第一幕 『青春』
太陽の日差しに照らされ、一人の少年が孤独に登校する。
彼の名前は『渡卓』というらしい。ぱっと見普通の高校生に見えるが
その手に持っている本はラノベ!?!?
そう!
何を隠そう彼は超が付くほどのオタクなのである。
最近はまっているジャンルは異世界転生もの。平和な日常に飽きた彼だからこそ
その非日常的なファンタジーが好きなのである。
「おはよう!卓!」
後ろから肩をたたかれたので、卓は後ろを振り返る。
「千草か。。人が読書に勤しんでいる時に驚かすな。。」
「相変わらずの陰キャ感。もっと自分を出しなよ~!」
「俺は一人が好きなんだ。孤立ではなく、孤高なだけだ。」
「どうせ、話せる人なんで私だけなんでしょ??」
「孤高なだけだ。」
そんなありふれた高校生の彼には、ひとつだけ非日常的な能力がある。
そう。誰もが認める 『不幸体質』 であるということだ。
彼が落ちたハンカチを渡そうとすると、通りすがりの車に泥をかけられる。
彼が宿題を見せてあげると、それを先生に見つかってこっぴどく怒られる。
彼の優しさが人々を傷つける。
そのことは、彼自身が一番理解している。
だから、卓は、他人に優しくしない。優しくされない。
そんな彼を取り巻く環境が彼を孤立した空間へといざなってしまった。
でも、彼にはアニメがある。漫画がある。
辛い現実から目をそらすには十分すぎる娯楽であった。
こうして、幼馴染の千草と一緒に歩いていてもラノベを見入るように読んでいる。
千草は、幼稚園からの幼馴染で、よく遊んでいた。
勉強がわからなくなったり、困ったりしたときにはよくお世話になっている。
秘密基地で遊んだりなんかもよくしていたのが本当に懐かしい。
あの頃からすっかり彼女は変わってしまった。
特にこの大きく育った 『お胸様』 である。このお胸を枕にしたい。そんな願望が
時々脳裏をよぎる。なんてな。(笑)
「さっきからどこ見てんのよ」
彼女の瞳に俺の顔が映っている。
「いや、胸のリボンがほどけそうだったから、つい気になって。。」
「あ、ほんとだ。でも、そんなにじろじろ見ないでよ。恥ずかしいじゃない。」
彼女は軽く火照った愛らしい顔を隠そうと、襟でプリっと輝く口元を覆った。
なんだろう。。かわいい。。俺はまだ三次元でも生きていけるみたいだ。。。。