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殺しの天才  作者: 迫田啓伸
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4-4

 俺がもう少し、コミュニケーション能力が高ければ。馬鹿じゃなくて、もっと割り切った部活を楽しめていたら。

 野球に変なこだわりを持っていなかったら

 俺にもう少し自信があったら。

 漫画やドラマで見るような楽しい学校生活じゃなくていい。でも、それなりに毎日楽しむことができたら。

 でも、もう遅い。

 その時間はもう戻らない。

 俺の親は言った。長い人生のたった三年。でも、その時間は俺にはもう帰ってこないんだ。

 変なこだわりや、変な執着がなければ。だが、何よりも重かったのは受験の重圧だった。そんなに大学っていいものなのか?

 俺は大学に行った。

 そのおかげで戦後最大の就職難のときに仕事にありつくことができた。でも、俺がした仕事は大学に行かなくてもよくないか? 少なくとも、俺にとって、大学生活はつまらなかった。

 高校で野球をすることを目標に、どんなにつらくても歯を食いしばってがんばってきたのに。その結果がこれかよ!

 努力なんて、何の価値もありゃしねぇよ!

 俺はお前らの見栄を張るための道具かよ!

 野球のユニフォームを着て、野球部に名を連ねるだけで十分だったかもしれない。

 たとえ入ったその日にやめるとしても、ここまで不満を残さなかったかもしれない!

 高校時代って、何だよ。大学に入るために捨てるための時間なのか?

 俺以外の奴らは、ちゃんとした学校生活を送っていたんだろうなぁ。

 そうだ。

 俺と同じ経験をして、悲しくも命を絶った奴らがいる。

 彼らは、どうだったんだろう。

 もっと生きたかったんじゃないのか。でも、ダメだったんだろうな。回りから生きていることを否定され続けて、耐えられなくなったんだろう。

 彼らがいる限り、俺は自分のことを不幸だとは言えない。

 何しろ、俺はまだ生きているんだから。

 結構、楽しい経験をしたことも思い出せる。

 俺は、彼らに何かしてやれたか?

 生きていていいんだよ、と優しい言葉のひとつでもかけてやれただろうか。

 彼らがもし生きていたならば、友達になれていたかもしれない。

 女の子だったら、恋人になれたかもしれない。彼らがそんな目にあったのは、全て彼らが悪いからか?

 少なくとも、俺は何か悪いことをした覚えはない。


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