17.悪役令嬢、今日から学園の生徒です
「入学おめでとう、ノア。」
「お兄様!ありがとうございます。これでお兄様とは気軽に会えるかと思うと、嬉しいです。」
「俺もだよ、愛しのノア。」
今年で16歳。無事に学園に入学することができた。
17歳になったお兄様は、ゲーム通りクールな大人の雰囲気を醸し出し、周りの令嬢からキャーキャー言われている。だが、ゲームでは妹に愛しいとか使っていなかったような。いや、そんな描写がなかっただけかもしれない。
「シスコンかと思われるかもしれませんし、人前ではやめましょう。」
「別に構わないけどね。ノアが大事なのは本当だし。」
きゅ、きゅーん
さすが攻略対象。小さい頃でも割と破壊力があったが、その比ではない。きゅん倒れしてもおかしくないのに、よく頑張った私!
「さぁ、会場に案内するよ。」
「はい!」
新入生代表挨拶は、勿論王子である。王子が壇上にたつことで周りからは「素敵♡」などと艶めいた声があがる。元々顔も良かったことから、人気はあったが、年齢を重ねていくことで身長も伸び、さらにキラキラした存在となっていった。
「在校生代表挨拶。在校生代表、リュート=パンドュース。」
「はい。」
またもや周りからは「あの人かっこいい!」などと声があがる。まぁ、当然でしょう。私のお兄様なんですから。と言いたいとこであるが我慢する。
「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。これから皆さんが送る3年間は、気づけばあっという間に感じるかもしれません。1日1日を大事に過ごしていってください。ここには頼りになる先輩もたくさんいます。最初は困ることが多いと思いますが、先輩の皆さんが優しく対応してくれるのでぜひ相談してみてください。在校生代表リュート=パンドュース。」
拍手が巻き起こり、お兄様の言葉を締めに入学式は終わった。
「ノア様!」
「トルカ、あなたと同じクラスで良かったわ。よく頑張ったわね。」
この学園は入学テストの点数によりクラスが配置される。もちろん私は、ゲーム通りに成績優秀者のみ入れる特別クラスである。トルカもそれはそれは猛勉強をして無事特別クラス入りを果たした。
「ノア様のそばにいる為ですもの。ノア様と毎日会えるなんてなんという幸せ。」
「大袈裟なんだから、もう。」
「ノア。」
「王子、先程の挨拶お疲れ様でした。王子の言葉に皆が聞き惚れていましたわ。」
「はは、それは嬉しいですね。ノアもですか?」
「勿論です。私は王子の婚約者ですから。」
結局、婚約は続いている。なので今でも私は王子の婚約者。
「ノアの言葉には感情がこもってないんですよね。」
「そんなことありませんわよ。」
「さぁ皆、席についてくれ。」
先生が入ってきたので、会話は中断となり王子も私も席につく。
「今回このクラスを担当させていただくリード=カルクだ。よろしくな。」
でた、攻略対象3人目!
リード=カルクは元々騎士なのだが、利き腕の怪我が原因で騎士として続けることが出来なくなった。そんな状態を知った学園長が、学園で生徒に剣術を教えてくれないかと誘って、先生として働くことになったのだ。何でも学園長にとって、リード=カルクは命の恩人で、その恩人が困っているのだからという話だった。ちなみに現在25歳である。体を鍛えていたので筋肉ムキムキだし、明るく気さくな爽やかイケメン先生としてファンからの人気も厚かった。
「あれ?」と思い、周りを見渡す。確かヒロインも同じクラスだったのだが、このクラスにピンク色の髪はどうやらいないようだった。
たまに過去の話に戻りますが、遂にゲームの本編始まります|ω`)