41「vsウォータードラゴン」
人類最強硬度と防御力を誇る〝聖鎧〟を装備する勇者を一撃で戦闘不能にする水のドラゴン息五つを――
「『岩針』」
「おらあああああああ!」
「『氷柱』!」
――ルドが虚空に生み出した巨大な岩針と闘気に身を包んだマリリナの魔剣で二つずつ、ラリサが残りの一つを、氷柱で相殺する。
「何でウォータードラゴンが!? 眠ってたはずじゃ!?」
「そのはずなの! こんなの、おかしいの!」
これまでの戦闘経験が活かされ、咄嗟に反応出来たものの、狼狽するラリサと、悲痛な声を上げるケイティ。
「起きてしまったものは仕方ない。もう一度眠って貰うまでだ」
「そうだな。ラリサに美味しく料理して貰おう」
「マリちゃん、〝アレ〟食べる気!? 流石にドラゴンは料理した事ないわよ私!」
再び大口を開けて息を吐こうとするウォータードラゴンに――
「俺とラリサで援護する。ドラゴン息は任せろ。マリリナはコレに乗って、ウォータードラゴン本体に攻撃を仕掛けてくれ」
「分かったわ!」
「承知した」
ルドが生み出した平らな岩に乗ったマリリナは、ルドの操作により、高速でウォータードラゴンへ向かって飛翔して行き――
「「「「「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」」」」」
「『岩針』」
「『氷柱』!」
――ルドとラリサによる土魔法と氷魔法でドラゴン息を相殺、マリリナは、ウォータードラゴンの前列三つの頭部の内、右側へと一気に距離を詰めると――
「おらあああああああ!」
「すごい! やったわ!」
――闘気に包まれた魔剣で、見事に首を斬り落とした。
――が。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「! そんな……!」
「ニョキニョキ生えて来たの!」
――ウォータードラゴンの首の切断面から新たな頭部が生えて来て、何事も無かったかのように再生してしまった。
その後、引き続きルドとラリサの援護射撃を受けた上で、噛み付こうと襲い掛かって来る五つの頭部を回避しつつ、マリリナが何度か他の首も落とすが――
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「チッ!」
――その度にウォータードラゴンは再生を繰り返す。
「埒が明かない。こうなったら――」
マリリナのそれは小さな呟きだったが、自身が土魔法で生み出した足場を通してマリリナの声を拾ったルドは――
「ラリサ。前列一番左の頭部に集中砲火しろ」
「! 分かったわ! 『氷柱』『氷柱』『氷柱』!」
ラリサに、一番左の頭部へのダメージを与えさせて押さえ込ませつつ――
「『岩針』『岩針』『岩針』『岩針』『岩針』『岩針』『岩針』『岩針』『岩針』」
――自分は、それ以外の全ての頭部へ立て続けに攻撃を加えて――
――動きが一時的に止まったウォータードラゴンの頭上から――
「ああああああああああああああああああああああああああああ!!」
――闘気を膨張させたマリリナが――
――真夜中に突如出現した太陽のような、その輝きを――
――全て魔剣に凝縮して――
「おらあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
――最上段から全力で振り下ろしたそれは――
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
――圧倒的な巨躯を誇るウォータードラゴンを、左右に一刀両断した。
(よし、これで、核も破壊出来たはずだ)
心の中で呟きつつ、ルドが安堵する。
「すごい! すごいすごい! 本当にすごいわ、マリちゃん!」
「強いの! 強過ぎなの! 倒しちゃったの!」
思わずラリサが声を上げ、興奮の余りケイティが万歳した。
――だが。
「「「「「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」」」」」
「「「「!?」」」」
――ウォータードラゴンは、死んでおらず――
――それどころか――
――斬られた左右の半身の切断面が悍ましく蠢くと、見る見るうちに膨張して――
「「「「「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」」」」」
「「「「「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」」」」」
「噓……でしょ……!?」
――二匹のウォータードラゴンとなった。




