表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/63

6「仲間」

 一瞬、何が起きたか分からず、唖然としたルドは――

 ――数瞬遅れて、頬に手を触れる。


 叩かれたのだ。ラリサに。


 ダメージは全くない。

 むしろ、〝硬化を解いていない〟ルドの頬を平手で打ったラリサの方が、痛みがあるはずだ。


 ――が。


「何でそんな事したの!? 私のため!? そのために、わざと危険な目に遭ったの!? そんな事されても、嬉しくないよ!」


 目に涙を浮かべ感情を爆発させるラリサの声に、痛みを感じないはずの頬に、鋭い痛みが走る。


「そりゃ、ルド君は滅茶苦茶強いよ! 分かってる! どれだけ強いモンスターに襲われたって、へっちゃらなのかもしれない! でもね、ルド君が言ったんだよ! 〝女神さまが言っていた大切なことを思い出せない〟って!」


(あ……)


「もし、ルド君が女神さまから貰った力が、何かしらの〝条件付き〟のもので、〝ある一定回数使ったら使えなくなる〟とか、〝ある条件下では能力が弱まる〟とか、そういうのだったら、どうするの!?」


 零れる雫もそのままに、ラリサは激情をぶつける。


 確かに、その可能性は否定出来なかった。

 だが、不思議と、ルドは、〝そんな事はない〟という確信があった。


 この力には、そんな条件は付いていないし、そんな事で無くなったり弱まったりする事もない。


 しかし、問題はそこではないという事は、女心に疎いルドでも、流石に分かった。


 嘘をついた事。

 そして、〝自分を犠牲にする事で、ラリサの能力を開花させようとした事〟が、彼女を怒らせ、悲しませた原因だ。


 気付くと――


「嘘をついて悪かった……」


 ――ルドは、頭を下げていた。


「それと、心配させた事も、謝る……。どうすればお前の能力を開花させられるかという、その点しか考えていなくて……俺の行動を見て、お前がどんな気持ちになるかという所に、全く思い至らなかった……」


 素直に謝るルドに、ラリサは、涙を拭うと――


「これからはもう、こんな事はしないって約束してくれる?」

「ああ、約束する。二度とこんな事はしない」


 ――顔を上げ、強く頷くルドに――


「分かった! じゃあ、約束ね!」


 ――明るく念を押すと――


「改めて、ルド君ありがとう! ルド君のおかげで、初めて氷魔法をちゃんと使えたよ!」


 ――満面の笑みを浮かべた。


 こうして、モンスターに攻撃が出来るようになったラリサは、冒険者ギルドの謝礼をルドと折半するようになり、名実ともに、冒険者パーティーの仲間となったのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ