47「予想外の答え」
「コホン」と咳払いしたルドは、「では、改めて」と、金色ボブヘア少女に向き直ると、当初の目的を果たすために語り掛けた。
「ケイティ。俺たちの仲間になってくれ」
それを聞いたケイティは、ずんずん――と進もうとして大量の本にまた足を取られて転び掛けながら、何とか体勢を保ち、ルドに接近すると――
「分かったの! ケイティがルドの彼女になってあげるの!」
「そうか、それは良かっ……え?」
ルドの腕に自身のそれをするりと絡ませた。
期待通りであった応答の前半と脈絡無く打っ込まれた後半とで内容が余りにも乖離しており、ルドは言葉を失くす。
「ちょっと! 急に何言ってんのよ!? ルド君が困ってるでしょ! 離れなさいよ!」
予想外の事態に待ったを掛けるのはラリサだ。
「あんた、ルドの彼女なの?」
「え? ……えっと、そういう訳じゃないけど……」
「じゃあ、ルドはケイティが貰うの!」
「何が〝じゃあ〟よ! ダメよ! それに、ルド君が困ってるって言ってるでしょ!」
(こういうのキャットファイトって言うんだったっけなぁ)
どこか遠い目をして、ぼんやりとそんな事を考えるルド。
転生する前であれば、ケイティのような美少女に愛の告白をされたならば、赤面して心臓が早鐘を打ち、それはそれは滑稽な程にテンパっていた事間違いなしだが、どういう訳か、今のルドの心には特に響かない。
「ルドは困ってなんていないの! ケイティみたいな可愛い子に言い寄られて、『我が世の春が来たぜ! ウハウハウキウキグヘヘだぜ!』って思ってるの!」
「すごい自信だなおい。あと、〝グヘヘ〟は止めておけ」
半眼で突っ込むルドに、ケイティが食い下がる。
「でも、ルドはケイティに彼女になって欲しいって思ってるはずなの!」
「いや、俺はお前に、俺たち冒険者パーティーの仲間になって欲しいと思っているだけだ」
「またまた~! 照れちゃって可愛いの!」
「いや凄いなお前のそのポジティブさ。尊敬するわ」
ある意味大物とも言える程に前向きなケイティは――
「じっくり付き合いたいって言うのも、分からなくもないの。じゃあ、少しずつ仲良くなって、その後で付き合ってあげるの! これから宜しくなの!」
「ちょっと! ルド君から離れなさいって言ってるでしょ!」
「これは……まぁ、仲間になったって事で良い……んだよな……」
「ラリサ。腹減った」
――自分の都合の良いように解釈すると、自身の身体をルドに密着させて、満面の笑みを浮かべた。
こうして、ケイティが新たな仲間に加わった。




