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殺しの天才  作者: 迫田啓伸
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4-14

 他にも『Sはどんな人間か』というものもあった。

 早い話が『S』の精神分析。

 俺はそれにちょっと興味をひかれた。俺は、どんな人間と思われているのだろう。大衆は新聞記事なんかの情報を鵜呑みにする癖があるからな。

 ここに書かれていることが、世間の桶に対する認識になる。

 なにやら難しいことが書かれてある。

 それに、目もちょっと疲れてきた。光の加減で、字も読みにくくなっていた。読むのに時間がかかったが、なんとかという犯罪心理学者は俺のことをこう言っていた。


・激しいトラウマとコンプレックスがある。

・二重人格である。

・病的な執着心を持っている。

・他人はもちろん、自分の命も大切に思っていない。

・計画性はない。いきあたりばったりで行動する気まぐれな人物。

・子供のころは親に従順な、いわゆる良い子だった。

・快楽犯ではない。しかし短絡的に行動しがち。


 こんな感じだ。首を傾げしまう項目もある。

 こんな風に放送されてしまった以上、世間では俺をこういう風に思うみたいだな。

 自覚がなかっただけで、多分その通りなのだろう。

 事件を起こす前はどうだったかわからない。だが、ろくな結果にはならなかっただろうな……。

 ただ、こんなことを調べてどうするつもりなのだろう。俺がやったことは、どんな理由をつけても許されることじゃないのに。


「さて、もう移動するか」

 俺は新聞や雑誌を抱え、ベンチを立った。

 この公園にはゴミ箱はない。

 近くのコンビニのゴミ箱に捨てよう。

 いや待て。

 これから寒くなるから新聞紙は持っていこう。ブルーシートだけでは寒くて眠れそうにない。新聞紙を服の下に入れればかなり暖かいことを何かの本で読んだことがある。

 確証はなく、気のせいかもしれないが、何もしないよりはいいだろう。泊まる場所なんかないし、しばらくは野宿だ。


 雑誌を処分し、新聞紙をリュックに入れてしばらく歩いた。

 れまで行くことにした。

 公園は適当な場所がないときのための最後の手段だ。

 できるだけ、人に見つからないようにしよう。

 俺の顔写真があれだけでかく写っていると、すぐに俺がSだとわかってしまう。これからは夜中に行動するしかないだろう。


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