて答えた。
「最近C組に転校してきた天野進です。あなた方は?」
「隣にいる二人は覚えなくても良いよ、でも僕の名前だけは覚えておいてくれたまえ有名になる名前だからね、僕は犬飼冬至、頭脳明晰、容姿端麗、魔法の実力もトップクラス、神に愛された男、だよ」
「つまり単なるナルシストって事だ、しかもいつも千秋を追いまわしているストーカーだしな」
そしてまた睨み合いを始める二人、長くなりそうなので帰ろうかと思い扉に向かおうとすると
「何がストーカーだっ!!僕はただクラスの枠を超えて君達のパーティーに入りたいとリーダーの千秋さんに言う為に毎日追いかけているだけだ。」
「はっ、だったらもう無理だぜ。そこにいる進が俺等の最後のメンバーだからな」
「なにっ!?」
帰ろうと扉に手をかけたところで進に視線が集まる、そして開けようとしたところで水が左右から襲い掛かる。進は半歩下がって水を避け振り返る、そこには刀身の無い刀の柄の部分だけを二本持った冬至の姿があった。
「君には怨みは無いけど・・・ここで大怪我をしてもらうよ、試験を受けさせないためにね」
そう言って両手の柄を振り上げる、と同時に柄の刀身がある部分に水が集まり水の刀となっていく。
「唸れ・・・水龍」
その言葉に反応するように二本の水の刀身は左右から襲い掛かる、がやはり殺す気は無いのかその刀は刃引きがされており先端も円くなっていた。
「面白い武器だね、声に反応して込めた魔力分たけ動くようになっているのかな?それとも召喚魔法で出した水龍の一部を武器につけてその恩恵を言葉と言うキーワードで作用させるって仕組みにさせてあるのかな?」
その言葉を聞いた冬至は一瞬驚いたような顔を見せたが攻撃を続行させた。全て紙一重で避ける進は考えていた、ここで本気で潰すかそれとも・・・。考えていると刀身は眼前までしまっていた、だがそれでも進にとって脅威ではなかった、だがその瞬間刀身が全て蒸発し赤い炎が屋上を包んだ。




