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須今 安見は常に眠たげ  作者: 風祭 風利
第1章 入学~一学期
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お誘い・・・に不穏な空気

今回も急展開が色々と続きます。

場面転換で酔うかも知れませんがご容赦下さい。

 僕は安見さんを送って、自分の家に帰ってきて、着替えて部屋で携帯を取り出す。 それは先程安見さんと約束をしたことについて、待ち合わせ場所等を指定するためだ。 いくら急だとしてもそれくらいはできる。


 電話では向こうも唐突なこともあるだろうし、NILEを使って文章での連絡とした。


『さっきは急だったからなにも聞けなかったけれど、集まる場所はどうしようか?』


 そう簡潔に書く。 ちょっと質素な気もしなくはないが、先程までの安見さんの状況を考えるとむしろ飾り気のない言葉の方がいい。 そして数分後。


『駅と駅の間の高架下のところに噴水がありましたよね。 そこで待ち合わせしませんか? 家からもお互いに遠くはない場所ですし。 そちらに集まりませんか?』


 そんな感じの文章が返ってくる。 その場所なら知っている。 何故なら中学の時はそこを通っていたからだ。 場所が決まれば後は時間だけだ。


『それなら10時にそこに集まろうか。 駅の間なら現地集合でいいよね?』


 そう返信をすると、


『大丈夫です。 それではまた明日です。 おやすみなさい。』


 と素早く返ってきた。 もしかして予測入力してたな? 送信から返信までが異様に速かったし。 まあその辺りは言ってもしょうがない。 僕も朝のために寝ることにした。


 翌日。 僕は安見さんと会うために家を出る。 買い物をするかもしれないので、適当なトートバッグも持っている。 駅と駅の間なので、歩いても15分で着ける位置なので、出るのは9時半でも十分に間に合う。 もしかしたら行く途中で会うかもしれないな。 そんな期待を込めて歩いて、その噴水の前に着く。

 安見さんの姿はない。 時刻は10時10分前。 丁度いい時間だ。


 それらしい人がいないかキョロキョロとしていると、こちらに向かってくる女性の姿が見えた。 恐らく安見さんだろうと察してそちらに駆け寄ろうとしたとき、1人の男に声を掛けられていた。 そしてその男は安見さんの行く手を遮るように・・・


「ってあの後ろ姿・・・まさか・・・」


 僕はそこの場所に向かって走る。 ここまできてそんな事があってたまるかと思いたかった。 でも現実は意外にも非情な振る舞いをした。 どうやら障害はどこからでも沸いてくるようだ。


「安見さん!」


 僕は彼女の名前をおもいっきり叫ぶ。 安見さんはこちらに気付く。 そしてその安見さんに声をかけていた男、園路 徳蔵もこちらを見る。


「ちっ! またお前か。 なんだ? まだ安見の事を諦めてなかったのかよ?」

「それはこっち側の台詞だよ! 大体君には彼女がもういるじゃないか。 安見さんを付け狙う理由はない筈だろ?」

「は! それはそれ! これはこれってやつだぜ!」


 何て男だ。 こんな男と同い年だとは到底思いたくはない。


「とにかく安見さんから離れてくれないかな? 今日は安見さんと約束をしていたんだ。 邪魔をしないでよ。」

「お前が安見を満足させられるとは思えないがな。 それとも俺と安見を賭けてやるか?」


 そう言って園路はボクサーのような構えをする。 それに合わせて僕も腰を低くする。 正直格闘や喧嘩の心得なんて一切ない。 恐らく向こうが強いのは明らか。 だけどここで引いたら安見さんを守ることなんて夢のまた夢なのだと直感的に感じた。


「構えが素人なんだよ!」


 そう言って園路が拳を出してきた。 その瞬間、その拳は僕の体に一切触れることなく第三者の手が園路の腕を掴むことによって止められた。


「あっ!? 誰だ!? 戦いに水差そうってやつは!?」


 そう言って僕も園路もその手の人物を見る。


 そこにいたのはとても厳つそうな顔をした僕や園路よりも一回りほど大きい男性だった。 この人は誰だ? と僕が警戒していると


「お、お父さん!?」


 そう叫んだのは安見さんだった。 つまり今目の前にいるこの人こそが安見さんのお父さんと言う事だ。


「こ、これはお父様だとは知らず申し訳ありませんでした。 私は安見さんと仲良くさせてもらっています園路 徳蔵と言うものです。 この度はお会いできて光栄であります。」


 自分よりも強いと分かった瞬間に下手に出始める園路。 第一印象で取り入ろうって魂胆が見え見えだ。 でもこういうのは言ったもの勝ちだ。 これでは僕の方が何を言っても・・・


「ほぉ・・・安見のためならば拳を振り下ろすのか。」

「ええ、安見さんに近づく輩は成敗してみせましょう。」


 これじゃあ僕の方が安見さんを取ろうとしているみたいになってしまう。 しかし今の状態ではどう見繕っても・・・


「ではまずは・・・お前さんからだ。」


 そう言って須今父(僕までお父さんと言うわけにはいかなかったので、そう名称することにした。)が掴んでいる園路の腕をそのまま握り締め始める。 「ギリギリ」という音が聞こえてくるような位に強く握り締められている。


「あ・・・がっ・・・! な、何故です・・・お父様・・・! 私は・・・安見さんを・・・守ろうとして・・・いるという・・・のに・・・!」

「この振り下ろそうとした拳の事か? 私も格闘技は嗜む程度にはやっていたやっていた時期があるのだが、この拳からはそんな気配は微塵も感じなかったぞ?」

「な、なにを、仰いますか・・・ そもそも・・・」


 握られている腕が痛いのか、段々と顔が青くなっていく園路。 僕は助けることはしない。 因果応報というものだろう。


「それに暴力による解決をする者に安見や私の娘達を預けることは出来ん。 分かったらさっさと立ち去れい! そして二度と安見や私の娘に近付くな!」


 殺気の凄まじい威圧感を受けて、腕が離された瞬間に一目散に逃げていった。 その様子を見ていた僕のところにも寄ってくる須今父。


「あ、あの、僕は・・・」


 こういうときどうすればいいのか分からず、しどろもどろになっていると、


「待って下さいお父さん! 館君は関係ありません! 彼は私を守ろうとしたのです!」


 そう安見さんからの声がかかる。


「館君・・・そうか、君が館 光輝なのだな?」


 睨み付けるような眼光に怯みそうになるけれど、素直に首を縦に振った。


「私は須今 来(すいま きたる)。 音理亜達三姉妹の父親だ。 安見はこう言っているが、私はまだ君を信用しているわけではない。 立ち話もなんだ。 家に来るがいい。」


 そう言って踵を返す須今父。 僕はこの後何を聞かれるのかと怯えながら、安見さんと共についていった。

須今父登場!

そして園路はそのまま二度と現れないでしょう。 いや現せません。(作者の鋼の意思)

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