序章 カルダチェフ・スケール
SF、ファンタジー物語が作りたくて、シリーズとして初めてみました。
まだ浅学の素人ですが、皆さんをワクワクドキドキさせることができるような物語を作っていきたいです!
カルダチェフスケール(The Kardashev scale)を知っているだろうか。それは、旧ソ連の天文学者ニコライ・カルダシェフが考案した、宇宙文明の発展度を示す三段階のスケールである。
タイプI文明は、惑星文明とも呼ばれ、その惑星で利用可能なすべてのエネルギーを使用および制御できる。
タイプII文明は、恒星文明とも呼ばれ、恒星系の規模でエネルギーを使用および制御できる。
タイプIII文明は、銀河文明とも呼ばれ、銀河全体の規模でエネルギーを制御できる。
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今から1万年後、人類はカルダチェフスケールタイプIII文明まで発展し、天の川銀河系と隣のアンドロメダ川銀河系の支配*1を終えた後に、おとめ座超銀河団(2500個の銀河の集合体)を文治政治*2によって統治をする高度知的生命体、アーマン*3との母子戦争(人類は、後に彼らアーマンが人類の祖先、産みの親だと知ったことから彼らとの戦争を‘母子’戦争と名付けた)において圧倒的な科学技術力の差を見せつけられ敗北した後に、寛容なアーマンと同盟(形式上では同盟と呼ばれたが、アーマンに有利な実質的な従属契約であった)を結び、アーマンから人類は高度な科学技術を授けられた。
これは、人類の母子戦争敗戦を経て高度な科学技術を獲得した後の、おとめ座超銀河団の東地区「東おとめ銀河群」(約500個の銀河が所属する)区画内で、カルダチェフスケール測定をアーマンによって任命された人類の測定隊員*4達の、テックでのワクワクや学びが連続する学校生活時代や、その後の測定隊での苦難や葛藤、喜びに満ちた活動をそれぞれ独立した短編として描いていった物語集である。
(注*1〜*4の説明)
*1 天の川銀河、アンドロメダ銀河の2つの銀河にはその時点で知的生命体が存在が確認できなかったため、実質的にはこの2つの銀河内での他惑星の探索と人類の拠点設置の完了したことを指す。
*2 武力にはよらない支配方法のこと。ただし、相手方から武力による先制攻撃があった場合は正当防衛の措置として武力行使を行う。
*3 above humanの略称。彼らは、地球誕生の8億年前に我々と同じ銀河系に誕生し、恒星の寿命に伴う大移住の際に、それに失敗した場合の種の保存のために、生命の居住に適した地球を含めた様々な惑星に遺伝情報を保存する目的と、彼らのとある’偉大なる計画‘を遂行する目的で生命の種を機械式小惑星に載せて送った。後にこれが月が誕生するに至った出来事、グレートインパクトに繋がった。この話の具体的な内容は、後ほどのテック(科学技術教育惑星)における学園生活編においてアーマンの教授によって詳しく語られる。
*4 第1〜第5測定隊まで存在する。一個の測定隊には数万〜数十万人が後方支援やエンジニアも含めて属し、人類の場合はアーマンが指定する科学技術教育惑星、通称“テック”星の学校に13歳から5年間通学し、その後超難関の測定士試験に合格後、晴れて測定隊にて測定士として働き、惑星の規模によって小部隊、中部隊、大部隊で分けられいくらかのアーマンを指揮官に据えて各地に派遣される。
(あとがき)
測定士といえばただ数値を測量していく地味な仕事なのかなと思い方もいるかもしれませんが、この物語の測定士は文明の科学力を客観的に評価出来るほどの科学力はもちろん、倫理観や現場での判断力も求められるだけでなく、測定した文明レベルをアーマンに報告する重大な仕事です。
例えば
測定対象の文明に高度な科学技術を伝達する
測定士が意図的に文明レベルへの介入を行う
明らかに文明の評価レベルと実際の文明レベルの乖離がある、あるいは虚偽の報告を行う
といった場合は、測定士はアーマン在住の惑星に設置される測定士弾劾裁判所で裁判にかけられて、資格の剥奪のみならず、記憶のリセットなどの処罰が下されるわけです。
アーマンは測定士の報告を元に文明に介入するので、測定員は重大な責務と、評価によって文明の運命を左右できる絶大な権限を持っています。だから測定士になりたい人は数多く、超難関の試験で限られた一部の者にしかなれないわけですね。ただ、測定士になってもその責務の重さや、様々な葛藤から辞めてしまう人もそこそこいます。
最後に、後々のお話で出てくる測定士なら誰もが知る偉大な測定士、エド・ウィッテンの言葉を紹介しましょう。
「観察には平等な愛と、勇敢さが求められる。」
-エド・ウィッテン-