5 決戦
マンショ、ジュリアン、マルチノは背中合わせに立っていた。
周囲を大勢の修道士に成りすました悪魔が囲んでいる。
「みんな無事か」
マンショは肩で息をしている。
「・・・・・・・。こいつらおかしいと思わないか?
こちらに向かってくるだけの人形のようだ。」
そう言ったジュリアンはマンショをかばって体は切り傷だらけだ。
「そうですね、今まで戦ってきた悪魔とはどうやら違うようです。
体も普通の人間ですね。もしかすると、操られているだけかもしれません。」
マルチノの口からは血が滴っている。
「みなみながた、スミタダが言っている。この先の食堂に集まれと。」
四郎が狐の姿で現れて、それだけ言うとすばやく去っていった。
「行くぞ!」
同時に3人は飛び出した。
ジュリアンが煙幕を床にたたきつけた。
マンショは刀でばったばったと切り倒しながら、廊下を進む。
マルチノは目にも留まらぬ速さで悪魔を投げ飛ばしながら食堂を目指す。
三人は食堂に入るとマルチノが大きな扉を閉めた。
食堂の中には純忠公と四郎が待っていた。
「みな、大事無いか?」
「はっ!」
マンショが答えた。
「そろそろ気づいておろう、これは罠だ。わしらはどうやらこの屋敷にとじこめられたらしい。」
「ですが、悪魔の目的は私たちの殺害ではないのですか?私たちから敵の巣窟に乗り込んできてやったのです。私たちを殺すいいチャンスではありませんか。」
マルチノが首をかしげた。
「何か他の目的があったのかもしれぬ。とにかくわしらはこの屋敷の中の悪魔人形たちを片付けねば身動きが取れぬ。」
「誰か来る」
マルチノが身構えた。
その時、食堂の扉が勢いよく開いた。
「待たせたな、私だヴァリニャーノだ。」
「ヴァリニャーノ様!」
マンショが嬉しそうにひざまついて服のすそにキスをした。
「ヴァリニャーノ殿、いや真のローマ法王、待っておたぞ。」
「純忠殿、ご苦労をおかけした。」
「どういうことですか?ヴァリニャーノ様がローマ法王?」
「・・・・・・。」
「やはりそうでしたか・」
3少年は目を丸くしている。
「外のやからは私とアサシン達とで片付けた。ところで・・・」
ミゲルはどこにいる?
皆が凍りついた。