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わたしのミゲル  作者: 雪村宗
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2    原マルチノの場合

マルチノの場合


最近の僕の趣味はバイオリンです。

4少年で最年少ですが正直言って、音楽関係で僕にかなう先輩はいません。

覚えたての曲を池のほとりで優雅に奏でます。

水面がきらきら輝き光とともに音の一つ一つが風に乗って空に飛んでいくようです。

ふとみると、白兎が一匹顔を出していました。

僕は思わずかけだし、捕まえてかぶりつきました。

あたたかい血液が胃袋に流れ込みます。

今日はおそらく悪魔たちとの死闘になるでしょうから力を蓄えないといけません。

飲み終えると祈りをささげ、土に埋めました。

こんな体になってしまったのはインドのヴァンパイアのせいです。

ヴァリニャーノ神父様はどうやら始めから、僕をヴァンパイアにするつもりだったようです。悪魔たちと戦うために。

おや、いい香りがします、とても美味しそうな。


「マルーーー!何やってんの?」


やっぱりミゲル先輩でした。

うれしそうにニコニコしながらこちらに走ってきます。

僕の大好きなミゲル先輩は本当に美味しそうな血液の持ち主です。

ヴァンパイアになり立ての頃は食欲を抑えきれず、近づくこともできませんでした。


「マル、それなに?やってやって!」


無意識でミゲル先輩は僕の肩に頬を強くすりよせてきます。

もう、勘弁してください、よだれが垂れそうです。

気づくと、ミゲル先輩の背丈を僕はかなり追い越してしまっています。

セミナリオで学んでいた時は僕は小さくて、ミゲル先輩におんぶしてもらっていたのに。


「これはヴァイオリンですよ、ミゲル先輩の好きな曲ひきますよ。」

「えっと、じゃあ、ラッスンゴレライでいいよ」


えええ?えええええーーー?

ミゲル先輩、なんですか?それは・・。ローレライのようなものですか?

西洋の地に先輩のラッスンゴレライという歌が響き渡り、異様な雰囲気に包まれました。

しょうがないので適当にヴァイオリンで伴奏をつけます。

ミゲル先輩は何も考えてなさそうな顔で、大声で歌いながらくるくる踊り始めます。

なんだか天真爛漫でこの人を見てるとこちらまで楽しい気分になってくるのです。

もしも、今日僕が灰になり消えうせようとも、ミゲル先輩はずっと笑っていて欲しい。

神よ、どうかミゲル先輩をお守りください・・・。





まだ、ミゲルがさだまりませんよ・・・

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