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須今 安見は常に眠たげ  作者: 風祭 風利
第3章 交際スタート
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クリスマスデート イベントの結末

 時間になったので、最初の聖堂に戻ってきた。


「どうやら少し予定が早まってしまったが、お帰り諸君。 なにか見つけることが出来たかな?」


 舞台後ろから怪盗紳士フィリップが現れる。 そしてその言葉に反応して、僕らを含めて参加者の人達が、それぞれに手に持っている1つの紙を取り出して渡していった。


「ふむ・・・これは一つ一つでは意味を成さないが、これは文章になっているようだ。 後は順番の問題だな。 せっかくだ。 君たちも見ながら一緒に考えてくれないか?」


 そう言ってフィリップは先程渡された6枚の紙を広げて、それぞれの文を見せる。


『庭園に咲く全ての花に、それぞれ意味がある』

『沈没しても、なおその保たれた美しさで魅了する』

『時は幾度となく刻む、がしかし前に進むことしか出来ない』

『長らく眠っていた凍った心も、煌め反射を繰り返す』

『立ち尽くして考えるよりも、座りフィーカをすれば自然と考えは纏まる』

『仕える羊達のように、民のためになにかをするのは悪くない』


 完全になにかの一文にしか見えないが、この中になにか今があるのだろうか? こういったヒントって、難しそうに見えて実はシンプルだったりするんだよね。


「なんだろう? 言葉のそれぞれに意味がある・・・ようには見えないね。」

「文字数とかは? ・・・あ、でも全部バラバラね。」

「ねぇ? フィーカってなぁに?」

「スウェーデン語で休憩って意味だってよ。 ほら。」


 みんなそれそれで考えては悩んでいる。 ヒントがあるようで、実は無いこの文章達。 なにか・・・気が付ける事は・・・


「これって、文章事態には意味がないんじゃないかな?」


 すると僕らが聖堂であったカップルの女性の方がそんなことを言い出した。 文章事態には意味がない・・・ 文字ではなく、言葉の中になにかあるということだろうか? ・・・・・・ ん?


「これ、頭文字の部分で順番に並べられませんか?」


 僕はそう言って見せた。 漢字で分かりにくいが、これはた行で並べかえが出来るみたいなのだ。 最後だけ「な」から始まるので、この分が最後に持ってくると文章事態は相変わらず分からないが、なにかの糸口が見えるような気がした。


「でもこれ以上はどうするんだ?結局訳の分からない文しか出来なかったぞ?」

「光輝君の見つけた方法で思ったことがあるのですが。」


 また謎が増えたと思っていた矢先に、安見さんがなにかを発見する。


「この読点の部分。 読点とは本来文章の区切りを、分かりやすくするためにあるものです。 句読点の有無によって文章の読みやすさが変わると言っても過言ではありません。 ですがこの文を見てください。」


 そういって指差したのは『時は・・・』の部分の読点の場所だった。


「普通ならここに区切りはつけないです。 無理矢理にして繋げたので文章として不自然な形になっています。」

「本当だね。 でもこれになんの意味が?」

「おそらくこれもヒントの1つなのでは? と思っています。」


 その言葉を聞いた後に、読点の次の言葉を再度取り出す。 ひらがなにすると「す」「な」「た」「そ」「が」「き」の文字が取り出せた。


「うーん、これだけ出されてもなぁ・・・」

「待って! 私分かったかも!」


 そういってテンションの高い女性が先程の文字を並べ直す。


「ほら! こうすれば「そなたがすき」になる! これって誰かをさしてんじゃないの?」


 確かにそう言われてみれば確かなのだが、一体誰が好きなのかまでは分からない。 そもそも宛先人がいないのに誰のことを好きなのか。 謎が謎を読んでいる気がする。


「誰かを好きなのかは分かった。 となれば後はそれが誰なのかと言うことだ。 私はシスターを呼んでくる。」


 そう言ってフィリップは後ろに行ってしまう。


「誰の事が好きなのか・・・ですか。」

「おいおい。 ここまで来てまたノーヒントで当てろって事なのか?」

「いえ、これはもう答えは出てるのではないですか?」

「ここまででヒントを出しているものって・・・」


 なんだろうか? 文字・・・文章・・・場所?


「もしかしてヒントのあった場所の事を言っているのではないですか?」

「なるほど、そうすればわざわざ分けた意味がつきます。」


 そしてみんなであった場所、そしてその場所の頭文字を取り出す。


「ヴ」「ユ」「ル」「ロ」「ゴ」「セ」今度はその言葉が取り出せる。 そして今度は僕がそれを並べかえる。 わざわざひらがなに気づかせるというのはなにかを意味している気がしていたからだ。 そして並べかえた言葉が


「セヴゴロルユ・・・人の名前にならないような・・・」

「いや、それだけで十分だ。」


 そう言ってフィリップ役の人がシスター役の人をつれて戻ってきた。 しかしこの暗号では解読できて無いことになるのだけれど・・・


「君達がアナグラムのおかげでこの謎を解くことが出来た。 しかしその謎を解くのはそのままでは意味がない。」

「どういうことでしょう? フィリップ様。」

「確かにこれのヒントを置かれていた場所の頭文字を取るところは間違いない。 だがものによっては複数個、もしくは別の場所から取らなければならない場合がある。 それはヴァーサ号の「ヴァー」の部分。 そして最後はユッカスヤルビと見るのではなく、アイスホテルと見れば、セヴァーゴロルアとなる。 そしてそれはこのシスターの本名になるのだ。 そうですね? シスターロルア。」


「つまり犯人は私の心を奪うつもりで・・・」

「そこまでは分かりませんが、少なくとも犯人はあなたの事を想っていると言うことになります。 どこのどなたかは存じないが、このような回りくどいことをさせないように、直接、連れてくることにしましょう。 だが、まだ情報が足りない。 ここからは独自に調査することにしよう。」


 そう言ってフィリップ役の人はまた後ろに行ってしまう。 その後を追うようにシスターの人も裏に回って、


『本日はイベントのご参加、ありがとうございました。 「ランド・オブ・スウェーデン」をどうぞお楽しみください。』


 これでイベントは終了したようだ。 だがなんというか消化不良もいいところな感じで終わってしまっている。 長編的にするのはいいけれど、謎を残したままって言うのはどうなんだろうか?


「終わってしまいましたね。」

「うん。 これからどうしよう・・・」


 キュルルルー


 この後の事を考えようと思ったら、そんな音が聞こえてきた。 横を見ると安見さんがお腹を押さえて、頬を赤らめていた。 そんな光景にクスリと笑って、


「まずはご飯にしようか。」


 そう提案して、安見さんはこっくりと頷いたので、パンフレットを見ながら、色々と見て回ろうと思った。

微妙なイベントの終わり方になってしまったことをお許し下さい。

ちなみにこのイベントに関しては今後書く予定はありません。

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