#4 異変
僕に続き、二人も検査を終え最後の一人が個室へと向かった。ふと、彼女の顔を見るといつも冷静な彼女は少し笑っているように思えた。僕の見間違えだろうか、彼女が表情を変えることなんて一度も見たことがない。
四人全員の検査が終わるまで僕たちは自由にはなれず、ただ天井を見て時間をつぶすことしかできなかった。二人も暇そうにしているのが視界に入ってくる。今頃、優奈は何をしているだろうか。そろそろ別れてから、2時間ほど経とうとしている。もう、里親のところには着いただろうか、それともまだ施設内にいるだろうか。もし、後者であるならもう一度会いたい。
それにしても、今日の検査はやけに長いな。あまりの長さに眠気が襲ってきた。僕は机に腕を乗せて眠りにつこうとした。
しかし、そんな眠気が吹き飛ぶほど、大きな爆発音が廊下に響く。
僕も含め、部屋にいた全員が啞然とする。急いで大人たちは爆発がした方に向かって行った。取り残された僕たちも廊下へと出る。すると、さっきとは比べものにならないほどの爆発音が施設内に響き渡る。爆風が廊下にいる僕たちを襲う。勢いよく飛ばされ壁にぶつかり、立ち上がると頭からは血が出ていた。
クラクラになりながらも辺りを見渡すと、さっきまで一緒にいた二人がいない。きっと爆風でもっと遠くへ飛ばされたのだろう。無事だといいが、他人を心配できるほど僕にも余裕はなかった。何が起きたのか状況を整理しようとすると、聞きなれた声がスピーカーを通して施設内に流れる。
「ただいま、何者かの手によって施設が襲われました。各自、子供たちを守り外へ逃げてください。」
声は途切れ途切れだったが、いつも僕にアドバイスをくれる女性の声だった。とりあえず、外に出るために出口を探すことにした。しかし、強い揺れとともに再び爆発音が鳴り響く。その爆発とともに施設が揺れだし、鈍い音が僕の足元で響く。
そして激しい音と共に、施設は崩れていった。