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燻る火、その背中

作者: 冬木光

ごぅ、と、風が舞い上がる。


立ち上る黒煙がそれに煽られて、更に高さを増していった。


その様子を、この高台から彼女はただ静かに見つめている。僕はただ、その全てを黙って見守ることしかできなかった。



どの位、そうしていただろうか。ここまで届く大きな鈍い音の後、遂に塔が傾いた。あの塔だ。彼女を捕らえていた、無機質な牢獄。手枷足枷がなくとも、彼女の自由を奪うには十分だった石造りのそれ。


強くともどこか儚げなその背中から、彼女が今どんな気持ちで居るのかを推し量ることはできない。

僕は、ここに居てもいいのだろうか。許されるのならば、もっと近くに、その傍らに置いて欲しい。


その背に手を添えて、或いはその手をとって、或いはその肩を抱き寄せて。


けれど、そのどの権利も僕は有していないということを、誰よりも僕自身がよく知っていた。



まるで、落ちた日が地上で輝いているかのように、大地は炎に包まれる。全てを忘れようとしているかのようなその光景は、無慈悲でもとても力強くて。


一歩だけ進み、顔を上げる。黒煙の間から、月が顔を出そうとしていた。



END.

このSSは水埜さとり先生(Twitterアカウント @SatoRi_Cyan)の美麗なイラストにインスパイアされて作成したものです。


NFTartの世界に触れたことがない皆様にも、ぜひ一度ご覧いただきたいと、一ファンとしてこのSSを書きました。


どなたかの元にこの想いが届きますように!


ご覧いただきありがとうございました!

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