表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雑草君は目を覚ます  作者: 安倍剛志
1/10

プロローグ『地獄の始まり』

――どうして、なんで、どうして、なんで。


 目の前に広がる地獄の景色。男は髪をむしり、髪を毟る指先は赤く血で染まっている。

女は、ただただ顔を掻く。掻いて、掻いて、掻きまくる。皮膚は疾うに剥がれ落ちている。

テーブルの上に置かれた皿。そこには、何も入っていない。ただ置かれているだけ。


――あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!!!!!


 行き交う声に意味など存在しない。不協和音と化したその絶望を

 僕は聞き続けることができなかった。。僕が耳を覆う姿に目もくれず、叫び続けるケダモノども。


――い゛や゛ぁ゛ぁ゛!!!!!!いやだ゛ぁ゛ぁ゛!!!!


 絶望という言葉一つでは表せない。地獄という曖昧な景色で表せない。

どんな言葉を使って、どんな感情を持って僕は生きているのだろう。

目の前のケダモノは何をしているのだろう。でも、見たくない。


いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、2人のこんな姿は見たくない。僕が何をしたっていうんだ。


――全部()()()が悪いんだ。()()()が私たちを壊した。


――()()()


 僕は言葉を発した。ケダモノが発した言葉に疑問を持ったのだ。


その瞬間だった。


 2匹のケダモノがこちらを同時に凝視する。


――おま・・なk・ば (ボソッ


――お前がいなければ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


 二人のケダモノがこちらに襲い掛かってくる。


 僕は全力で玄関へと向かった。どうしてこうなったのか、どうして逃げようとするのか。

僕は、僕自身が何を考えているのかがわからない。いや、何も考えていないのかも。。

でも、ひとつ確かなことは 『捕まったら殺される』 ということだけ。

そのことが、僕のひ弱で臆病な足を動かすには十分な理由だった。


  ―ガチャッ!ー


 玄関の扉を勢いよく開いた。。


――警察だ!!大人しくしろ!!


 僕の前にいたのは、黒光りする拳銃を持った警察官だった。

複数の警察官が2匹のケダモノを取り押さえる。

その光景にぐうの音も出なかった。


 その後、小さな少年は心臓発作を起こし、()()は目を覚ましたのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ