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そう答えると、一斉に巻き舌が飛んできた。
彼らの表情はどれも眉毛を吊り上げ、目を三角にして、口をゆがめて白い歯を覗かせていた。
「俺は昨日のホームレスだよ!」
あっ! と全員が声をそろえた。
俺はちょっとした優越感を感じていた。
にわかに場がざわめき立ったが、すぐに静かになった。
俺はまだちょっとばかり酔っていたらしい。
多分昨日の酒がまだ残っていたのだろう。
俺は口が軽くなっていた。いつもならこんなことはないのに。
緊張したときはいつも、酒を飲めさえすれば、と思っていた。
飲めば切り抜けられると思うような場面ばかりだった。
「昨日の借りを返しに来た」
「はっ、ホームレスが何を……」
「だまって聞けっ!」
一瞬怒鳴ると、すぐに静まりかえっつた。だ
が、すぐに鋭い視線が俺に向けられ、何人かのやくざが俺ににじり寄ってくる。
「おう兄ちゃん。あまりふざけんといたほうがいいんじゃないか?」
やくざの一人が俺に顔を近づけながら、低くドスの効いた声で脅しつけてくる。
で、俺はこういってやった。
あくまで冷静に、あくまで静かに。
「汚い顔を近づけるな。俺はそういう趣味はないんだ」
「なんだぁ!」
いきなり胸倉をつかまれてしまった。
俺は震え上がり何も考えられなくなった、と言えばいいのだろうか。
そのときは何も感じなかった。
そう。
今まで何度となく感じていたが、どういうものかはわからなかった。
しかし、今わかった。
こいつらの声はテレビの中のドラマの声だ。
ドラマじゃなければアニメか?
とにかく、俺には現実のものとして感じられなかった。
「離れろ。気持ち悪いんだよ」
そう言ってそいつの顔を押しのけ、組長を探した。
すぐに見つかった。
特に顔に特徴はなかったものの、一目見れば記憶が呼び起こされる。
「おい」
組長に近づきつつそう言うと、組長は肩を震わせ、にらむように目を見開き「何だ」と小さな声で言った。
「俺が渡した一千万円と9ミリパラベラムとマグナム弾をあるだけ全部よこせ!」
「できるか、そんなこと!」
「いい度胸だな! 俺にそんなことを言うなんて!」
「やっちまえ!」
俺はとっさにポケットに手を入れた。
そして銃を手にする。
やくざたちは襲い掛かってきた。
俺は彼らの真ん中にいたから、周囲から集中的に狙われた。
とっさに銃を抜き、目の前の男を撃った。そして、そいつを突き飛ばし、囲いから逃れた。
俺を頭上から襲いかかろうとしていたやくざたちは俺の動きについてこられなかったらしい。攻撃したのは何もないところ。
彼らの囲いから離れ、彼らを見渡せる場所にいる。
そこで銃をうつ。弾丸は正確に頭に当たり、何人かは無言のまま床に倒れていく。
「死ね!」
その言葉のあとに俺は何かを叫んだ。
その言葉は自分のもののようには思えなかった。多分気合のようなものだったんだろう。
そして俺はその言葉のあと、記憶が飛んでしまった。




