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#6 限界
喉が潰れそうになるまで叫び続けても優奈の体温が暖かくなることはなかった。
「待ってろよ、優奈。また、迎えに来るから。」
僕は優奈にそう告げると、涙を拭って歩みを進めた。しばらくすると、出口のような門が見えてきた。そこにゆっくりと歩いて行くが、突然、身体に異様な重さを感じた。どうやら、体力の限界が来たらしい。どれだけ身体能力を上げても、施設が崩壊した時の傷、優奈の死、大人たちが隠していた真実は僕の身体だけではなく精神にも疲労を与えていたようだ。
「あそこにふらついている子供が…」
そのまま倒れ込んでしまった僕は意識を失った。意識が遠のく際に女性の声が微かに聞こえたような気がした。