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21「新たな仲間と予期せぬ邂逅」

 亡くなった両親は戻って来ない。

 二人の尊厳を踏み躙られたという事実も消えない。

 ――だが、家族三人の大切な場所だけは、取り戻す事が出来た。


 溢れ出す感情を抑えられない様子のマリリナに、思わずラリサも瞳を濡らす。


 暫くして――


 徐に立ち上がったマリリナは――


「先程の話だが――」


 ルドを真っ直ぐに見据えると――


「あんたらの仲間になるよ」

「!」


 そう告げた。

 瞠目するラリサと、微動だにしないルド。


 そして、「あたしは、受けた恩は絶対に返す」と、魔剣を頭上に高く掲げたマリリナは――


「ここに誓う。ルド。あたしは、〝あんたのつるぎ〟として、この先戦い抜いてやる!」


 ――凛とした声で、そう宣言した。


 「良かったわね! ルド君!」と、顔を輝かせるラリサは、「それにしても……」と、言葉を継ぐ。


「もう! 〝お礼〟という形で家を元通りにしてあげるために、〝今ここで剣を見せて貰う〟必要があったなら、最初からそう言えば良かったのに!」

「何の事か分からないな。ただ俺は、自分の姿が映るか今直ぐに試したかっただけだ。そして、その結果、礼をしたくなったからしただけだ」

「もう、照れちゃって!」


 ――ツンツンと腕を肘で突いて来るラリサに、ルドは無反応を貫き通す。


 「コホン」と咳払いして仕切り直したルドは、マリリナに手を差し出した。


「ようこそ、俺たちのパーティーへ」

「歓迎するわ!」


 魔剣を地面に突き立て、その手を取ったマリリナは、ルドとラリサの顔を見て、「宜しく頼む」と、凛々しい表情で言ったのだった。


※―※―※


 ――が。


「ルド、ラリサ。いきなりだが、一つ問題がある」


 マリリナは、険しい顔つきで切り出した。


「家が元に戻ったのがどうしようもなく嬉しくて、つい忘れてしまっていたが……」


 地面に転がるウェザビーの死体を一瞥しながら、彼女は続けた。


「こんなクズだが、コイツは魔法騎士団団長だ。キングカプート王国の最高戦力っていうのも、恐らく本当だろう。そんなのを殺しちゃったから、あたしは御尋ね者だ。だから、あたしがあんたらのパーティーに入ったら、あんた達まで国家に追われる事になっちまう」


 「やっぱり、あたしは入らない方が――」と言い掛けるマリリナの言葉を――


「特に問題は無い」


 ――ルドの声が遮った。


「え?」


 マリリナが驚いて目を瞠ると、ラリサも「そうね」と、同意する。


「確かにこれから大変な目に遭っちゃうかもだけど、私も気にしないわ。だって、あんな事されたら、私だってマリちゃんと同じように、その人を殺していたと思うもの」

「あんたら……」


 相手は個人ではない。

 国家だ。


 今後、何十、何百、場合によっては何千という軍勢に命を狙われる危険性がある。

 にも拘らず、「それがどうした」と言わんばかりに平然と答える二人を目にして、唖然としたマリリナは――


「ハッ! あんたら、相当頭イカれてんな! だが、嫌いじゃない!」


 ――口角を上げた。


 〝微笑〟では決してない、〝不敵な笑み〟ではあったが、笑顔には変わりなく、初めて彼女の笑った顔を見ることが出来たラリサは――


(笑えて良かった!)


 ――安堵すると共に――

 ――マリリナがその整った顔で〝不敵な笑み〟を浮かべるという光景に――


(〝美少女〟プラス〝不敵な笑み〟……)

(何とも言えない、危うさを伴った魅力があるわね……)

(これは、思わぬライバルが出現したかも……)

(――って、え? ライバル?)

(ライバルって、何の?)


 ――自身の胸の中に微かに生じる〝その感情〟が何なのか、まだ自覚が無いラリサは、自問自答しようとするも、答えは見付からず、ただ小首を傾げるばかりだった。


 ――と、その時。


「ネクネクネク~」

「「「!」」」


 ――突然、森の中から、一人の女性が現れた。


 左右非対称アシンメトリーの漆黒の服――上着は、左側は指先から胸の半分近くまでと、露出がかなり激しいが、右側は胸元や腕どころか指先まで全て覆われており、スカートはその逆で、左側は足元までありながら右側は太腿が殆ど見えてしまっている――を着用している、病的なまでに色白で長い黒髪を持つ妙齢の女性だ。


 奇抜なのは、その服だけでは無くて、両手首、両足首、そして首元にも、何かしらの小動物の頭蓋骨がアクセサリーとして身に付けられている。


(全く気配がしなかった……コイツは一体……?)


 ルドが警戒を強める中、「お困りのようだからさ~」と、間延びした話し方で、彼女は話し始めて――


「あたいがさ~、()()()()()()()()()()をさ~、教えてやるさ~」

「「「!」」」


 「そんな方法があるのか?」と、警戒したまま、ゆっくりと歩み寄って来る女性にルドが訊ねると――


 ――()()()()()()()()()()()()()を持つ彼女は、「ネクネクネク~」と、独特の笑い声を上げたかと思うと――


「魔法騎士団団長の()()()()()()さ~、()()()()()()()()()()()()()()()のさ~」

「「「!」」」


 ――妖艶な笑みを浮かべ、事も無げにそう告げた。

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