6
ミゲルは突然体が宙を舞い、床にたたきつけられて目が覚めた。
「うわ・・・つつつ。」
見上げると小さな王冠をかぶった小人が立っている。
「え?ロードオブザリング?ホビット?・・・えっともしかして僕を投げ飛ばした?」
「くくく・・もったいないが、殺すしかなさそうだのう。」
小人は飾りの付いたナイフを腰から取り出すと、ミゲルの胸につきさした。
しかし、何もおきなかった。
ミゲルは胸にナイフを差したまま、平気な顔で小人を見つめている。
「ど、どういうことだ・・・。」
おどろいて後ずさりする小人を見ながら、ミゲルは何かを思い出そうと首をかしげている。
「人ではないのか?」
「ああ・・・そう、うん、たぶん僕は・・・なんだっけ。
ずいぶん昔だったから自分がなんなのか思い出せないなあ・・・。
なんだか思い出しそうだったんだけど。君は僕のこと知ってる?」
「いや、知らん。」
「ざんねーーん。」
ミゲルは自分の胸からナイフを抜いて、小人に差し出した。
「えっと、小さいおじさん、これ返すね。何かわかったら教えてくれる?」
「それ、いらん・・・、近づくな・・・。」
ただならぬ気配を感じて、悪魔ベリアルは姿を消した。
ミゲルはため息をついてベッドに寝転がる。
(みんなどこに行ったんだろう・・・。まさか僕だけ置いて日本にかえっちゃったんじゃ・・・。)
ミゲルは泣きべそをかきながら枕に顔をうずめた。