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須今 安見は常に眠たげ  作者: 風祭 風利
第2章 2学期~文化祭
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嘘? 本当?

前回のあらすじ

2人に不純異性交流の疑惑が!?

 男女2人が同時に呼ばれるという事はそういう意味合いだと言うことも理解していた。 だが、僕らはそんな不純異性交流をしていた記憶なんてないし、ましてや処分を下されるのは真っ平御免だ。


「待ってください。僕らは今の強化週間に違反するようなことは一切行っていません。」

「そうです。 なにかの間違いだと指摘します。」


 反論材料はいくらでもある。 仮に学校の見えない部分の話になったとしても互いに家にいたことは証明できるし、勝手に処分を決められてしまっては元も子もない。


「我々生徒会にある一綴りの写真入りの封筒が届けれた。 差出人は不明だったが、中身を確認して、君たちだと言うことが分かり、すぐに処分を下そうと判断したんだ。」


 そういって生徒会長は封筒の中身の一部を見せてくる。 遠くて良くは見えないが、背丈や髪型、それに最近僕がつけはじめたチョーカーで僕らだと言うことはすぐに確信できた。


「こんなことをされては我々も黙って見ている訳にはいかなくなってな。」

「待ってください! それだけでは判断するには不十分過ぎます! それにこちらの言い分も聞いて貰わないと・・・」

「言い訳は無用だ!」


 そういって写真ごと机を「バンッ!」と叩く生徒会長。 その行動に僕も安見さんも黙ることしか出来なかった。


「貴殿らはこと強化週間中にこのような行為を行った。 それは変えがたい事実! よって貴殿らを2週間の停学処分とする! 退学にしなかっただけありがたいと思え!」

「「そんな!」」


 生徒会長の決定に僕ら2人は声を揃えて言った。 いくらなんでも横暴が過ぎる。 僕らはそんなことを一切していないのに、免罪符すら言わせてもらえないなんてあまりにも理不尽すぎる。


「本当にお願いします会長! 僕らはなにもしていないんです!」

「静かにするんだ。 ・・・錦野」

「はいさー。」


 錦野と呼ばれた女生徒は生徒会と廊下を紡ぐ入り口をこっそりと開ける。


「人影は確認できるか?」

「いえ、どうやら速攻で立ち去ったようです。 足音も聞こえない。」

「そうか。 逃げ足は速いか。」

「追いかけますか?」

「止めておけ。 どうせ誰だか分からんのに追いかけようにも追いかけれないだろう。」


 生徒会長と錦野と呼ばれた生徒のやり取りが分からない。 そもそもこれは僕らだけの問題では無かったのか?


「さて2人とも。」


 そして矛先が僕らに戻ったところで改めて身構える。 これ以上なにを言われるのか分からない。 だがせめて処分内容を軽くしてもらう事は・・・


「まずは2人にあらぬ情報操作をしてしまった事をお詫びしたい。 これしか方法が無かったわけではないが、これが一番手っ取り早いと思ってしまってな。」


 生徒会長からの謝罪の言葉に僕と安見さんはポカンとしていた。


「まあまあ、説明があるからとりあえずは座って?」


 錦野さんは僕らにパイプ椅子に座るよう促されたので、座ることにした。


「あの、どういう事なのでしょうか?」

「まず君達には不純異性交流の疑惑があったことは嘘ではない。 それは当然この写真が送られてきたのが原因だ。」

「ですから・・・」

「まあ話を聞いてくれ。 我々とて判断を即決したわけではない。 だから君たちの行動をこの2日間で観察させてもらった。」


 なんだろう。 さらりと僕らの学校生活を覗かれていたことにまずは驚きを隠しきれないんだけど。


「だが、そのような行動は君たちはしていなかったし、する可能性があったときは君たち自身で気が付いて自重をしていた。 それを見て、ただ写真を見せられただけでは判断材料にならないと思い、君達を呼んだのだ。」


 そ、そんなことで僕らは緊張をしてしまったのだろうか。 その言葉に急に力が抜ける感覚があった。


「だが実際には君達の話を聞くだけではこの騒動は収まらないと私は思った。」

「どういうことです?」

「彼女、書記の錦野 帖佳(にしきの ちょうか)は地獄耳でな。 普通の人間よりも聴覚が敏感なんだよ。 君達の足音に加え、もう一足分聞こえたらしい。 恐らくは君達の状況を聴察しにきたのだろう。」

「じゃぁ・・・」

「ああ、この写真の差出人、もしくは本人の代わりだろう。 君達の状況を知るために、ね。」


 僕達はある意味利用されたのかもしれない。 どう言った経緯なのかは分からない。 だけどこんなことをされて、僕達だって黙ってはいたくなかった。


「そこで君達には再度質問をしたいのだが、良いかな?」

「はい。 僕らで良ければ。」

「分かった。 まずは写真についての真偽を問おう。 送られてきたのは4枚、どれも一昨日撮られたもののようだ。 まずは1枚目。」


 そこに写っていたのはお昼時にいつもの場所で昼御飯を食べている風景だ。

「お昼の時ですね。 でもこれぐらいなら・・・」

「ああ、なんら問題にはならない。 では次だ。」


 次に写っていたのは僕が安見さんの手を引いている場面なのだが。


「これは私が対面の人とぶつかりそうになったので、館君がそれに気が付いて引き寄せてもらってるだけです。」

「なるほど、確かにボヤけてはいるが、別の人間も写っている。 状況判断としては十分だろう。 ではこれだ。」


 3枚目は一昨日の帰り道の風景だった。


「安見さんが転びそうになったのを、僕が支えてるだけです。」

「密着しているというのにしては体の角度が不自然ではあったから、もしかしたらとは思ったが、納得した。 では最後の写真、これが君達を呼んだ最大の要因だ。」


 最後のは例の改札口のところでの一幕だ。 なるほどね。 これは呼ばれてもおかしくないわ。


「これは私の髪に埃がついていたので取ってもらっただけです。 これは撮った角度が悪いですよ。」

「確かにこれでは端から見たらキスをしているようにしか見えないな。 送り主は相当のようだな。」


 これで僕らの誤解は解けた・・・のかな?


「あの、つかぬことをお聞きしますが、今の僕らの話を本当に信用してくださるのですか? 僕らが嘘をついている可能性だってあるのに。」

「では逆に聞くが、今の君達が私たちに嘘をつくメリットはあるのかい?」

 そう言われれば無いとしか言いようがない。 それで全員が納得した状態になる。 誤解が解ければ今はそれでいい。


「では別の質問をしよう。 君達がこれを撮られて、生徒会側に指導されるのは分かりきっていたこと。 そうまでされるほどに恨みを持たれた人物はいるかい?」


 その問いに僕と安見さんは目を合わせるが、全くといっていいほど心当たりがない。


「ふむ。 ならばこれは我々生徒会への当て付けと見ていいだろうな。 よし、明日からその犯人を探すとしよう。 卑劣だが、我々にも少し非があったかもしれん。 明日から予定を変更する。 各々準備を進めておくように。」


 そういって生徒会の仕事は終了したようだ。

この話は相当ややこしく感じますが、生徒会は彼等を本当に処分にかけるつもりはなかった。 というのが本筋です。

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