子供にしか見えない雪
小学生を主人公にしてみました。
よろしくおねがいします。
シーンとシンまで体が冷えて
ハア~っと吐く息が赤くなった顔に吹き戻る
ひらひらと、降る雪が見る景色を銀世界に変えていく
小学6年生の小葉「わーい、雪だ~、太一楽しいね}
小学5年生の太一「はしゃぎやがって子供じゃんか」
「楽しまないと損だよ滅多に降らないのに、てか太一も子供じゃん」
「そうだけど、もう、6年だろ」
「関係ないよ。あっそうだこの前、テレビでやってたんだけどさ」
「うん」
「いつもは、雪が降らないところに雪が降ると不思議な世界に行けるらしいって、テレビに出てたおじさんが言ってたんだ」
「そんな胡散くさい事マジで信じてんの?、じゃ具体的にはどんなとこ行けるのさ」
「・・・雪の世界そんで何でも願いが叶うって」
「ぷっ、ウケる、恥ずかし、笑いすぎて死んじゃうよ、どんなことしたら願いが叶うのさ」
「そこの世界で降る雪に願いを込めるの・・・こう両手を合わせて握って胸に持ってきて願うの」
「そうなんだね。でもその世界に行けないと意味ないよね・・・ぷっ」
「マジで笑いすぎだから。もう!帰る!」
「ごめん言い過ぎたよ、代わりにとっておきの場所に連れて行ってやるよ」
校庭の裏山に子供がやっと入れるくらいの洞窟があって数メートル進むと開けた空間に出る。そして、上を見上げると空がくっきりと見える。とっておきの場所。
「何がとっておきの場所よいつも来てる秘密基地じゃん!」
「でもさ、今はその小葉が言ってた雪の国じゃないかな」
「上見てみてよ」
俺がそう言うと小葉は上を見上げて、スノードームの雪のようにゆっくりひらひらと舞い落ちる雪に
わぁ~なんて言いながら感動して顔近くで両手を合わせてる。
「小葉これがもしかして雪の国じゃないかって思うんだけどどうかな?」
「うん。そういうことにする」
そう、頬を紅くして笑みを浮かべる。
「それで、小葉は何を願うの?」
「・・・笑う事・・・本当に心の底から、笑う事」
「笑う事って笑えてるじゃん」
「本当の意味で笑う事」
「他の友達といる時に笑ってるのって嘘?」
「そう、嘘、だから笑いたいの。願いってより、さがしてるっていうのが正確かな」
「じゃさ、さっさと見つけるために願おう、雪が止まない間に」
「うん」
何故とかどうとか問うのはやめた俺は早く小葉の本当の笑顔が見たかった。
小葉はそっと、目を閉じると両手を合わせて握り願いさがしはじめた。
ほんの一分足らず。小葉はさがし終えたみたいだ。
胸にあった両手を解くとパッと顔押えるそしてヒクヒク背中を震わせる。
「どう、見つかった?」
「・・・見つかったよ」
顔を抑えていた手を俺の頬にそっと添える。
泣いていたのだろうかそれとも笑った息で湿ってたのかその掌はどっちかの感情を含んでいて少し震えていた。
その後、小葉は転校していった。理由は分からないが遠くの街に越したらしい。
あの時、俺に見せた表情を何十年たった今でも忘れられず
雪が降るたび思い出す。