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鼻
お父さんとお母さんそれに妹と僕の家族全員でスキーを楽しみに山に来た。
でも昨日から風邪をひいて熱があった僕は旅館でお留守番。
お母さんも一緒に留守番してくれるって言ってくれたけど、この旅行を一番楽しみにしていたのはお母さんだから断って、代わりに旅館の売店で漫画を買って貰う。
それで今僕は掘り炬燵に足を突っ込んで座椅子に背を預けて漫画を読んでいる。
『ん?』
炬燵の中の右足の甲を何かが這っているように感じたので、左足でその部分を擦った。
暫くしたらまた右足の甲を何かが這っているように感じがする。
漫画を炬燵の上に放り出し布団を捲って中を覗いた僕は、悲鳴を上げ炬燵から飛び出た。
「キャァァァー!」
人の鼻のような何かが僕の足の甲を這いまわりながら、足の匂いをクンクンクンと嗅いでいたからだ。
 




