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須今 安見は常に眠たげ  作者: 風祭 風利
第1章 入学~一学期
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互いの両親承認?

館家→須今家→2人の会話と続きます。

「あっはははは! そっかそっか! 会ってきたんだ! 天祭さんの夫さんに!」

「笑い事じゃないんだけど母さん。 こっちは本当に胸を締め付けられる想いだったんだからね?」


須今家から帰ってきたその日の夜。 その事を両親に話したら母さんに爆笑されてしまった。


「でも良かったじゃないか。 これで向こうのご家族方には認めてもらえたんだから。 そこは誇ってもいいと思うよ?」

「はぁ、僕ら付き合ってる訳じゃないんだけどなぁ・・・」

「良心は貰っておきなさい? せっかく安見ちゃんと一緒にいてもいいって許可を貰ったんだから。」


それはそうなのだが、なんだか過程を飛ばしているようで、複雑な気分になっている。 なんだかしっかりと心に落ち込めていないと言うか、なんというか。


「でもそっか。 安見ちゃんにそんな過去があったなんてね。 ちゃんと支えてあげなよ? 光輝。」

「分かってるよ。 出来ることは全力でやるよ。」

「その意気だ。 光輝。 しっかりと守ってあげるんだぞ。」


両親のエールを貰いながら、僕は残りすくなってきた宿題に手をかけている。 1日数ページのペースだったが、あくまでも1教科辺りの話で、5教科あれば数ページ×5となるので、ペースを乱さずに宿題を処理することが出来た。


「いやぁ。 しかしそうなってくるとあれねぇ・・・」


―――――――――――――――――――――――


「良かったわね。 来さんに認めてもらえて。」


リビングで夏休みの宿題の最中、お母さんからそのような言葉が飛び込んできた。


「認めてもらったって、何がですか?」

「お姉あの時寝ちゃってたから知らないと思うけど、お父さんと館さんの壮絶な戦いがあったんだよ?」

「大袈裟に言わないの味柑。 でもあの時の館くんを見せてあげたかったわ。 安見ったら少しでも安心するとどこでも寝ちゃうから、困ったものよね。」


お母さんに対する質問に姉と妹から答えが返ってくる。 私自身も、もしお父さんが館君の事を否定しようものなら、遠慮なく言っていたところもあったかもしれない。 それだけ館君の事を信頼しているから。 それが私が館君に出来る精一杯の事だと思っていたから。


「あれだけ熱意を持ってくれた少年だ。 突っぱねるのもおかしいだろう。 安見自身が選んだ相手でもあるしな。」


そんな会話の焦点にされていたお父さんがお風呂からあがってきた。 女所帯なので、お父さんは大体全員が入り終わった後に入ることにしているようだ。


「そっかぁ、お姉が一抜けかぁ。 残念だったね、姉さん。」

「そんな姉想いじゃない妹のゼリーも食べちゃいましょうかしら?」

「あ、ズルい! 食べ物を人質に取るなんて!」


台所に向かう姉妹のやり取りを見て、うるさくも楽しげだなと思いながら宿題に取り組んでいました。


「いやぁ、それにしてもあれねぇ・・・」



「私も孫の顔が拝めるのかぁ。 まだおばあちゃんって歳じゃないんだけど。」<光輝母>



「2人の子供はどんな子になるかしらねぇ。 これから楽しみだわ。」<安見母>



「「ぶふぅ!!」」


――――――――――――――――――――――――――


「って言うことがあってさ。 もうびっくりしちゃったよ。」

『そちらも同じ様だったのですね。』


宿題を終えて、寝るために自分の部屋に入り、布団に入ったところで、ふと安見さんの事が頭に思い浮かび、咄嗟に電話をしたのだった。 2コールもしないうちに出たので、もしかしたら安見さんも同じようなことをしたのかもしれないと会話の流れで感じた。


「状況が全くもって一緒だとはね。 ここまで来るとむしろ笑えてきちゃう。」

『本当ですね。 家族全体で似た者同士なのかもしれませんね。』

「言えてる。 ほとんどが顔見知りって最早幼馴染みのレベルを通りすぎてるよ。」

『ご近所付き合いもいいところですね。』


そういうと僕も安見さんも笑いが起こった。 そりゃここまで似るんだもの。 笑えない方がおかしいだろう。


「それにしても2人ともおんなじ事を言われてるとは思わなかったよ。」

『本当ですよね。 まだ私たち付き合ってもないのに、ま、孫や子供だなんて・・・』


安見さんがそう口にした後に声が小さくなっていく。 おそらく口にして改めて恥ずかしくなったのだろう。 その理由は僕にも分かっていた。 何故なら僕も同じようになっていたからである。


訪れる沈黙。 な、なにか話題はないか?


『そ、そういえばプールに行くのは来週、でしたよね?』

「え? あ! う、うん! そうだよ! そうそう!」


上手く誤魔化してくれたようだ。 ちなみにプールというのは本当で、大型のプール施設に行くことになっている。 もちろんみんな一緒にだ。


「そういえば安見さんは泳げるんだよね。」

『そうですね。 水泳も出来ますよ。』

「じゃあ明日は円藤さんと一緒に泳ぐの?」

『今回行く場所は泳ぐだけの施設ではありませんから。 乗り物の方を中心に行こうと思っています。』

「大丈夫? 高所恐怖症の人がウォータースライダーとか行って。」

『誰かが壁を作ってくれれば問題ありません。』


それはそれで問題がある気がするんだけど。 まあ楽しめれる要素があるのならばそれに越したことはないので黙っておく。


「ふぁぁ・・・」

『館君が欠伸だなんて珍しいですね。』

「まあ、緊張が解けたとか、宿題があと少しだから余裕が出来たとか、色々と要因はあるけれど、夏休みは長いからさ。 こうして睡眠欲に従うのも悪くないかなって。」


良くあるのが夜更かしをするとこなのだろうが、少なくとも僕はそんなことをしてもメリットにならないので、寝れるときに寝る。 それが一番だ。


「それじゃあ、電話を切るよ。」

『あ、ちょっと待ってください。』


? なにかやり残したことがあるだろうか?


『一度しか言わないので耳を澄まして聞いてくださいね?』


そう言われて、僕は耳をスマホに傾ける。 何事かと喋らないでいると


『おやすみなさい、()()


吐息がかかっているかのような安見さんの声が聞こえてきた。 しかも館君といういつもの呼び方ではなくあだ名で呼ばれた。 その事に僕はドキリとしてしまう。


「おやすみなさい、安見さん。」


だからしっかりと返すことにした。 そしてそこで電話を切る。 そして僕は布団の中で、余韻として残っている安見さんの声を反復させていた。 そのせいで眠れなくなってしまったのは内緒だ。

家族での会話は両方同じ時間で喋っています。

ちなみに安見さんは最後の館君の台詞を聞いて、少しの間眠れずに撃沈していたと後述しておきます。

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