五 案内
色々あった昨日。
ちょっと疲れてぐっすり眠ってしまったり。
「ん…」
朝日が眩しい…
「時計、時計…?あっ」
そうか、俺…ルナさんの家に泊まって…
「…んっ…くぅー!しかし、よく寝たなぁ…」
とても気持ちのいい朝だ。
鳥の泣き声や、風に吹かれて葉がこすれ合う音。
それに、ユウさんが裸で隣に寝てて…
…寝てて…
…。
「ん…あ、おはよ」
「イイィィカップァァァァァ!!!??」
「…」
「ユウちゃん。遺言はありますか?」
「えーとですね。要約致しますと…性欲が爆発しました」
ぐしゃ。
おおユウよ。しんでしまうとはなさけない。
「後はルナちゃんに任せておけば万事解決!」
釘バットを使用してなにを解決しようというのか。
というか、今ぐしゃって…
き、気にしないでおこう。
「しかし…もうあれが脳の中に焼き付いてしまって…」
「ユウちゃんの自慢の一つは胸だからねぇ。大きかった?」
「…」
「鼻血出る?ティッシュ?」
「い、いえ」
不可抗力なんだよ。
だって…
マッパなんだもん…
布団で下半身は見えなかったよ。残念なんかじゃないよ。
「じゃあさ、今日は村の方まで行こうか」
「はい。じゃあおねがいします」
短くなるにしろ、長くなるにしろ、ここに暮らす以上は色々知らなきゃいけない。今日は村というか、集落に行くことになった。
ハルさんは村と言い張っているケド。
「というか離れてください…」
「断る」
ハルさんは俺の腕に抱きついている。恋人のように。
憧れてたシーンの一つなのだが、いざやられると恥ずかしい。しかも、それをしているのは、つい先日知り合ったばかりの人だから余計に…。
「ねぇねぇさっきゅん」
「さ、さっきゅん?」
はじめてだよ…さっきゅんて呼ばれたの。
「ダメ?この呼び方」
「さ、さすがに恥ずかしいですよ」「じゃあやめない」
「ええ!?」
「だって、その反応好きなんだもん」
あ、遊ばれとる…!
「えっへへ…久々に来た人がさっきゅんみたいな人で嬉しいんだよ。とんでもないエロエロ大王だったら追い出してたよ」
「む、むぅ…というか離れて…」
「やだ」
はぁ…ま、まぁ…森の中だから人がいるわけじゃないし…。
俺が理性を保っていればいいわけで…。
「あっ、キョウちゃんだ」
「…」
なんというタイミング!
顔真っ赤にしてるよ!
すっげーこっち見てるよ!
そして、木に隠れたよ!
「お、お構いなく…」
「まっ、待って!違うから!」
「えぇ〜?違うのぉ〜?」
「はっ、話をこじらせないでください!あっ!あぁ〜…」
押し倒されて動けない!
ちょ…!いきなりピーンチ!
キョウさんはキョウさんで木に隠れながら口に手を当てて顔を真っ赤にして覗き込んでる。アテにはできないか〜!
「えへへ〜。このまま交尾もいいけど、君の意志も尊重したいしね。とりあえず体験版はここまでね」
「…え〜…」
助かった…
あとキョウさん。
今すっごい残念そうな声出したよね!?
「キョウちゃんどこ行くの?」
「黒い壁の研究…」
「おお、それはありがたい」
「かならず…正体暴くから…期待しててね…」
「うす!」
張り切ってますよと言わんばかりに両手でグッとガッツポーズ。
可愛いなオイ。
「…つーか…基本的にみんなレベル高いんだよ…」
「ん?なんか言った?」
「い、いや何も」
右も左も女の子。しかも美少女。
…耐えられんのか?俺…。
村も…やばかった。
本当に右も左も女の子。しかも美女。
「ねえ!もしかして噂の『男の子』?」
「そだお〜。武藤五月クン。ちなみに十五歳〜。恋人無し〜」
「ちょ!いらん情報ながさないでください!」
「に、人間の…じゅ、十五歳…はぁはぁ…」
「可愛いなぁ…じゅるり…」
「お姉さんに任せて…恐くないよ…フフフ…」
いや!十分恐いッス!
「じゃあ何処から回ろうか?」
「う〜ん…ん?あれは?」
「あれ?」
大きな建物…。
西洋の城みたいな、というかそのまんまの建物が建ってる。
「んー?ああ、ミオちゃんの家?」
「ミオちゃん?」
「えーとね…ま、行ったほうが早いか。行こ!」
「え、ええ?」
なんか…恐いぞ!