55「巨大樹(後)」
「マオちゃん!」
悲痛な声を上げるラリサだったが――
「こ、これは何まお!? こんなの初めてまお! 何か目覚めちゃいそうまお!」
「何か楽しそうだし、放置して良いんじゃないか?」
――緊縛され上気した顔で目を潤ませるマオコに、ルドは冷淡な言葉を浴びせる。
「マオコの命が危ない。斬るか?」
「斬って! マリちゃん!」
「生意気だけど、仲間なの! 助けて欲しいの!」
「お前ら真面目か」
未だに警戒しているルドと違い、ラリサたちは、完全に仲間意識が芽生えてしまっているようだ。
「おらあああああああ!」
跳躍したマリリナが魔剣を素早く振るって蔓を断ち切り、無事マオコを救出、抱き抱えて着地した。
「もっと味わいたかったまお!」
「幼女が言って良い台詞じゃないな」
感謝の代わりに不満を口にするマオコに、ルドは半眼で突っ込む。
気を取り直して、ルドは、再びマオコを肩車しつつ、光を放つ扉へと近付き――
「『解錠』」
――鍵を開けた。
中に入ると――
「うわ~!」
「すっごく広くて、おっきいの!」
――想像以上に広大な空間が広がっていた。
至る所に光り輝く茸が生えており、ダンジョンよりも余程明るい内部には、豊かな作物が育つ畑があり、丘があり、花が咲き乱れ、湖まである。
恐らくこれは〝樹洞〟と呼ばれる、〝木の洞〟なのだろうが、余りにも広過ぎて、木の中である事を忘れてしまいそうだ。
「家があるまお! 人がいるまお! 食い物を奪うまお!」
マオコが、その名に相応しい強欲っぷりを見せ付ける。
確かに、幾つかの古びた建物が遠くに見える事から、誰かが住んでいるのかもしれない。
(もしくは、住んで〝いた〟かもしれないが)
――と、その時――
「こんにちは」
「「「「「!」」」」」
突如、目の前に、ローブを身に纏いフードを被った、ボーイッシュな見た目の少女が現れて――
(今のは――)
一瞬で臨戦態勢を取る一行に対して、少女は――
「ごめんごめん、驚かせるつもりは無かったんだ。でも、君たちの姿を見たら、居ても立っても居られなくなってさ」
――両手を上げて、敵意は無いと示しながら、謝罪すると――
「初めまして、僕の名はハルドレ。最後の生き残りのエルフだよ」
「「「「「!」」」」」
――フードを取って長くて尖った耳を晒し、朗らかな笑みを浮かべた。
※お餅ミトコンドリアです。
いつもありがとうございます!
新しく連載を始めました。
【トカゲしか召喚出来ない無能は要らないって、勇者パーティーから追放されちゃったけど、みんなは知らない。それがドラゴンだってことを~ドラゴンが存在しない異世界でドラゴン召喚士の少年が無自覚ざまぁする話】
https://ncode.syosetu.com/n5010kp/
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